医療ガバナンス学会 (2021年10月28日 06:00)
伊沢二郎
2021年10月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
言ってる事とやってる事が著しく異なる様を世間ではこのように言うらしい。
分科会会長として時に、コロナ感染流行の先行きを懸念し、又ある時は病床の逼迫に懸念を表していた。
しかし尾身会長自ら率いる病院グループ(JCHO=ジェイコー)は、コロナ対策を強化する為に支出された補助金を目的達成に使用することなく、有価証券購入に充て利殖に励んでいたようだ。
しかも医療崩壊を起こす中、補助金を病院の体制強化に充てることは在れ、逆に職員にコストダウンまでも迫るとは。開いた口が塞がらないとはこう言うことか。(どなたかアゴを戻してください)
●公的病院でありながら利殖に励む理由は何だ・・・
上先生の調査によると、2020年度ジェイコーに支出された補助金総額は324億円(前年194億円増)、内コロナ対策名目の補助金は235億円で全部医療体制強化に充てられるべき税金だ。
この通りにやろうとすれば補助金の多くが医師・看護師・スタッフ等の増員に充てられることだろうが、人件費の実態は前年比1.4%しか増えておらず、コロナ対策に貢献しようとする意志が全く無かったようだ。
その上職員にコストダウンを迫って迄も稼いだ2020年度純利益は、前年度32億円に対して169億円増加の201億円、大部分が補助金増額による儲けのようです。“越後屋、お主も悪よのう”
そもそもが、コロナ禍のような時には何を差し置いても地域医療に貢献することが義務付けられており、その為に毎年多額の補助金が投入されている。
本業で多額の黒字を出す必要の無い、寧ろそう在ってはならない性格の医療機関であろうに、やっていることは真逆の有り様だ。
補助金が出たからといってコロナ患者を受け入れる為に即応体制がすぐに組めるとは限らないことだろう。だから東京医師会は医療体制強化に充てられなかった不適切な補助金は返却する意思を表明したが、尾身会長率いるジェイコーからはそんな声は聞こえてこない。
あの眩しいほどに立派な立派な理念。
“我ら全国ネットのJCHOは地域の住民、行政、関係機関と連携し地域医療の改革を進め安心して暮らせる地域づくりに貢献します”
どの面下げて言う。
こんな連中が指揮してきたコロナ禍は人災そのものだ。
コロナの矢面に立とうともせず、そこまで利益に拘る理由はなんだ。ジェイコーの理事・理事長職が厚労省医系技官の天下りポストだからか、その人達が辞める時の退職金を溜め込む為か。
●コロナ病床拡充は、先ずは公的病院を満床にしてからだ・・・
公的病院が果たすべき義務を履行せず補助金を転がして利殖に勤しんでる時、田村前厚労大臣は補助金に見合うコロナ患者を受け入れない民間病院の名称を公表する主旨を述べた。
しかしそう言われる病院側に、受け入れ患者を増やすなら先ずは公的病院からやるべき、の考えが働いたとしてもなんら不思議ではないだろう、それが道理だ。病院の成り立ちからして病床逼迫にいち早く対応する義務を負っているのだから。
公的病院のコロナ対応が問題視される中、岸田首相は所信表明に際して、公的病院のコロナ病床拡充に触れた。
医療問題勃発時にはその対応が義務付けられた公的病院でありながら、補助金を目的外の利殖に活用する不埒な病院グループを棚に上げ、民間病院に対応を迫るこれ迄を考えると大きな方針転換だ。やっとのこと言ってくれた。
しかし厚労省医系技官が策定したであろう6波に臨む医療体制の想定・設定に疑問が残る。
・感染力が2倍になっても対応出来る病床数の確保。
・受け入れ患者数20%増を要請する。
6波対策の目玉であろうこのこの項目は、どうせ信用ならぬ感染症ムラの多くを占める医系技官が策定した事、とのバイアスが掛かっているせいか素直に耳に届かない。
この想定では“感染力”が2倍としても対応できる体制を設定しているようだが、厚労省の説明が悪いのか感染力あるいは感染者数、とメディアによって表現に違いがある。
文字とおり感染力として、感染者数との有り様を4波と5波を比べると、それぞれの主体α株、δ株とで後者の感染力はα株の1.5倍と言われているが、5波の感染者数ピークは4波のそれの概ね3倍だ。
