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Vol.020 コロナ自宅療養者、問題は病気でありながら主治医がいない状態に置かれていること

医療ガバナンス学会 (2021年1月29日 06:00)


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わだ内科クリニック
和田眞紀夫

2021年1月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

当院ではかかりつけ患者さん以外にも紹介で訪れる方のコロナ検査を広く実施していて、発熱相談センター、保健所、近隣の診療所などから連日多くの依頼を受ける。陽性例は保健所に届け出を済ませてその後の対応はすべて保健所に下駄を預けるシステムとなっているが、当院で陽性と判明した患者さんから引き続き電話相談が入ることがある。昨日もある患者さんから、自宅療養しているけど呼吸が苦しくなって来たという電話連絡を受けた。保健所に何回電話しても全くつながらないので、助けて欲しいという訴えだった。

取り敢えず応急的に当院でできる対応として、いまの症状に対して処方できる薬を考えて薬局に処方箋をファックス、濃厚接触者の家族に取りに行っていただいた。肺炎の可能性があるので胸部CTとかで確認して肺炎なら入院が必要と考えたが、その業務ができるのは保健所しかない(保健所が都の入院調整本部と交渉する)。だから引き続き諦めずに保健所へ電話連絡するように指示した。聞くところによると、担当の保健所の人は決まっておらず、緊急の連絡方法も知らされていないとのことで、この事が大きな問題と思われた。

要するにコロナの自宅療養者というのは病人であるにも関わらず、主治医がいない状態に置かれているのだ。保健所の担当者が容態を聞いて必要なら入院の手はずを取るのだが、本来このような業務は主治医が行う行為であり、それを医師でない保健所の職員が行なっている事自体が異常なことだ。健康調査を行っている保健師さんはさぞかし大変な重荷を背負わされていると思われるが、やはり、コロナと診断した後のことをすべて保健所が取り仕切るというこのシステム自体がありえないのであって、単になるキャパシティーの問題ではない。

保健所に陽性届を出した患者さんがその後、入院したのか、ホテルに行ったのか、自宅療養をしているのか、実はそのことさえ検査実施医療機関でさえ知らされていない。民間PCR検査センターは診療所との紐づけがないことが問題だというが、市町村のPCRセンターにしても保健所への届け出こそすれ、(診療所から検査を依頼した場合を除けば)患者さんとして医師がフォローアップするシステムなど存在しない。やはり基本的には保健所というところはデータを集めるのが本来の仕事であって、もちろん患者さんを治療する組織ではない。だからデータを拾い上げた後は直接的には何もできないのである。

ではどうしたらいいのか。やはりすべての陽性者に対して必ず一人の主治医を決めて、その医師が診療の形でフォローアップすべきだろう。オンライン診療(あるいはせめて電話受診)という形で最低限病状の確認をする(オンライン診療だけなら何らかの理由でコロナ検査を実施できない診療所にも協力を仰げるかもしれない)。どうしても診察が必要なら在宅訪問診療を専門にしている診療所医師の協力も得られるかもしれない。しかしコロナに限っては、入院の手配、これだけは何としても保健所もしくはそれに変わる組織を作って一括して行う必要があって、残念ながら入院交渉というのは個々の医師ではできない。そのような新たな組織を医師会の中に作ってもいいかもしれない。

入院先がないならどうしようもないのが、保健所のところで流れが止まってしまっているなら、代行業務を行う組織が絶対必要だ。正式な入院先が決まるまでの一時的な収容施設を作るということも考えられる。それは病院であることが望ましいが、最低限医師がいてくれるなら人工呼吸器装置がなくてもいい。そこは本格的な入院交渉を専門的に行うためだけの駆け込み寺にすぎないが、具合の悪い人が家で我慢しているよりはずっといいのではないだろうか。プレハブの野戦病院のような設定が考えられるが、ホテルを臨時の病院にしてもいい。これらはまったく理想的なものではないが、非常事態ならばそういう対応さえ考慮せざるを得ないのではないだろうか。

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