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Vol.22049 アフガニスタンの医学生に提供する臨床・公衆衛生研究トレーニング

医療ガバナンス学会 (2022年3月1日 06:00)


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この記事は、2022年2月15日にMRIC Globalに掲載されたものを日本語に翻訳しました。

シャヒドベヘシティ医科大学
ショーラ・カデリ

2022年3月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

アフガニスタン生まれの医学生として、私は常に自国の医学研究の発展をフォローしてきました(ここでは、便宜的に臨床研究や公衆衛生学的研究も包括して医学研究と呼称します。なお、基礎研究をアフガニスタンで実施するのは設備等の関係で困難です)。アフガニスタンにおいて、これら医学研究は、まだまだ未成熟な段階です。これまで、私立大学や非政府組織(NGO)などが、現地の研究者に対してのトレーニングプログラムを提供し、また、彼らがプロジェクトを遂行できるよう、様々なサポートを実施してきました。

しかし、2021年8月、タリバンがアフガニスタンで実権を握った後、ほとんどすべてのNGOが国外に退去してしまいました。さらに、大学の管理体制はより強直的なものに変化し、医学研究活動は弱体化しつつあります。ただ、良いニュースもあります。最近になって、タリバン政府は、公立大学の男女共学化を発表しました。大学においては、性別による区分を設けてはいるものの、ほとんどの学生が入学を希望し、教育を受ける機会を享受しています。

2020年以降、尾崎章彦医師と私は、アフガニスタンの女性・子ども・弱者などの健康問題について、複数の調査を行ってきました。そして、最近、医学研究に興味を持った医学生を対象に、オンラインとオフラインの両方で、そのスキルや知識を身につけるためのトレーニングを提供することを思いつきました。私はこれまで、アフガニスタンの様々な地域の医学生と長期にわたるネットワークを築いてきました。そして、自身の経験から、彼らに対して、研究を通じて、健康問題や医療の歪みを明らかにしていくことの重要性を伝えてきました。しかし、多くの学生は、十分な知識や技術を持ち合わせておらず、医学研究を遂行することが難しい状況です。

そこで、2022年2月9日にソーシャルメディア上で医学生に対して呼びかけを行いました。そして、Google Meetアプリケーションで彼らとフリーディスカッションを行い、彼らのニーズや要望を把握することにしました。

さて、今回のディスカッションには合計で10名弱の学生が参加してくれました。そして、私たちは、全ての学生に対して、医学研究についての想いやどのようなサポートを必要としているかについて、自由に話をしてもらいました。その目的は、できる限り、その想いに沿ったサポートを彼らに実施するためです。学生の大部分からは、「医学研究に対する正式な教育やトレーニングを受けたことがない」といった意見が聞かれました。中には、「医学における研究の重要性がよくわからない」という意見も聞かれました。私はこのような意見も大事だと感がれています。すなわち、彼らに対して、基礎の基礎からサポートを実施することが重要だということを伝えてくれるからです。

一方で、「アフガニスタンにおいては、多くの人が命を落としているような健康問題や病気がたくさんある。しかし、十分な研究が実施されていない」と言った声も聞かれました。そして、このように問題意識を持った学生たちですから、私たちが、彼らに対して医学研究の授業を計画していることを喜び、意欲的に受け止めてくれていました。

さて、彼らの要望に応えるため、今後、医学研究の基礎を学ぶ定期的な講義やマンツーマンの研究相談プログラムを企画するつもりです。もちろん、初心者である彼らが、「意味ある」医学研究を実施するための技術や知識を身につけることは、簡単ではありません。間違いなく、長期的、かつ弛まない努力が不可欠でしょう。しかし、このプログラムが、この学生たちの人生を変えるような体験となり、アフガニスタン全体の研究能力を高めることができるよう、私たちはあらゆる努力を行っていきたいと考えています。

お手伝いをいただける方がいましたら、ぜひお声がけくださいますと幸いです。

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