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Vol.22151 コロナ対策、権限強化で何をする

医療ガバナンス学会 (2022年7月29日 06:00)


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伊沢二郎

2022年7月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

7/1専門家会議後、感染研・脇田隆字所長は「しばらくは状況は悪くならないと見られるが、再び感染拡大はありうるので・・云々」と述べている。その後程無くコロナ流行スピードは連日前週の2倍を超え、7/12の東京は一万人超えに達した。

しばらくは状況は悪くならないと言ってから10日程のことだがコロナの流行周期からすれば、暫くとは10日でないことは確かだろう。こんないい加減な話が有っていいのか。一体、この人は何を根拠に政府に助言してるのだ、ただの勘によることか。
流行の実態を何処よりも掌握している機関にしては余りにお粗末過ぎやしないか。

新たな変異株の拡大スピードに違いはあるとしても、過去二年夏の流行を鑑みれば素人の私でもその時点で、暫くは状況は悪くならない、とは言えたもんじゃないくらいは分かる。

この助言を真に受けて実施の判断をしたかどうかどうかは分からぬが結局、全国旅行支援は9月に延期となった。準備をしてきた宿泊業や観光業者への影響は小さくないのでは。

それにしても国の感染症トップ機関が暫くは大丈夫と言った端から感染者が前週比倍増するとは多くが思わなかったのでないか、これでは医療機関始め各方面方々が対応に窮するのは否めない。

7/11、尾身茂会長は前述の脇田所長の見事なまでの予察違いを補足するように、暫くは大丈夫と言ってから10日目で七波に入っていると述べた。がしかし行動制限を求める段階には無いとも述べた。
でっ、どうするの。具体策が出ると思いきや何も無し。
コロナ対策を牽引する筈の両者のコメントに安心を得るどころか、暑い時節柄なのに背筋に薄ら寒さ覚えた。
それでも国民としてはこの連中が差配すると云う悲劇の下で対応せざる得ないので、これ迄の失敗を活かした次の対策には注目していた。

出てきた新方針はコロナ司令塔を強化する、当然過ぎることだ。それはそうで在ろうが具体策らしきものはと言えば、医系技官好みの“権限強化”だ。
たった二回の形ばかりの検証では推して知るべし、こんなもんでしょう。

感染陽性者を確定し隔離する事に絡む義務も権限も有るのに、市中の陽性者をほったらかしにしてきたこの人達の権限を更に強化することで事態が収まるのだったら、こんなに良いことはない。
権限強化するのだから緊急事態宣言でも何でもやったら良いではないか。

尾身会長言うようにそれは「国民の理解は得られないだろう」その通りだ。
国民の理解が得られないとすればそれは、緊急事態宣言そのものではない。一波以降六波迄、流行実態が悪化しないと対策が出て来ないことにだ。そんな組織は要らない、弊害有るのみ。

これ迄の人的・経済的・社会的、損失を出した経験を今後に活かすんだったら第三者による本格的な総括をすべきだがやらなかった。
やれば医系技官初め専門家の判断ミス・不作為・不手際・勉強不足、そして何より世界では例外の検査抑制策が大失敗であることが明らかになってしまうと考えるのだろう。

どうせ形ばかりの検証で済ませるくらいなら、ちゃんとした総括はせずとも六波までに尾身会長初め専門家が言った事・言わなかった事、やった事・やらなかった事、の逆をを行けば粗方は、まともな対策に繋がるのではないだろうか。

(例えば)

<やらなかった事→結果>

・桁違い検査拡充→感染者が市中に蔓延
・ワクチンと治療薬の手当不手際→救える命を失った
・エッセンシャルワーカー積極検査→高齢者施設の感染拡大

<やった事→結果>

・感染対策飲食業狙い打ち→他の感染リスク見落し、飲食店困窮・職場喪失

<言った事→結果>

・飛沫感染→感染拡大を抑制できず

<言わなかった事→結果>

・空気感染→換気の重要性が伝わらず感染拡大に繋がった

・コロナ流行と季節性→流行期の事前対策が後手に廻る・自粛解除が遅れる

以上メディアや識者のコメントを注視していれば素人でも思い付くことです。

極々最近、医療ガバナンス研究所・上 昌広理事長によれば分科会議論の結果、間切りが換気効果を妨げると言うサイエンス、一年前の総説に沿ったと思われる結論に至った。

これはコロナ感染経路は空気感染によることが根拠で在ろうが、ダイアモンドプリンセス号の検証経験をした日本であれば何処よりも早く空気感染に気が付いて良い筈だ。

流体力学を学んだ者でもなくとも間切りやパーティーションが空気の流れに淀みを作ることくらい迄は容易に分かる。専門家で在るなら空気の淀みが感染を助長させることの結論に至ったのが何故今なんだ。
ダイアモンドプリンセス号の経験を活かせばもっと早くに空気感染対策ができて当然だが、それ迄の飛沫感染改め空気感染にすると検査対象が不特定になる、と考えるからか。それは桁違いの検査拡大に繋がる、と考えるからか。

日本人の衛生観念と医療レベルを以てすれば、もっと少ないコロナ犠牲者に抑えることができた筈だ。7/16現在コロナ死亡者は3万1,585名、責任を感じないか。

尾身会長は、コロナも後二年でインフルエンザ同様の普通の病気になる主旨を述べた。いずれそうなるかも知れないが、だから何だ。大騒ぎするなと言いたいのか。
BAー5は軽症でも後遺症により様々な社会的機会を失う。動物実験ではあるが肺で増える研究報告も有る。二年先には普通の病気だと言ったところで何になる、無駄口は慎んだ方が良いと思うが。

そんな暇が有るなら、7波に向け権限を強化をすると云うことだから権限を活かして、国民が頻回にセルフチェックできるよう検査キッドをコンビニでも安価に購入できるよにしたらどうだ、これで自らの健康管理と他への感染も減らせる。勿論治療薬の確保は言う迄もないが。
この二つができれば、二年も待たずして明日からでも普通の病気扱いでも結構だ。

 

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