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Vol.22012 今度は日本医師会の対応が問われるのではないか

医療ガバナンス学会 (2022年1月20日 06:00)


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伊沢二郎

2022年1月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「よく恥ずかしくもなく言ったもんだ」

10日岸田首相との会談後、尾身茂分科会会長は高齢者への三回目ワクチン接種を優先課題として推進するよう要請した、と述べた。

ハ?、一体何時の事をいってるのだろう、この人は。呆れるを通り越すと人は怒を覚えるようだ。

そんな事、上先生はオミクロン株が出現するずっと以前から三回目追加接種前倒しの必要性を指摘されていた。
テレビ朝日でも同様に、役所に忖度しない朝のニュース番組が度々このことを主張していた。

この会談の翌11日、岸田首相は医療従事者や高齢者への三回目追加接種と一般への前倒しをも進めることを表明した。遅そ過ぎて何の感慨も湧かない。

結局、分科会の“僕達は言う事は言ったもんね~”片や“仰せの通り”と聞く力の茶番を見せ付けられた、と云うことか。
どうせ医系技官が気を廻したことだろうが、もっと感動を呼ぶシナリオを作ったらどうだ。

オミクロン株の確たる正体も分からない中、キプロスからは“デルタクロン株”の報告。国内からはオミクロン株にもデルタ株同様、重症化に関与する変異有りの報告。心配の種は尽きないのに、御用学者と政府の掛け合いを見せられた感は否めない。

ワクチン接種を前倒しする、と言っても高齢者の抗体が上がるのは早くて2月以降のことでしょう。既にオミクロンはピークアウトしているかも知れない。
その間にどれ程医療と国民の健康に影響が出ることか、又も緊張と自粛の生活を覚悟しなければならない。

これが、上先生が提起されているコロナ流行の切っ掛けは季節変動による、との前提に立ってこの冬の対策を準備していれば、今にして右往左往することは無かったはずだ。
テレビに出る感染症専門家は多士済々だがこの点に触れる方を見ていない。

流行による感染者の増減の速さは人流の影響もあるだろうが、コントロールできる。流行期に入るか否かはコントロールできず、季節と共に否応無しにやってくる。
コロナの先行きが未だ見えない現状、何を対策するにしても流行の切っ掛けは季節性、との前提に立つべきだ。
その上で状況が良い内に、考えられるリスクに対して様々な対策を講じて置く。このようなこと、感染症専門家でなくとも五回も同じ経験をしていれば難しいことではないだろうに。

最低限すべきは、抗原検査ではなくPCR検査による厳格な入国管理。これでも市中感染は止められないので、セルフチェックができるようにコンビニでも低廉な価格で検査キッドを購入できるようにし自己隔離を促す、とかやれることは有ったはずだ。だが残念ながら第六波の備えは感染状態と医療逼迫度を表す為に“ステージ”を“レベル”に換えた、言葉遊び程度に止まった。

医療の逼迫を起こさない為の変更らしいが、医療逼迫をもたらすのは急激な感染者増だ。感染者が増えるのは避けられないが、そのスピードは事前の対策で抑制できるはずだ。それが医療逼迫を起こさない為の唯一の方策ではないのか。
医療現場の状況を追認するだけの基準はクソのやくにも立たない。(品位に欠ける表現のようではあるが、著しく役立たない様を巷ではこのように言うらしい。)

三回目追加接種前倒しの表明が有った同じ日、岸田首相から近く召集される通常国会では感染症法改正(案)は見送るとのコメントが有った。これでは又も感染症ムラによる同じ失敗を繰り返す事になるのかと思いきやその日、後藤厚労大臣からはコロナの診断治療について、今後は保健所を介さずに行えることが発表された。

これは感染症法の抜本的な改正は後に廻し、やれる事からやる現実的対応に転換したと云うことでしょう。
三回目ワクチン接種が遅きに失した現状、一刻も早い経口薬による治療体制を整えるべきで、これ自体は歓迎すべきと思います。

但し、これが出来るなら前厚労大臣は何故やらなかった。
コロナの対応を保健所ルートに絞ったが為に命の時間を浪費され、即座に治療を受けること無く多くの方が命を落とした、この責任は誰にある。
自らの権益しか考えない医系技官初め感染症ムラか、これを御せない政治か。こんなことでは被害に会ったご遺族はさぞ悔しい思いをすることでしょう。

この度の厚労大臣の治療に至る過程で保健所を介さずとも良いとのコメントは実質、感染症法を改正したことに近い。
何かと弊害ばかりが目立ったこの法律であるが、これからは如何に早く診断し治療に移るかが問われることになるのでしょう。日本医師会に課題が移ったとも言えるのではないか。

その日本医師会・中川俊男会長は定例会見(1/12)で、コロナについて近々その検査能力を超えることになる主旨を述べた。何と言うことでしょう、これでは又も治療に至るまでの時間を浪費されてしまうと云うことか。

何時でも何処でも誰でも検査をやられては、感染症ムラの権限の象徴たる行政検査と言う盾を失う、と考えたからか屁理屈を並べPCR検査を抑えてきた弊害が肝心な時に出てしまった格好だ。

これだけに止まらず。「37.5度、4日間自宅待機」に始まり、飛沫主体感染論・市中感染無視のクラスター調査・無症状者無視の対策・エッセンシャルワーカーへの対策無視・ワクチン接種8ヶ月後・ワクチン確保遅れ・治療薬確保遅れ、等々上げたら切りがない程のミス、不作為を犯してきた。正しく百害あって一利なし、の感染症ムラだ。
今後はこの人達が言うこと、やることを頭から否定して掛かった方が良さそうだ。

オミクロンの今後は治療までの即応体制に掛かっていることなのでしょうが、保健所を介さずとも治療に入れることになった現状、日本医師会の対応に期待したい。
感染症法を盾に権限を振りかざしてきた感染症ムラだが、同様にこれを盾にコロナの矢面に立とうとしない理由を上げる医師会メンバーもいるのではないか。実質感染症法と云う障壁が外れた以上、今度は日本医師会の対応が問われている。

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