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Vol.206 現場からの医療改革推進協議会第十六回シンポジウム 抄録から(1)

医療ガバナンス学会 (2021年11月4日 06:00)


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2021年11月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現場からの医療改革推進協議会第十六回シンポジウム

11月27日(土)
【開会のご挨拶】13:00~13:10

●林良造(武蔵野大学国際総合研究所所長・東京大学公共政策大学院 客員教授)

新型コロナの流行スタートからはや2年がたつ。変異種の誕生と繰り返し押し寄せる波に翻弄されたこの1年であった。それでも、個人の行動変容・検査による隔離・人流抑制・ワクチン・治療薬と、知見と武器は広がりつつあり、幸いにも第5波は急速に収束した。その減少の要因はいまだよくわかってはいないが、菅政権の進めたワクチン接種の加速を背景に、経済活動と感染症対策の両立を求める段階に入りつつある。他方、今回の危機の性質は不確実で大きなリスクであり、多くの人に向けた柔軟な対話型のコミュニケーションが最重要とされている時に、それが機能しなかったことは大きな教訓となった。
新型コロナ問題は日本の医療制度に、科学の視点・政策学の視点・国際比較の視点から新たな光を当てた。今までこれだけ多くの国民が医療提供体制に関心を持ち、その根拠を知ろうとし、外国の状況と比べようとしたことはなかった。その結果多くの疑問が改めて問われてきている。現在最も多く聞かれる声は「なぜ病床数や病院数が多く感染者数がそれほど多くない日本が、医療現場の必死の努力にもかかわらず簡単に医療崩壊に陥るのか?」であろう。また、「なぜ日本ではワクチンの開発・供給が進まないのか?」との声も大きくなった。その疑問は治療薬や検査機器の開発供給にも広がっている。また、PCR検査が総理官邸の強い指示にもかかわらず進まなかった頃には、「誰が妨害をしているのか」「政府の危機管理の司令塔機能は大丈夫か」との声も聞かれた。
これらの疑問は、コロナ以前からの疑問である「医学の教育・研究体制は大丈夫か?」「医師は不足しているのか?偏在しているのか?」「現在の医療供給体制はサステイナブルか?」という点や、「ポストコロナへの移行の道筋は?」などと併せて、医療の全体像への関心を高めた。今回の協議会においても、これらの問題を正面からかつ多角的に取り上げ、本質に迫る議論がなされることを期待している。

 

【Session 01】医療と社会 I 13:10~13:25 (司会:上昌広)

●母さん、「ニポンのドラッグラグは解消した」とか言ってた能天気なおじさんたちはどこに行ったのでしょうね
小野俊介(東京大学大学院薬学系研究科 准教授)

コロナが未だ心配ですが、母さんお身体お変わりありませんか。テレビに新聞に週刊誌に国会にとお忙しいK先生の「現場からのシンポ」も16年目を迎えるのですね。
コロナ禍以前、政府・業界のおエライさんの講演は「ドラッグラグが解消されつつあります」という枕詞で始まるのが常でした。「あんたら気は確かか? ドラッグラグが解消するわけなかろうが」と主張してきた某大学のサル的なヒトは奇人扱いされ続けてきたのですが、もう結果は明らかですね。コロナ禍でニポン人の実力が見事に露呈しました。「新薬やワクチンのことなら大丈夫!ニポンは欧米と同時に新薬が使える安心の先進国だからまったく心配する必要ないよ」などという与太話を信じてる人はさすがに絶滅したと思うのですが、霞ヶ関や日本橋あたりにはいまだにゾンビのように生き続けているのかも。
業界人が勝手気ままに臨床試験をやって、当局が勝手気ままに承認を与えたり与えなかったりしてきた新薬承認文化も、コロナ禍で一斉にあだ花を咲かせました。令和元禄、百花繚乱。お上と裏でにぎってたはずなのに最後にハシゴを外された気の毒な方々もあちこちにいたりして。おかげで「承認審査は神事」という事実に国民のほとんどが気づきました。素晴らしい。母さん、今や一憶三千万人が新薬承認のプチ専門家です。
専門家といえば米国では、アルツハイマー病薬の承認をめぐる政府のテキトーな決定に抗議し、諮問委員を辞めた科学者がいましたね。お上まわりに侍(はべ)ることに命をかけるニポンの専門家文化とはだいぶ違うようです。
研究開発政策をめぐるニポン人の意味不明なスタンスも相変わらず。つい先日も、中国に研究拠点を移す大先生を政治家がこき下ろす光景を目にしましたが、世界のR&D市場(医薬品を含む)における日本と中国の現在の力量を根本的に誤解してるのではないかと心配です。いまだに「新薬開発の目利きを集めて政府が音頭をとればなんとかなる」と喚き続けている人たちが霞ヶ関や大手町にはたくさんいるから。
しかし、あれこれ言ってみたところで僕たちは蚊帳の外。在宅勤務が標準になり、ネットの視聴者参加番組(講義、会議)を自室で視聴して一日が終わります。「K先生、あちこちに出てるなぁ。いつも怒ってるけど疲れないのかなぁ」なんて呟きながらディスプレイを眺め、ネット接続を切れば別世界。薄汚れたお布団と生乾きの洗濯物に囲まれた僕の部屋。どちらがホントの世界なんだろ?
母さんも引き続きコロナに気を付けてください。
草々

追伸
国産ワクチンとやらがそのうち出てくるそうです。国民が皆大喜びしてるのだそうです。国産っていうくらいだから、外国産とはまったく異なる素晴らしいワクチンなのでしょうね。きっと。

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