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Vol.156 政府・分科会・東京都、現状認識がバラバラでは適切な対策が出る訳が無い

医療ガバナンス学会 (2021年8月17日 06:00)


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伊澤二郎

2021年8月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「これは犯罪だ。法的にどう在ろうが健康と生命を守るべき保健当局の国民に対する背信行為だ、下手したら死亡者を伴う犯罪だ」

●練馬区のわだ内科クリニック、和田眞紀夫医師の投稿Vol146「コロナ感染者が増えてPCR検査を受けたくても受けられない検査難民が激増している」は患者の生命に関わる医療現場を与る医師としての危機感迫る怒りの訴えだ・・・

発症したら重症化に至らぬよう出来るだけ早い処置を必要とするデルタ株であるのに民間のPCR検査結果を認めず、再度指定の医療施設での検査を義務付ける。この時間のロスは病状を悪化させ、処置の遅れは重症化を招く。
このようなことに危機感を募らせた和田医師による度重なる訴えは、感染症ムラには現状を改善する気がないことを現していると云うことでしょう。

保健所には行政検査をしたコロナ患者全ての情報が集り、感染動向を住民に一番近いところで、つぶさにタイムリーに状況把握できる立場に在る。コロナ感染者に現状のような対応を続ければ結果がどうなるか百も承知だろう。
その程度が分からなければ、初めから感染症対策の任に当たる能力が無いことになる。

この事態に保健所所長自ら改善の動きを示すことなくして他に誰がやる。出来ないとは言わせない、感染症ムラ上層部に阿ることなくやっている保健所はやっている。
墨田区と一体になって住民の健康を守るべく、先手を打ってコロナ対策を進める保健所が有るではないか、やる気の問題だ。

心当たりある保健所所長は、「いやいや我々は感染症ムラ上層部の方針通りにやってます」と言うのだろうが、直接弊害を被る住民にとっては、健康と生命を守るべき組織による背信行為だ。

「僕の契約相手は国民です」が口癖で、上層部の資料改竄指示を拒否したが為、最後までもがき苦しんだ方がいた。同じ公務員としてこの真に立派な公務員がいたことをどう思う。

●とうとう、恐れていた医療崩壊に至ってしまった。政府や分科会はインドやインドネシアの惨状が、日本でも必ず起こると考えなかったのか。その時日本は未だ、上 昌広先生が指摘されている新型コロナ夏のピークの山の麓に在った・・・

コロナ夏のピークに向かう前の下げ止まっていた時期に、オリンピックの準備ではなく、コロナ対策をしっかりやっていればデルタ株の蔓延状況は今とは異なる山の形になっていたのではないか。

デルタ株陽性者のウィルス量は桁違いに多いと言われている、皆スーパースプレッダーと言ってもよい程でしょう。コメンテーターとしてテレビに良く出る弁護士は未だに、PCR検査拡充の効果に異議を述べるが、寧ろ桁違いのPCR検査をすべきだ。オリンピックの為なら関係者6万人に毎日検査が出来るのだから、東京だけでも10万件だって問題ないだろう。
そうなっていない現状、“安全安心”は国民ではなくオリンピックに向けてのことか。

検査をやればやる程、自覚無き陽性者を早く見つけ出せるので二次感染が減る、因って三次感染も減る。感染症を学んだ者でなくとも容易に理解出来ることだ。
イギリスの研究では、デルタ株は水疱瘡並みの感染力と言う。一人の陽性者を見つけ然るべき措置すれば、8人への二次感染が防げることになるが、何もしなければその一人から更に64人に広がる、その次は512人、大変なことだ。

1波以来大甘な入国管理の上、少ないPCR検査による感染拡大が、コロナ流行の季節変動を更に後押し、四回目の緊急事態に至った。これは人災その物だ。

●パンデミック下のオリンピック開催といい、コロナ対策に係わる相次ぐ現状認識のズレは酷すぎる。これでまともな対策が執れるのか・・・

この度の緊急事態宣言時、会見での菅首相と尾身茂分科会会長の真逆とも言える発言。東京の病床逼迫度合いについて、知事と福祉保健局長の発言ニュアンスのズレがこれまた酷い。

東京の感染状況に一喜一憂し、これに政府はどう対応するのか、隣接する県民にとっても大変気になり日々注視する一年半。3波を遥かに越える流行のドタンバになってこの醜態を見せつけれ、日本国民で在ることが恥ずかしく、嫌になってしまう思いだ。

政府・分科会・都知事は異口同音に、パンデミック下の危機感が国民に共有されてないと言う。
この点についてだけは正しいかどうかは別に、確りと認識が共有されているようだが、肝心のコロナ対策する側に適切な現状認識が、全く共有されていないようだ。
更に感染情況は悪化しそうなのに、この有り様に猛暑日の最中エアコン無しでも背筋が冷える思いだ。

国民向けには“危機感が共有されていない”と云うことにしようね~。と下打合せでもしたのだろうが肝心な対策に向けて、現状の適切な認識共有は何処かに置いてきちゃったようだ。

五度目のコロナ危機を向かえているのに相も変わらず、PCR検査が拡充しない・保健所患者対応の目詰まり・入院調整患者の増加、等々の問題を又も起こしている。
その結果、コロナ患者の入院先が決まるのに数時間も掛かり、やっとのこと50キロもの遠隔地に搬送する、凡そ先進国とは思えないことだ。

実効が有るのか、果たして出来る事なのか。訳の分からぬ事を云々する前に、こんなに原因と結果が分かり易い象徴的な出来事への認識が共有されているのか。先ずはそこから初めろ、と言いたい。

●政府も都知事も“コロナ中等症は自宅療養”に方針変更と言うが、こんなものが方針か。ただコロナに追い込まれただけのことだ・・・

小池百合子知事は7月28日、東京が過去最高2,848名のコロナ感染者を出したこの日、特に一人住まいの人が病床確保の上でも、本人の健康維持の上でも自宅を病床替わりに療養することを推奨する旨を述べた。その後、内閣関係者も同様の見解を述べた。

“八時だよ、お家に帰ろう”“お家でオリンピック観戦しよう”は笑って過ごせるが“中等症迄はお家で自宅療養”は、あり得ない話だ。

この発言の狙い、病床確保の点ではそうだろうが、療養とはほど遠く自宅で待機中に重症化したり命を落とすケースも後を絶たないと云うのに全く無責任すぎる発言だ。行政の責任者が言うことだろうか。

始めは軽症の若い感染者が、自宅待機中あっと云う間に中等から重症に向かう例が日毎増えているというのに、この追い込まれ方針に真面な医師が絡んでいるとは到底考えられない。自民党でさえ医師でもある議員が取消を求めている。

菅首相は軽症・中等症・重症に応じた入院の振り分け判断を誰がやると問われ、医師がやると答えた。
当然すぎる答えだが、コロナ禍初めから今に至るまでその判断を保健所がやっている。これは間違いだったと認めたと云うことか。
このやり方が適切なものであれば、前述の和田医師が度重ねて保健所のコロナ対応の不出来・不作為を訴える必要も無いことだ。

図らずも様々な問題・課題が浮き彫りになったこの度の“お家で自宅療養”。
追い込まれ策ではあるがこの際、これ迄の大間違いのコロナ対策の改善の糸口と捉え改める機会になることを願う。

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