医療ガバナンス学会 (2022年8月16日 06:00)
北海道大学医学部
金田侑大
2022年8月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
東京大学教養学部2年の杉浦蒼大さんは、2022年5月に新型コロナウイルスに感染した際、ある必修科目で回復後に行なった欠席連絡が受理されず、感染期間中の講義や課題への補講対応が認められないまま、単位が取れずに留年となりました。杉浦さんが異議申し立てをすると、成績表の点数が17点減点され、その上で大学より、「補講対応に関わらず、単位不認定である」との返答がありました。杉浦さんは、減点の理由を尋ねましたが、1か月半以上、大学からの十分な説明はありませんでした。困り果てた杉浦さんは、周囲と相談の上、8月4日に文部科学省にて会見を開き、大学に説明と、補講対応をお願いしました。
これに応じる形で、翌8月5日、東京大学教養学部長による報道への抗議文が公開され、「欠席当日の夕方に大学のサイトにアクセスした形跡があることから、杉浦さんにコロナ感染による重篤な症状があったとは認めがたい」と大学側は主張しています。また、その文書においては、17点の成績変更については言及されていませんでした。その後、メディアからの取材で、成績変更の理由が「教員による成績入力ミス」によるものであったと初めて明かされました。
上記の一連の対応を含め、大学は杉浦さんの欠席連絡の不備を指摘し、コロナ感染の診断書を認めず救済措置を行いませんでした。その一方で、説明なく成績の引き下げを行い、理由を聞きたいという彼の願いに応じませんでした。これらは、学生と教員との今後の信頼関係を脅かすものであり、とても悲しく感じます。また、実際には、当該科目において、コロナ感染学生の欠席連絡の遅れが、特別に認められるケースもありましたが、そこに、学生と教員との間で共有された規定はありませんでした。結果として、杉浦さんがやむをえず回復後の5月25日に行った欠席連絡では、感染期間中に当たる5月24日の授業・課題に関する補講対応が認められた一方で、5月17日実施分に関しては不受理と判断され、補講は実施されませんでした。
そのため、杉浦さんは、コロナ感染期間中の授業・課題に対する補講対応と、自身の成績に関する十分な説明を、一貫して大学にお願いし続けています。加えて、コロナに感染した学生の対応を画一的に当てはめた結果、他にも複数の学生が、話し合いの場も十分に持たれないまま、成績に多大な不利益を受けてやりきれない思いをしているのが現状です。いま声を上げなければ、今後も多くの学生がコロナ感染などによる不測の事情により、教育の機会を失ってしまう可能性があり、これは日本にとって大きな損失です。そこで、東京大学教養学部には以下の対応を求めます。
(1)代替措置を受けられなかったコロナ感染学生との、対話の場を持ってください。
(2)本来8月19日に予定されている成績確定を保留し、コロナ期間中の授業・課題に関して代替措置を実施するなど、柔軟な対応を行ってください。
(3)代替措置による成績の再処理を踏まえ、9月2日の進路選択の機会を、コロナ留年生にも保障してください。
(4)杉浦さんが勇気を出して声を上げたことに対して、今後、不利益な取り扱いをしないようにしてください。
この活動は、コロナに感染した学生が、安心して学ぶ機会を保障するためのものです。あなたの署名が、日本の将来につながります。以下のフォームから署名へのご協力、何卒よろしくお願いいたします。
令和4年8月15日
発起人一同