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Vol.22215 コロナ第8波を迎える前に…… 新しい体制の問題点

医療ガバナンス学会 (2022年10月24日 06:00)


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介護福祉士・ライター
白崎朝子

2022年10月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

9月30日にコロナ陽性と判明し、10月11日まで、一人で自宅療養(籠城)を余儀なくされました。
29日午後、ぞくぞくと寒気がし、喉の痛みはなく咳がでてきたので、「久しぶりの喘息発作かな?」と、気管支拡張剤を服薬し、ステロイド吸入もしました。いつもなら、それで軽快しますが、その日は軽快しなかったためプレドニン(ステロイド)を内服しました。ステロイドを内服した直後、26日に数時間一緒に過ごした友人から、「今朝、発熱し検査したらコロナ陽性だった」とメールがきました。
私は医療用検査キット(1500円という格安)を行きつけの調剤薬局で入手していたので、すぐ自己検査しましたが、29日19時段階では陰性。しかし陰性にも関わらず、38℃台の熱がでてきたため、カロナールを服薬しました(私は平熱が35℃台なので、38℃台の熱は人生のなかで数える程しかでたことがありません)。

パルスオキシメーターを購入してあったので、発熱した29日夜から、熱とサチュレーションを計測して記録しました。しかしカロナールの薬効が切れた翌朝30日早朝6時00分、39℃の熱発。サチュレーションも91~92と危険水域に……。
東京都の発熱相談センターに連絡し、自宅から一番近くで検査ができる医療機関を紹介してもらい、30日11時30分に予約しました。
東京都の発熱相談センターからは「タクシーもバスも使わないでください」と言われたので、自転車で15分弱で行ける、自宅から一番近い医療機関しか選択の余地がありませんでした。

計測した熱とサチュレーションの記録と症状のメモを清書してもっていきました。何回も同じ説明をするのがきつかったからです。しかし清書した紙を受付で提示しても、「必要ない」と見てもくれず、検査で陽性だとわかっても、いま服薬している薬、アレルギーの有無、既往歴すら聞かれず(問診票も書かされず)、院内処方でロキソニンと消炎剤と咳どめが出されました。
「喘息があるからロキソニンは副作用がこわい」と伝えましたが、「うちにはロキソニンしかありません」と受付の女性に言われ、医師への確認もありませんでした。コロナ陽性者への支援について書かれたA42枚の説明書を、なんの説明もなく渡されて終わりでした。私のあとに検査にきていた人は1人のみで、特に混んでいた訳でもなかったのにです。

私は2012年に喘息となり、高脂血症もあって服薬治療中です。重症化リスクが高いだけでなく、唯一の血縁者の息子が福祉施設の管理者のため、感染してもエッセンシャルワーカーの息子には世話にはなれないと、感染予防にはかなり気をつけてきました。
新しいシステムを新聞で確認しましたが、本来なら私は保健所に届け出てもいい対象ではないかと思いました。陽性だと分かる前に、サチュレーションは91~92まで下がっていましたし、のちに医師の友人から、「危なかったね」と言われました。
ちょうどコロナ感染者が保健所の管理下から外される時期と重なっていたため、知識がない人、65歳以下でも重症化リスクがある人、また家族などから支援を受けられない一人暮らしの高齢者は、医療機関がこんな対応で大丈夫なんだろうか……と強く思いました。

2020年2月から介護現場のコロナ問題やクラスターを取材して、このメルマガにも何回か投稿してきました。重症化しても入院できない事例をいやというほど記事にしてきました。罹患しても自宅療養(籠城)できるよう、2020年2月から経口補水液(OS1)、お粥、薬などの備蓄をしてきました。特に私は脱水になりやすい体質と主治医から言われてきたので、OS1を切らしたことはありません。また今回は、虫の知らせだったのか、野菜等をまとめ買いし、冷蔵庫を満杯にした翌日に発熱しました。
しかし食糧はありましたが、カロナールやロキソニンの副作用か、胃が苦しく食べれなくなりました。さらに下痢(最高一日10回の水溶便)が一週間も続きました。食べれなかった今回、OS1が一番役に立ちました。

