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Vol. 204 参院選を間近に今再び「医療事故無過失補償制度」の創設実現を!(その5)

医療ガバナンス学会 (2010年6月12日 19:00)


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第5回 医師医療と患者との均衡をどうはかるか
猪又治平
2010年5月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

第5回 医師医療と患者との均衡をどうはかるか

みなさんこんにちは。いつもお読みいただき有難うございます。
第4回の読者からつぎのようなメールをいただきました。了解を取りましたので引用させていただきます。

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医療崩壊とは何でしょうか。医師が患者から訴訟を起こされるのを恐れるあまり、先進治療や生命を助ける積極的判断を下せないなど萎縮してしまうことでしょうか。
医師は一般的に手術が成功するか失敗するかは結果であってまさに神のみぞ知ることとして考えている向きがありますが、よく解釈すればそれは技能と経験を豊富に持った医師にだけ言えること。
世の中の人の多くは医師を信用していない。金儲けに一生懸命なお粗末な医師が身近に多く、いまどき医師を尊敬する職業と見ているのは少ないのではないか。尊敬すべき優れた医師は世界中を飛び回っている脳下の福島Dr.とかいることはいるが、問題は的確な診断と処置ができない、むしろ助かる命を死亡させる、またカルテを改ざんするなど欠陥のある医師も多数いることを考えると、制度がそのような人を支援するようなものになってはいけないと思います。
良い医師を支援し悪い医師を排除する運用がしっかりしていないと信頼を売ることができないと思いますが、罰則規定を設け厳格に行うとのことですが、どのようなものになるのか教えてください。
保険料を支払うのは医師たちなので医師たちを説得するだけでなく、患者が安心して治療を受け、結果がどのようになっても納得できるというのが理想的なんでしょうが、そんなものがあるんでしょうか?…とりとめなく失礼しました。
・・・・・・・・

社会科学の大命題。正義とは何か。真理とはなにか。What is JUSTICE? What is TRUTH? 青臭いなどとおっしゃらずに。
経済学も不確実性などに逃げ込まず「倫理」を友にして行こうと昔母校で聴きました。

本制度のおおきな狙いは、真摯な医師と不測の事態に陥った患者とのバランスをいかにとるのかにあります。正義の女神の天秤をどうバランスさせるかにあります。
極めて正当な意思をもって病気に挑戦した医師を、理不尽な思い込み勘違いの「正義感」で訴える弁護士。
正当な意思とは、地位名誉拝金を度外視した病気への真摯な挑戦をいう。何とかしてお助け申上げたいという懸命な医師。思い込み勘違いの理不尽な正義感(弁護士の)とは、ただただ思い込み勘違いの被害者救済弱者救済、いたずらな権利意識と弱い者の味方さえ言っていれば「正義」という考え方。

これは健全な医療にとってははなはだ迷惑であり、もっと困ったことには時に「医師」の命を奪うことになる。どちらが被害者か分からなくなる。医師が被害者となり「医療」は、萎縮し崩壊に向かう。

(しかし他方では、マスコミが好んでやり玉にあげるような富士見産婦人科、山本病院などあたかも動物実験と見紛うような、訴訟され断罪されて当たり前の拝金主義に塗れた薄汚れた医師もいる。患者国民はこうした事件屋マスコミに強力に影響されて、実は患者を病気を第1に考えて手術などまじめで真摯な挑戦をしている80%95%の医者の存在を忘れる)

目指す「医療事故補償制度」は、80%または95%のまともな医師のまともな医療行為と、発生する患者事故損害とをどうバランスさせることが、両者にとってwinwinになるのかを追及せんとしている。
不真面目な医師の隠れ蓑、単なる患者へのバラマキ選挙対策などありえない。決してあってはならない。ともすれば甘くなる社会保障の脇。こうしたモラルハザードへの対策も忘れずに保険の技術などを駆使して排除するシステムとしたい。

昭和36年東大輸血梅毒事件最高裁判決、当時は、戦後15年余まだ戦後を引きづり資本の蓄積も未だままならず被害者救済の錦の御旗のもと、良くぞ患者を勝たせたとして世の喝采を浴びた。
医師を除いて患者もマスコミも弁護士も、誰もが患者を勝たせて医者を負かせることが利益較量に適い正義だと認めた。中身は既にみなさんがよーくご存知の通り医師に極めて高度な注意義務を課すことによって過失の認定を容易にしたものである。ある意味では時代の産物である。

ではこの飽食の現代ではどうであろうか。労働法規を無視した超過激務、見合わない報酬、経営教育など環境の悪さ、システムの遅れ、基本法、労働衛生規則など法環境の悪さ遅れ。勤務医がいわゆる「理不尽な訴訟」に曝されている現代。急激に数を増やす法科大学院からの弁護士に狙われる格好のターゲット、医療訴訟。昭和36年から50年弱経過した現代の法理として、昔のままの議論を恥ずかしくもなくやっていて良いのだろうか。半世紀も経て世の中が著しく変化しているのに民法第709条の理論に未だに拘泥しがみついていてよいのだろうか。

もともと加害行為ではない医療行為の民事上の評価は改められなければならない。民事では、社会保障法と行政法、刑法との役割分担によって、起こった損害をどう分担するのか。それ自身補償に特化して、事故抑止・再発防止・刑罰・懲罰は刑法・行政法に分担してもらうこととしよう。恨みつらみは別のところで。

その前にADR、院内事故調などなど、平和裏に話合いによる信頼を取り戻すこと、失われた信頼と信用を第1義とする医療を復活させたいのだ。
ここ10年で患者も変わってきた。理不尽なモンスター、患者権利の濫用、看護師いじめ、昼夜お構いなしのコンビニ受診、救急車タダ乗りがこころから反省されて、おかあさんがたの小児科を守る会の運動、先生医師プロの御苦労実態を知って驚き感謝し反省し「先生を寝かせる会」など再構築が全国ほうぼうではじまっている。
希望無きにしもあらず。正常な関係に戻りつつあります。挨拶礼儀からはじまり感謝のこころことばが生まれています。すべてがなにげないあいさつから。礼儀から。なんとすばらしい日本のこころではないでしょうか。

本制度は、両者間を取り持つ優れた使いやすい道具システムを目指します。
原点に戻って多少青臭いおはなしをさせていただきました。お読みいただき有難うございました。

政治もアタフタ。本件を考える「民主党議連」もいよいよたちあがりました。
こういう国民の健康に関わる重大事は、政争の具にはしてほしくない。民主党議連だけでなく、いろいろな党で、そしてさらに超党派で国民的視点で、総議連を立ち上げていただきたい。
この問題は時の政権によってふら付く様なヤワな低次元の問題ではない。どんな世の中になろうとも普遍的な自然法・哲学ともいうべき真理を探究し、歴史の数々の試練に耐えうる立派な制度として実現したいのだ。

次回は、ドラコンではやく到達点を目指します。
(著者略歴)
一橋大学法学部卒(指導教官好美清光教授・堀部政男教授)、某保険会社勤務、聖マリアンナ医科大学病院勤務、如水会医療薬業研究会会員、「医療事故無過失補償制度をつくる会」事務局長兼推進員
(著者論稿)
「公害の私法的救済」「海外輸出製品に係る製造物責任の一考察」「被害者救済制度の課題」「薬品食品とPL」「医師賠償責任と保険の今後の在り方について」「賠償と保険」

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