厚労省が言う6波の病床確保数が、感染力が2倍でも対応できる設定なら、単純計算ではあるが6波では5波の4倍の感染者数に備えなくてはならないことになる。
6波流行の変異株の主体が何なのか、δ株の変異も考えられる。これがより強い感染力を持つとしたら、感染者数が5波の2倍想定は大甘でないのか。
それなのに受け入れ患者数“20%増を要請する”に至っては何んのこっちゃ。
メディアもそのまま“感染力2倍”と言ったり“感染者数2倍”もあり報道が交錯する。厚労省は敢えて分かりずらくしてるのか、とさえ思ってしまう。
ともあれ6波については感染力か感染者数かは分からぬが、とにかく5波の2倍を想定しているようだ。
それでも我々が知り得ない感染症ムラが独占するデータが有り、科学的見知に立った判断をしているのだからこれで良いのだ、と言うなら詳らかに公表すべきだ。
遅蒔きながら岸田首相は公的病院のコロナ対応病床拡充に触れた。これが前政権で実施されていれば、民間病院への波及的効果も考えられ、医療崩壊は避けられたかも知れない。
●6波対策は病床拡充だけで良いのか・・・
どこから2倍が出てきたかは分からぬが、先ずは公的病院から手始めに病床を増やすのは当然のことだ。がしかし果たしてそれだけで済むことだろうか。
1波以来この夏まで1万7千人を超える人災コロナの犠牲者は、PCR検査・診断・治療が即座に行われていれば抗体治療薬が 無かったとしても多くが救われた命ではないのか。
出来もしないくせに入院までの対応を保健所ルートに絞ったが為に、格段で命の時間を費やされ死亡した方々ではないのか。
病床確保は当然のことだが入院に至る迄に時間を費やされては助かる命も救えない。
病床確保以上にPCR検査・診断・治療の即応が重要ではないのか。軽症の内の処方が必須な新しい経口治療薬なら尚の事だ。この改善について厚労省からは未だ何も聞こえてこない。
ここのところ一都三県の新規感染者は一時期に比べ目を見張る程の少なさだが、感染経路不明は千葉県が45%前後、他は50%を超えている。この人達に感染させた多くは依然として市中で行動している、本人自身気付かずに。
1波以来この人達への対策を感染症ムラは何もしてこなかった。今もって何も聞いてない。
それらしいことは薬局での抗原検査キッド販売を認めたことだ。“感染が気になる人は4,000円で購入して調べたら~”と言うことらしい。
6波に向けて岸田首相はPCR検査の拡充を言うが、歴代首相の指示を寄って集って骨抜きしてきた医系技官に又も骨抜きにされてしまうのか。
最早、桁違いのPCR検査を実施すべしの声を抗原検査キッドの販売認可でお茶を濁すつもりのようだ。
医系技官達は何としても、無条件でPCR検査が国民の間に広く普及されることだけは避けたいようだ。
感染症ムラは行政検査としてのPCR検査を、日本の感染症対策機関たらしめる権限の象徴と思い込んでいるのだろう。
この権限がある内はムラが存続し、予算・研究費・天下りポスト等に名を代えた村益を貪れると思うのだろう。
6波迄には何とか経口治療薬が間に合うかも知れないが流行の最中で、5波迄のように感染症法を盾に検査から治療の格段で保健所が介在し時間が浪費されては、せっかく2倍の病床を確保したとしても国民は又も命のリスク晒される。たまったもんじゃない。
厚労省は薬局での抗原検査キッドの販売を認めておきながら、コロナの診断にはこれを推奨しない。片や内閣官房は陰性証明に活用の意向、と隔たりがある。
抗原検査キッドの正確性からすれば推奨はできないだろう。それなら初めから“何時でも何処でも誰でも何回も”PCR検査を活用すれば良いではないか。
6波対策として今から民間のPCR検査も行政検査と同じ扱いにして、指定医療機関での再度の検査を省くべきだ。これにより5波の時のように即座にPCR検査を受けられず、診断・治療が遅れ重症化するリスクが減らせる。
民間の検査技術レベルを否定する理由は何も無いはずだ。
PCR検査を感染症ムラの専売特許にしておく理由は更に無い。
医系技官達よ感染症ムラの権益を守ろうとするあんた達の思惑はとっくに破綻している。
国民はあんた達がやった事・やらなかった事、その弊害を見抜いている。この上の悪あがきはこのコロナ禍の本質が何であったか、より明確になるだけですよ。