またパルスオキシメーターで、寝ている時間以外は、1~2時間おきに熱とサチュレーションを計測、記録しました。サチュレーション93以下が継続したら、自分で救急車を呼ぶつもりで、入院に必要な荷造りもしていました。今回、サチュレーションを継続計測して分かったのは、熱が高いとサチュレーション値は下がるということでした。
また息子が職場でクラスターを3回経験しており、DMATの医師からいろいろ教わっていたことや、息子も8月に感染していたので、SOSが出しやすい状態でした。実際は息子にきてもらったのは一回だけでしたが、うつす心配をせず、きてもらえると思えたのは、精神的安定につながりました。 上先生の講演会を一緒に開催した仲間や、旧友が徒歩2~15分圏内に複数いて心配してくれました。

そしてサチュレーションの低下はパルスオキシメーターでないとわからないということがわかり、パルスオキシメーターを買っておいて良かったと痛感しました。今年、医師の友人が感染したとき、パルスオキシメーターが1週間たっても保健所から届かなかったため、それを聞いた私はすぐAmazonで注文しました。しかし2週間も届きませんでした(陽性になってから注文しては間に合わないということです)。
これからインフルエンザとコロナが同時に流行すると言われています。政府による旅行支援、秋の行楽シーズンで、陽性者は増加傾向にあり、「すでに第8波に突入している」と言う人もいます。
仲間たちにはMLなどで、パルスオキシメーターの購入と、OS1、食糧の備蓄を強く呼びかけています。 ちなみに私と同時期に掛かった友人は解熱しても咳、手足のしびれ、味覚・嗅覚異常があるとのことでした。

15日に検査キットを購入した調剤薬局に行って、発熱外来の対応について話したところ、「自分たちがうつったら困るから、問診なんかしないで早く帰って欲しかったのよ~。コロナだと他の医療機関は門前払いなんだから、診てもらえただけ有り難いと思わないとダメよ~」と言われ、呆然・絶句しました。
私が取材してきた介護職員たちは危険手当すらなく、医療知識のない介護職員が身体介護を伴う陽性者対応を余儀なくされています。第7波では高齢者施設のクラスターは過去最多で、状況は悪化しています。
10年以上掛かっている漢方内科の医師は、今回の発熱外来の医師の対応に批判的でした。重症化リスクがある陽性者で保健所に報告義務がある上、問診票記入すらなかったのは、やはりおかしいと思い、その医療機関を紹介した東京都発熱相談センターに電話して、ことの顛末を話しました。すると小規模の医療機関は自治体の保健所に報告して欲しいと言われました。

本日、保健所の「医療安全相談窓口」という部署の保健師に、発熱外来の医療機関の対応について感じた疑問を報告しました。「その医療機関には匿名でクレームがあったと伝えます」という返答でした。 話を聴いてくれた保健師には、「私もかつて公務員で保健師さんたちと一緒に保健福祉センターで働いていたこともあります。みなさんのご苦労は誰よりも理解しているつもりです。区議会議員の友人にも話しましたので、新しい体制下で陽性者が安全に療養できるよう、働きかけしていきます」と伝えました。私の住む杉並区では昨年、自宅療養していた若い男性が亡くなった事件が起きています。

感染したと思われる9月26日から20日以上たちました。微熱が続き、脈拍は普段より20~30も多く、咳がでます。サチュレーションも94~96をいったりきたりしています(平素は98~99くらい)。コロナ後遺症なのか、喘息なのかがよくわかりません。しかし今回、けして軽症ではなかったと認識し、信頼関係のある漢方内科の医師に受診しつつ、新しい体制下で陽性者が安心して自宅療養できるよう、杉並区や都に働き掛けをしていきたいと思っています。

2022年10月17日

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