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Vol. 265 障害者自立支援法の、「制度の谷間」の問題を先送りにしない政治判断を!

医療ガバナンス学会 (2010年8月18日 06:00)


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早急に、難病患者に、制度の谷間のない障害者福祉の実現を求めます!

「患者の生活・就労をつむぐ会」所属 及び、
「制度の谷間のない障害者福祉の実現を求める実行委員会」呼びかけ人
佐藤香織(福島県在住)
2010年8月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


私は、福島県在住、48歳女性、一人暮らしの難病患者で、病名は、No.63 多発性嚢胞腎、多発性肝嚢胞です。
33歳(’96年/平成8年)に診断、40歳(’08年/平成15年)に発病し、障害者手帳は交付されていません。
腎臓と肝臓に水がたまった袋が無数にできて、どんどん大きくなり、機能が除々に低下していく、遺伝性の難病です。
ですが私の場合は、全国でも稀な、多発性肝嚢胞が進行しています。
(母もこの病気で他界しました。)
つきましては、私の治療歴、症状、日常生活、現状の制度の壁、政府への要望などを以下で述べさせていただきたく思います。

【治療歴】
多発性肝嚢胞の専門医は全国でただ一人です。
川崎市の病院、腎臓内科センターにて、肝動脈塞栓術を3回受けました。
その後、東京都内の病院、胃・食道外科にて、肝左葉切除術を受けました。
現在も福島県から川崎市の病院に定期通院中です。

【症状】
不定熱、腹水で内臓圧迫による食事困難 (水分摂取の制限あり)、腹囲の増大、腰痛、足のむくみ・しびれ、手術後に腸閉塞で2度入院、ヘルニア痛 (起床後は 固定ベルト着用)、癒着痛、癒着による腸の通過障害で食事量の制限あり、腹部の重苦しさ、全身脱力感、極度の疲労感、息切れ (台所に立つのもやっとの状態)等です。利尿剤の副作用も強いです。
月に数回、救急外来受診を繰り返し、そのまま入院になることがあります。

【日常生活】
医師からは、階段ダメ、転倒絶対ダメ、と制限を受けています。
通院、食料の買出し以外は、ほとんど自宅で過ごしています。
長く立っていることも長く座っていることもできなくて、用事が済めば、すぐベッドに横になっています。
買い物は、お腹に負担がかかるので、重い物は持てません。
息切れがして疲れやすいので、外出時は壁づたいにゆっくり歩きます。
冬の間は体調を崩して買出しに行けず、長いことお米もお味噌も切らしていたことがあります。
合併症の激痛に襲われると動けなくて、ずーっとがまんして、やっと電話口まで這っていってタクシーを呼んで、救急室に駆け込みます。
看護師さんから「ひとりで来たの?」と毎回、驚かれます。
8年前の発病から入退院を繰り返していますが、その度に、入院の荷造り、手続き、入院中の洗濯、銀行、退院後の食事管理、買い出し等、ひとりでできなくて、途方に暮れています。

【現状の制度の壁】
腸が飛び出さないように、皮膚が裂けないように行動を制限し、決して無理をしないよう気をつける必要があり、毎日が不安でいます。
県の難病センター、保健所、障害福祉課、健康増進課、社会福祉協議会を案内されて、ひとりで、何度も何度も回りました。
難病ボランンティア、病院のソーシャルワーカーも紹介されました。
しかし、どこも、疾患名で差別されたり、余命があるかないか、歩けるか歩けないかなどの、見た目で線引きされたり、「あなたは軽症」、「あなたへの制度は無い」、「対象外」、さらには「東京へ引っ越すように」と言われ、門前払いです。

専門医達からは、血液検査には肝機能異常は現れず、診断には’役に立たない’病気と診断されています。
現在、日本の障害福祉では、実際の生活上の困難さが反映されず、臓器・疾患別の基準で規定された身体障害だけが、障害者手帳交付の要件とされています。
そのため私は、現状の障害認定では基準が合わず、どんなに生活に制限がか かっていても、「障害者自立支援法」では、申請の入り口で排除され、障害者手帳を取ることができません。

市役所からは、「介護サービスは、障害者手帳と介護保険で賄われているため、『難病居宅生活支援事業』の必要性は無いので、その制度は不要、また、実施検討の予定もなし」との回答をもらいました。
ただし、私のように入り口規制されている難病患者の実態は把握していないとのことです。

行政の支援窓口がないため、自分ひとりで、かかりつけ医、一般病院、専門病院間の連携もこなさなければならず、どの制度にもあてはまらない私は、自分で自分のケアマネージャー、ホームヘルパーです。
ひとり暮らしの私は、どうやって闘病しながら生きてゆけばいいでしょうか。
ほんとうに心身疲れ果て、絶望感に襲われています。

【政府への要望】
現在私が所属している「患者の生活・就労をつむぐ会」では、「制度の谷間をつなぐ『居宅生活支援モデル事業案』」(下記)を提言しています。

このようなモデル事業であれば、政治的判断ですぐに実行でき、マニフェストを優先させ、’命’を守る政治の実現にもつながります。
私のような難病患者でも、家事支援(特に買い物支援)や、通院介助等の「ヘルパーサービス」を利用したいと切に望みます。
この現状を政治主導で”特例”としてご精査いただき、今すぐにでも実行していただきたいです。

最後になりましたが、みなさま、一日も早く、安心した生活を送りたいと懇願している私に、どうか力をお貸しくださいますよう、よろしくお願いいたします。

■■(案)制度の谷間をつなぐ居宅生活支援モデル事業■■
(目的)
1) 介護保険制度、障害者自立支援法、難病居宅生活支援事業(未実施自治体を含む)の「制度の谷間」にあり、介護が必要な状態であるにもかかわらず支援の対象外とされている方に、障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において居宅介護等を提供し、総合的な障害福祉施策の改正に必要なデータ収集等を行う。
2) 緊急課題となっている北九州市や大阪市でおきた慢性疾患をもつ単身若年者の孤独死の問題について、介護等の支援により、人の目を入れ、孤独死を防止し、孤立を防ぐ。
3) 居宅介護等により体力的軽減を計り、疾患・障害の悪化を防ぐとともに、社会参加を促進する

(対象)
1) 介護保険制度、障害者自立支援法、難病居宅生活支援事業(未実施自治体を含む)の「制度の谷間」にあり、介護を受けることができない者
2) 老齢等の理由により、同居者の介護をうけることができない者
3) 慢性疾患をもち急迫状態にある単身者
1)~3) の状態であって支給決定(その他実務参照)でその必要が認められる者に居宅介護等を提供する

(介護内容)
1) 掃除、洗濯、買い物を含めた家事支援全般
2) 身体介護(通院介護を含む)
*障害者自立支援法の居宅介護(家事支援、身体介護)に準じる

(予算)
4000万円 *モデル事業としてデータを収集。初年度は人数を限定し、申し込みが100名を超えたら打ち切りとすることも可能。
一人=2時間の介護×週2回×1年=約40万×100名=4000万

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