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Vol.22037 2月12日「世界胆管がんデー」・2月「世界胆管がん啓発月間」マイナーな難治性がんをグローバルに啓発

医療ガバナンス学会 (2022年2月11日 06:00)


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胆道がんの会(デイジーの会)
代表 渡邊眞佐子

2022年2月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp

2月12日「世界胆管がんデー」/2月「世界胆管がん啓発月間」に際し、患者支援団体「胆道がんの会(デイジーの会)」、は下記の啓発活動を行い、胆道がんの認知向上・理解促進を図ります。

●「国際胆管がん協会」(Global Cholangiocarcinoma Alliance: GCA)と連携し、同協会が主導するグローバルキャンペーン”See CCA”(胆道がんって何?)の一環として、胆道がんに関する基本情報・ビデオ等をFacebook等で発信します。

●弊会のもうひとつの提携団体である「米国胆管がん財団」(Cholangiocarcinoma Foundation: CCF)と連携し、同財団の”Light It Green”(グリーン・ライトアップ)プロジェクトに参加、胆道がんの公式カラーのグリーンで、ビル、病院、橋などの他、個人でもライトアップをし、その写真をFacebook等で発信します。

胆道がんは稀ながんで、5年生存率は5~20%といわれ、予後不良の難治性がんの代表格です。根治が期待される唯一の治療法が外科手術ですが、発見が難しく進行した状態で発見されることが多く、しかもごく限られた抗がん剤しかなく、早期診断法・有効な治療法の研究が切望されております。

この一般的にあまり知られていない疾患の患者支援団体は、これまでなかなか進まない現状がありましたが、皆さまのご支援・ご協力のお陰様でデイジーの会は1年半を迎えることができました。世界では胆道がんの克服(予防・早期発見、患者QOLの向上、予後向上)を目指して、各国の患者団体や研究機関などが協調するグローバルコミュニティーが形成されております。その気運の高まりを日本にも広げ、2月啓発月間中に、デイジーの会は上記のような情報・写真をFacebookに随時投稿します。もし宜しければ、胆道がんの会(デイジーの会)のFacebook投稿を「シェア」などで広めて頂けますと幸いです。(下記は当会のFBリンクです。)

https://m.facebook.com/pages/category/Medical—Health/%E8%83%86%E9%81%93%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E4%BC%9A%E3%83%87%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BC%9A-104312348356454/

私は、肝内胆管がんステージ4の5年サバイバーです。2020年に、デイジーの会をボランティアで立ちあげ、「患者支援・研究支援・疾患啓発」をミッションに活動しております。胆道がん克服のために、患者さん・ご家族、医療者、製薬企業などすべてのステークホルダーが繋がるコミュニティーの形成をしております。

2016年にがんと診断されるまで、私のがんのイメージは、「がんは治せない病気ではなくなった」という世間に流布しているフレーズのとおりでした。乳がんを経験した友人から、たくさん抗がん剤があって、その組み合わせを決めるのが大変だという話をきいており、医学は日進月歩、現代のがん治療とはそういうものだと漠然と楽観的でした。難治性がんがあることは全く知りませんでした。実際、私は11cmの腫瘍の画像を見せられて、肝内胆管がんの疑いありと言われても、その部分を手術で切れば治るのだろうと高をくくり、のんきに予定どおり翌日ベルギーに出発して3週間後に帰国してから大学病院で精密検査を受けようかと迷っており、スーツケースはすでに成田に向かっていました。しかし、内科医をしている友人に、「今すぐ紹介された病院に行け!」と言われ、東京医科歯科大学病院で素晴らしい名医に出会い、一刻の猶予もならない深刻な状況であることをようやく悟りました。生死の分岐点で、最善の出会いと選択に命拾いをしました。

そして、高難度の手術を受けることができたものの、術後数週間で肝転移がありました。このがんのアグレッシブさを思い知り、恐怖に圧倒されました。しかし、術後抗がん剤を2020年3月まで3年3か月続けたところ、幸運にもがんは寛解し、現在は経過観察となっております。

今こうして生きていることに、厳粛な思いを感じるとともに、治療に当たってくださった先生方に、言葉では尽くせないほど感謝をしております。高いレベルのプロフェッショナリズムと懸命な献身に触れ、これまで経験をしたことのないすごい世界を見たことは、私の人生で幸せなことです。

