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Vol.146 コロナ感染者が増えてPCR検査を受けたくても受けられない検査難民が激増している

医療ガバナンス学会 (2021年8月3日 06:00)


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わだ内科クリニック
和田眞紀夫

2021年8月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

急激な感染拡大が起きているために、医療機関がPCR検査の検体を提出している検査会社のキャパシティーがいっぱいになってきていて、検査の結果がでるのが翌日の午後にずれ込んできている。1月の第3波では検査数が多すぎて検査の結果が出るのが2日後になってしまったが、そのような状況になるのも時間の問題だ。そうなれば感染者数の報告もどんどん後ろにずれ込んでいくことになる。

当院でも連日のように10人近いPCR検査を実施しているが、4日前に検査した人が8人中4人陽性、3日前が9人中5人陽性、一昨日検査した人が7人中3人陽性、昨日検査した人は6人中6人と全例が陽性で、とてつもない陽性率となっている。今日の日曜日も半日ですでに6人の検査を実施しているが朝から検査依頼の電話が鳴りやまない。一方で時間をずらしてコロナワクチンの接種のために大勢の患者さんが来院するため、その後のPCR検査の依頼をお断りしたり、翌日の予約に回したりせざるを得なくなっている。ほかの発熱外来への問い合わせをお勧めしたが、電話にもでてもらえなかったという。

今日当院でPCR検査を受けた一人は、新橋の民間PCR検査センターでコロナ陽性であったが、「(民間検査センターでは保健所に届け出義務はなく)このままでは保健所からは何の連絡もこないから診療所を受診してもう一度検査するように」と言われたということで再検査のために当院を訪れた。

全くばかげた話だ。ただでさえ東京都では検査キャパシティーが十分ではないのに、「民間検査施設で陽性だった人をもう一度診療所を受診させて検査させる」という仕組みを改めようとはしない。いくら民間の検査センターが頑張っていても全く統計にすら載らないということだし、診療所で実施されたPCR検査の結果だけが保健所経由で陽性者数として発表されている。これではいつまで経っても東京都の1日の検査キャパシティーは約1万止まりのままだし、患者が2万、5万と増えても発表される陽性者の数字は1万のままになる。

そもそもメディアで発表さる専門家の陽性者数の予想も常に少ない方に外れていて、東京都の7日間平均の1日の陽性者数が3000の翌週は、4000、その翌週は5000、と直線的に増えると予想修正を繰り返すばかりだが、感染拡大に歯止めがかからなくなると指数関数的に陽性者が増えていくのは当たり前で、4000の次は8000、2万、5万と増えていく。にもかかわらず、検査キャパシティー不足のために発表される数字は感染者が増大しても1万前後で止まってしまうのだ。

来週以降、検査すらしてもらえない検査難民が続出するだろう。PCR検査で陽性と判明したにも関わらず自宅待機となって「入院調整中」にカウントされている人もあっという間に1万を超えるだろう。そして、その中に重症者がいても(その人はまだ入院していないのだから)重症者にカウントされることはない(入院して酸素吸入をしている人が重症者と認定されるからだ)。だから発表される重症者の数もまったく正確なものではない。入院ベッドが100%埋まらないのも、保健所の陽性者への電話対応が追い付かず、そこが律速段階になって入院指示が出ないままに放置されるからだ。もうすでに保健所は手いっぱいで陽性者への連絡もすぐにできなくなってきているのが現状で、1年経っても同じことの繰り返しだ。

コロナ感染の拡大を食い止める唯一の方法は、インフルエンザのように多くの人が検査を受けて、陽性だった人がこれもインフルエンザ同様に1週間だけ学校への登校・職場への出勤を控えるようにすることだ。コロナウイルスは発症から10日が経過すると感染性がなくなるからだ。そのために必要なことは、人流抑制のための規制強化ではなくて、PCR検査を受けたくても受けられない検査難民を作らないようにすることだ。

内閣官房(新型コロナウイルス感染症対策推進室)は「夏休み期間のお願い」と題したPR動画の中で、「症状がなくても旅行や帰省前に検査をうけてみましょう」と無症状者に対して検査をするように勧めているが、どこでどういう風に検査を受けるかなどは一切説明がない。検査を勧めておいて、検査自体は民間検査センターに丸投げし、その検査は統計にすら載せないという国や東京都の方針はあまりにも無責任なのではないだろうか。

https://corona.go.jp/proposal/

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