最新記事一覧

Vol.22068 コロナ詐欺注意報!

医療ガバナンス学会 (2022年3月29日 06:00)


■ 関連タグ

北海道大学医学部
金田侑大

2022年3月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

今回の記事は悲しいタイトルで始まります。平素よりお世話になっています。エディンバラ大学に留学中の北海道大学医学部医学科4年、金田侑大です。

最近のエディンバラは、既にアフターコロナ、という雰囲気が濃厚です。お隣のイングランドでは、2月21日の議会でコロナに関する規制の完全撤廃が決まり、24日から完全に”元通りの日常”が戻ってきたみたいです。感染者には自主隔離が推奨されるものの、その法的義務などはなくなりました。また、無料で行われていた迅速抗原検査も、4月1日で廃止されることが決まりました。この判断に対しては、現在多くの議論を呼んでいて、国民保健サービス(NHS)の上層部は、英国政府に対し、新たに打ち出した指針(COVID-19 Response: Living with COVID-19 – GOV.UK ( www.gov.uk ))の根拠となったエビデンスを公表するよう求めています。その代わりとして、年1回のワクチン接種は引き続き推奨されます。現在、イングランドでのコロナワクチンの接種予約は12歳以上を対象としていますが、今後は5~11歳に対しても接種が開始される予定で、メディアの情報では4月中に予約開始となるそうです。ちなみにですが、これら小児に対しては、ファイザー社製のワクチンが、大人の量の1/3投与されます。接種間隔は12週間です。

私がいるここ、スコットランドでは、未だ公共施設でのマスク着用や感染者の隔離が求められます。とはいえ、人気のバーは週末ともなると外まで大行列、大学も留学生向けのツアーなどを用意してくれていて、デルタ株が流行していて何もできなかった先学期に比べると、アクティビティという面でははるかに充実しています。こちらの学生は、心のどこかで“感染するのは当たり前”と考えている気がします。親しい友達から、
「コロナ陽性って出たからみんなも検査してね」
とグループにメッセージが来た時、焦ってあたふたする私を横目に、フラットメイトは一言。
「俺は2週間前にもうコロナ罹ったから大丈夫だよ」
コロナがすごく身近な存在になっているなと感じます。もう、罹ったことがあるのが当然、というか。今のところ、スコットランド自治政府の保健相フムザ・ユーサフ氏は、自主隔離と無料検査は「重要な介入手段」であり、それを取りやめることは推奨されなかったと述べています。ここでの規制はまだ完全撤回とまではいかないと考えられますが、それでも、コロナ自体に対する人々の心理的障壁は極めて低いものになっています。

日本ではコロナに感染したことを公表することに、大きな壁があると思います。周囲の目も厳しいですし、国民性からか、周囲の人に迷惑をかけないように、という意識も強いと思います。そのため、日本が3月3日以降、イギリスを「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」による指定から解除されたというニュースには大変驚きました。これに伴い、ワクチン3回接種済みで接種証明書を保持している方は、入国後の自宅等待機を求められなくなりました。ワクチンを3回接種済みでない方は、日本への入国後、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省(入国者健康確認センター)に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。加えて、これまでは許可されていなかった入国後の待機のために自宅等まで移動する際の公共交通機関の使用も可能となります。我々留学生にとってはとても嬉しいニュースです。ただし、ワクチン接種証明書の有無及び接種回数にかかわらず、「出国前72時間以内の検査証明書」の提出や帰国・入国日における検疫所での検査等は引き続き必要となり、証明書に不備がある場合、航空機への搭乗が拒否されることもあるそうなので、浮かれて帰るときに足元をすくわれないように少し注意が必要です。

あと、足元をすくわれるという意味ですと、最近イギリスではNHSを装ったコロナ関連詐欺が頻繁に発生しています。私の元にも、写真のようなSMSが届きました(写真1,2)。NHSが支払い情報の入力を求めることはなく、また、現在、イギリスでは濃厚接触者は検査が必須となっているわけではないため、こちらに住んでいる人はあまり騙されることもないと思うのですが、日本のように濃厚接触者のフォローアップを行っている国からいらっしゃる方は特に注意が必要です。このような混乱に乗じた詐欺などは日本でも頻繁に起こっているようで、2020年には警察庁によると、コロナウイルス関連の特殊詐欺の認知件数は55件(うち未遂2件を含む)、総額1億円の被害が出ています。2020年の世界の詐欺件数は過去最多(2019年の約1.9倍)だったそうで、感染対策は国によって異なるものの、これに関連する詐欺は世界共通の社会問題となっています。感染対策に留まらず、自分の身を守るためにも、コロナというものになんとなく慣れてしまうのではなく、常にニュースなどに関心を持ち、政府の最新の指針を把握していくことが重要です。

とはいっても、実は最近の私の懸念は別のところに傾いています。ロシア・ウクライナ情勢です。詳細は次回のMRICでしっかり書かせていただきたいのですが、日本やイギリスに関連するトピックを、先に共有させていただきます。まず、日本郵便は、3月8日より、イギリスへの通常郵便物(書留・保険付含む)、小包、EMSの航空扱いなどを停止し、現状、船便のみの取り扱いとなっています。また、イギリスを含む各国が続々と、ロシア国籍の航空機の各国乗り入れを禁止する措置を取っています。日本-イギリス便も直接影響を受けるのですが、JALが現在臨時で採用している北回りルートでは、羽田発-ロンドン着の場合、右側(K席)に座ると、北方向に出現するオーロラを見れることもあるそうです。

少し悲しいニュースが続いてしまったため、今回はこのようなプチお得情報で筆をおかせていただけますと幸いです。エディンバラでは恐ろしいほど何も変わらない毎日が続いていますが、北海道-沖縄ぐらいの距離のところでは、毎日多くの人が苦しみ、死に、未来を失っています。1日でも早くそのような日々が終わることを願っています。
http://expres.umin.jp/mric/mric_22068.pdf
(写真1,2)
【金田侑大 略歴】
フラウエンフェルト(スイス)出身。母は日本人、父はドイツ人。私立滝中学校、私立東海高等学校を経て、現在は北海道大学医学部医学科4年に在学中。2021年9月よりイギリスのエディンバラ大学に留学し、医療政策・国際保健を学んでいる。日本でOREOが食べれなくなったと聞いて、毎日食べています。

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらのフォームに必要事項を記入して登録してください。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