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Vol.041 コロナ無症状者へのPCR検査実施に変更するなら、従来方針の過ちを認めてからにすべきだ

医療ガバナンス学会 (2021年2月26日 06:00)


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伊沢二郎

2021年2月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「無症状者への検査の必要性がようやく分かったのか」

2月10日、田村厚労大臣が唐突に、高齢者施設の無症状の従事者や入居者へもPCR検査を行うと言い出した。
自民党職員への検査を行うとしたことが批判の的になり、無症状者への検査を肯定せざる得ないからか、高齢者施設のクラスター発生の酷さを思ってのことかは分からぬが、無症状者へのPCR検査の必要性を認め、口には出さないがこれ迄の方針を改めたことになる。

厚労省医系技官・分科会感染症専門家・感染研(以後、感染症ムラ)がやってきた大間違いの方針を変えるのは良いが、前からそうしており方針を変えた訳ではない、と聞こえる言い方はすべきでない。

感染してもPCR検査さえ直ぐには受けられず、入院が出来るかどうかも分からない心配と不安から、一年間ひたすら自粛生活しっぱなしの我々市民に通る話ではない。
方針を変えるなら何が間違いで、何時から変える或は変えた、と説明すべきだ。

●方針を変える前に、感染症ムラの人達は、未曾有のコロナ禍を招いていることの責任を痛感すべきだ・・・

田村大臣の発言、一寸は進歩だが、しかし何故今なのだ。このことは一波当初から医療ガバナンス研究所、上 昌広先生やお仲間達が、エッセンシャルワーカーへの定期的検査をやるべきと訴えていた。
医療施設や高齢者施設で、ディスタンスが取れないまま業務に従事すれば感染リスクは高まり、クラスターが頻発するのは、あったり前のことだ。

6,600名を越える死亡者を出し、生活困窮によると思われる自死は2万人を越えた。経済は巨額の財政出動しなければ持たない状況だ。
これ全て、コロナウィルスのスーパースプレッダーになってしまうかも知れない、無症状の感染者を放置した事に始まる。無症状者へのPCR検査はしないと決めたからだ。
この大間違いの方針が招いた市中感染が、日本中に蔓延してしまった為だ。今ごろ気がついたのか“感染症ムラ”、腕が悪すぎる。

しかしいくらなんでも、この程度が分かっていなかったはずはない。もしそうだとしたら、端から日本の感染症対策の任に当たる能力が無いことになる。
そうは思いたくはないところではあるが、一波当初から後追いのクラスター追及にのみ、拘り続けるやり方を見せつけられると、感染症ムラ専門家方達の感染抑制遂行能力に疑義を感じざる得ない。

●クラスター発生の急所は飲食店だけではない、もっと前から一番に、医療施設や福祉施設を何故対策しなかった・・・

その分科会クラスター班の責任者、押谷 仁・東北大学大学院教授は、昨年12月発生のクラスター807件、感染者13,252人を、分析し報告した。

朝日新聞デジタル(1/9)の取材記事によれば、45%が医療・福祉施設、約20%が飲食店(内半数が接待伴う店)、15%教育施設と続く。これは発生件数比率だが、人数比では医療・福祉施設で62%を占めている。
この事について押谷教授は、「医療・福祉施設や教育施設でのクラスターがきっかけの地域への影響は少ない。感染拡大を抑えるには飲食の場が重要でそこを抑えないといけない」との主旨を述べている。

この折りは概ね、クラスター発生件数と場所の分析の説明に終始しているようだ。この記事が報道側により切り取れることなく、内容がそれ以上それ以下でもないとしたら、施設で亡くなられた方やエッセンシャルワーカー、利用者への思い遣りも何もない、全く血が通わない話だ。
感染症ムラの人達は、人をデータ上の数値の塊と見ているのか、そう云う癖がついてるのか。

医療・福祉施設でのクラスターが地域へ及ぼす影響は少ないと言うが、何を根拠にそう言えるのだ。
有り得ないことだが、仮にこれら施設の従事者や利用者が、住居と施設以外に何処へも行かない生活をしていたとしても、ディスタンスが取れない仕事柄故、短時間の内にウィルスを、うつしうつされるリスクは何処よりも高く、本人気ずかぬまま外へ持ち出されることになる。押谷教授の説明は全く理解出来ない上疑念が残る。