治療終了後に会を始めた直接的なきっかけは、胆道がんの抗がん剤は3種類しかないことを知ったことでした。今時そんなことがあるのかと、衝撃でした。そうした時に米国の「胆管がん財団」に出会い、その志と先進的な取り組みに刺激を受けました。15年の歴史を有し、ボランティア230人もの巨大な団体で、患者支援の細やかな体制の他、独自の研究ネットワークをもち、年間15万ドル(約1,700万円)もの寄付を集めて研究資金として投下しているというものです。奉仕の精神が社会に根付いた欧米の文化とは異なり、日本では同じようにはできないとしても、少しでも胆道がんの研究が進むよう、胆道がんが治せるがんになるように、患者として何かできないかと思うようになりました。奇跡的に命を救って頂いたことへの深い感謝の思いが原動力となり、一念発起しました。

とはいえ、悲願である新薬につながる研究の支援にはまだまだ時間がかかりそうです。少しずつHPから始めてみると、一人また一人と患者さんやご家族がメールを下さり、切々と苦境を訴えてこられます。それぞれの方の素晴らしい人生の歴史を感じ、この難敵との闘いに、祈る思いです。患者支援とは何をしたらよいのか、未だに思考錯誤ですが、個別にそれぞれの方の状況・問題に応じて、先生のアドバイスを得たり、然るべき相談先を紹介したりしております。患者さんが闘病するための環境・条件整備のお手伝いができればと思います。主治医以外に、「ちょっと聞いてみたい」という存在が患者会なのかと思います。足元に灯を翳して、道を照らしながら進めればと思います。

闘病の条件づくりのひとつとして重要なのが、「疾患に関する正しい知識の普及」です。それは患者さんのみならず、一般の方に対しても重要だと感じます。疾患啓発は患者会の基本的な役割と位置づけ、デイジーの会は、HPや、専門医のセミナーなどを実施し、疾患知識の普及に取り組んでおります。

上述のように、この超マイナー疾患の啓発のためにグローバルな協調が始まったことは心強い限りです。2月の啓発活動には、「国際胆管がん協会」の提携団体(英国、米国、タイ、日本)の他、デンマーク、イタリアからも参加する予定です。また、グリーン・ライトアップは、日本ではまだまだ小さい規模ですが、将来だんだん広がるように頑張りたいと思います。胆道がんのことを多くの人に知って頂き、少しでも早期発見につながることを願います。また、胆道がんで亡くなられた方への追悼と、現在戦っておられる方々への応援の思いを共有する機会になればと願います。

皆さまのご協力・ご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

—————————————————–
◆胆道がんの会(デイジーの会)
東京を本拠とする胆道がんの患者団体。2020年7月設立。患者支援、研究支援、疾患啓発をミッションとし、胆道がんの克服をめざし、患者・家族、医療関係者、製薬企業等すべての関係者が繋がる胆道がんコミュニティーを形成。胆道がんに関する情報提供、闘病のための環境・条件を整えるサポート等を行うとともに、診断・治療法向上のための研究を支援する募金活動にも取り組み、胆道がんの克服を目指す。
https://tandougandaisy.jimdofree.com/

◆国際胆管がん協会(Global Cholangiocarcinoma Alliance)
英国Surrey。2018年発足。胆管がんの予防・早期発見、診断・治療向上、予後向上を目指し、胆管がんの認知向上・理解促進のためにグローバルな協調を促進する団体。欧州、米国、タイ、日本から、医師・研究機関・患者団体・製薬企業等が参加。デイジーの会は2022年に正式に提携。https://globalccaalliance.com/en。参加団体は下記:
AMMF-The Cholangiocarcinoma Charity – www.ammf.org.uk
The Cholangiocarcinoma Foundation - www.cholangiocarcinoma.org
TargetCancer Foundation – www.targetcancerfoundation.org
Cholangiocarcinoma Foundation of Thailand – www.cca.in.th
Cholangiocarcinoma Screening and Care Program (CASCAP) – https://cloud.cascap.in.th/
Cholangiocarcinoma-UK – www.basl.org.uk/index.cfm/content/page/cid/28
European Network for the Study of Cholangiocarcinoma – www.enscca.org/
Japan Cholangiocarcinoma Association (Daisy Association) – https://tandougandaisy.jimdofree.com

◆胆管がん財団(Cholangiocarcinoma Foundation)
米国Salt Lake City。胆管がん患者の家族により2005年設立。患者支援、研究支援をミッションとし、新薬開発に結び付く研究促進を目指して独自の国際研究ネットワークInternational Cholangiocarcinoma Research Networkを設立・運営し、研究資金の調達(寄付)から配分まで行う。のべ参加数5,000人、ボランティア230人、世界最大級の患者団体。デイジーの会は2021年に正式に提携。
https://cholangiocarcinoma.org/

 

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