一方、約20%と次にクラスターが多い飲食店を重点対策の場としている。対策を執る場の一つでは在ろうが、感染者数で6割以上を占める医療・福祉施設のクラスターを問題視しないのは大変訝しい。
報告のタイミングといい、緊急事態宣言に於ける感染抑制対策の急所とする、飲食店狙い打ちを後押しする思惑が透けて見える。

この医療・福祉施設を軽視する発言の1ヶ月後に、田村大臣から冒頭の「高齢者施設の無症状の従事者や施設利用者へもPCR検査をやる」との発言が出た。これら施設から頻発し続けるクラスターを思ってのことだろう。

一波以来一年が過ぎようとしているのに、感染症ムラの人達は未だに、こんな迷走を繰り返している。この有り様の弊害は、一重に国民が被ることになる。「なにやってんだ感染症ムラ」「こんな人達に任せて置けない」と言いたい。

やはりこの人達には端から、コロナ感染抑制の任に当たる能力が足りなかったのだろうか、この思いは増すばかりだ。

●このコロナ禍、ウィルスが為せる事とは云え自然災害ではない。感染症ムラの、大間違いの方針による人災だ・・・

同じ東アジアでは、国のトップと専門家共々が上手くやって、死亡者も経済損失も低く抑えている国々も有る。

<韓国>        1月4日 累計1,007名
<オーストラリア>   2月11日 累計909名
<ニュージーランド>  1月25日累計25名
<台湾> 昨年5月以降8ヶ月ぶりの死亡者発生

各々締日は異なるが、日本とは比較にならない低さだ。これらではプラス成長の経済動向を示している国も有る。
違いは入国管理をしっかりやった上、国民レベルのPCR検査をやったかどうかだろう。これしきのこと、日本が出来ない訳がない。

現にわが国でも上手くやって、感染抑制に効果を上げている個別の例が有る。
和歌山県済生会有田病院・島根県・北九州市等は、本当に踏み込んだクラスター対策や地域レベルのPCR検査を行い、コロナ抑制を上手くやっている。

栃木県では緊急事態解除後も、ゼロコロナを目指していると思える動きを示している。
那須地区の試みでは、インターパーク倉持呼吸器内科:倉持医師指導の下、希望者がPCR検査プール方式により1件1,000円、5人家族なら一人当り200円で検査を受けられる。これにより感染者をより早く保護でき、地域の感染動向も把握出来ることを目指しているのでしょう。

この動きに触発されたかどうかは分からぬが、西村経済財政再生相は昨日(2/16)、栃木県で不特定多数を対象にPCR検査を実施することを表明した。
ゼロコロナを目指すには、流行のレベルが下がりつつある今が対策のチャンスでしょうから、発想の元はともかく、時を得た表明であったとは思う。

このように民間や自治体は独自の努力で、PCR検査を地区・地域・県レベルでやろうとしている。
このようなことを国レベルで推進するのが、すべきなのが感染症ムラの専門家達ではないのか。

コロナを抑制すべく、国民の行動変容を求める論も有るが、一番行動変容が必要性なのは感染症ムラの人達だ、と言いたい。

●新型コロナ、二波・三波の総括の矛さきは、感染症ムラに向かうことを願う・・・

一波を総括した民間調査会は嘗て、10年を経た今尚、影響を残している福島第一原子力発電所事故をも総括している。この際、産・官・学が一体の“原子力村”が、未曾有の大惨事を起こした背景にあることは記憶に新しい。

翻り、厚労省医系技官・分科会・感染研が一体の感染症ムラの有り様は、今は無き“原子力村”の構図と瓜ふたつに見える。
政権に物言う、独立性が保たれるべき組織の有り様として、国民にコロナ対策のディスタンスを求める前に自ら、政権とディスタンスを取ったらどうだ、と言いたい。

一波の総括は主に政府の対応に向くものでした。何れかの時期に民間調査会によって、三波の総括がなされるのでしょうが、感染症ムラによる、コロナ抑制対策の失敗は言うに及ばず、政権と持ちつ持たれつの背景は何か、そこに迄踏み込んだ総括で在って欲しいと思います。

地球規模の気候変動によりパンデミックの間隔は短くなっているとも言われます、四波を言う方もいる。その時又も同じ羽目には会いたくない、そうならない為にも感染症ムラの人も組織も今のまま、温存される事が無いよう民間調査会には健闘願いたいと思うしだいです。

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