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Vol.22228 現場からの医療改革推進協議会第十七回シンポジウム 抄録から(6)

医療ガバナンス学会 (2022年11月4日 06:00)


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2022年11月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

11月27日(日)

【Session 07】若手の活躍 9:35~10:05 (司会:上 昌広)

●裁判傍聴をきっかけに感じたこと
鎌本紗衣(浜松医科大学医学部医学科5年)

今年の1月から臨床実習が始まった。幸い、新型コロナで中断されることもほぼなく、現在まで実習を行うことができている。学生という立場だからこそ、患者さんとのお話から学ぶことも多く、臨床の現場で様々なことを学ばせていただいている。
遡れば、新型コロナ流行が始まったのは私が大学3年生の時である。部活は概ね継続できていたものの、講義はすべてオンラインに代わり、自由な時間が急にできた。この時期に私は座間事件の公判を傍聴した。そして、この裁判傍聴をきっかけに、若者の自殺問題の深刻さに問題意識を持つようになった。
日本における2021年の自殺者数は約2万人に上る。60歳以上が最も多いが、19歳未満は約750人、20歳代は約2600人と若い世代の自殺も見逃せない。15歳から39歳の若い世代で自殺が死因の第1位となっているのは、先進国(G7)の中でも日本のみであり、国際的にみても深刻な現状である。この背景には、60年代の団地化、80年代のコンビニ化、90年代のケータイ化で人間関係全般が空洞化したことがあるだろう。親戚や地域の人との連携が希薄化し、親や学校の教師・友人、SNS上の知り合いという、限られた関係だけが残った。SNS上にしか捌け口がないということも、よくあることではないだろうか。身近な人であれば親身に話を聞いてもらうことができても、SNS上の知り合いは所詮、見ず知らずの第三者だ。誹謗中傷の的となり、悪循環を生じてしまうこともあるそうだ。
自殺は家庭環境、友人関係、健康問題など複合的な要因が連鎖していて、非常に介入が難しいのも現実である。しかし、様々な生きづらさを抱えた若者に、もっと社会全体で目を向けるべきだと私は思う。
私は将来、医療者の立場から人々が生きやすい社会の実現を目指したいと考えている。今回の発表では、このことに関し、私がインターン中およびその後で何を経験し、感じたかについてお話ししたい。
●新型コロナ感染学生を切り捨てる東京大学教養学部
杉浦蒼大(東京大学教養学部理科三類2年)

私は、今年5月の新型コロナウイルス感染によって留年となった東京大学教養学部2年生です。不当な留年措置の撤回を求めて、文科省にて記者会見を開き、その後東京大学を提訴するに至りました。
コロナ対応における学生軽視の姿勢は、東京大学全体の基本方針に見られます。例えば、95%の学生が反対するなか、教養学部では2022年度より定期試験における新型コロナ感染学生への代替措置を撤廃しました。この決定により、一部科目において、新型コロナ感染、あるいは濃厚接触者となった学生が、強制的に単位不認定となる状況が発生しました。教養学部は、この問題に関する学生との対話を拒絶しています。
新型コロナ感染による学生の学修機会損失は、コロナ禍において見過ごせない重要課題です。少数の感染学生を切り捨てる東京大学の姿勢は、教育機関としてあるまじきものです。私の事例は、ほんの氷山の一角にすぎません。
大学を相手に奮闘した半年間を振り返りながら、皆さまに現状をご報告します。
●異郷で初期研修を開始して感じたこと
遠藤通意(三豊総合病院初期臨床研修医)

昨年度の就職活動の一次募集でうまく行かず、上先生や尾崎先生などに協力していただいた結果、就職先は香川県観音寺市にある三豊総合病院に決まりました。自分が就職する病院/地域は、それまで訪れたこともなく、他の人たちからはいつも「なぜその場所なのか」と聞かれるようなところです。自分の卒業大学である帝京大学同級生は、関東か地元、もしくは有名病院に就職した人がほとんどで、全国の多くの医学生が同様の傾向にあります。 そうした状況の中、就職してから右も左もわからず、かつ情勢が日々変わるコロナ禍の中で、あっという間に約8ヶ月が経ちました。その中で苦労したことも、よかったことも、感じたことが数多くありました。
研修を開始して最初に苦労したことは、地名・医療機関名と方言でした。医療従事者や患者さんとの会話で飛び交う言葉がよく分かりませんでした。そのため、すぐ調べたり、メモを取って後で調べたりして対応しましたが、仕事に慣れていないこともあり物事がスムーズに進まず、時間がかかってしまうことが多くありました。
また、医師として働いていく中で、都内との医療の違いや基幹病院の負担、新型コロナで特に顕著だった救急車のたらい回し、糖尿病の有病率の高さなど、現場での問題を徐々に認識していきました
研修医の仕事以外では、土日も返上して時間外まで働くほどに忙しくはないため、勤務時間外の時間がそれなりにあります。これは以前、多忙により研修医が辞めてしまったことや、働き方改革、人口減少などの影響です。そこで私はその時間を使い、上先生からレターのご指導を受けたり、福島関係に携わらせていただいています。新型コロナによってzoomなどのコミュニケーションツールが発達し、遠隔で行うことが十分可能になったためです。
以上のような、異郷の地で初期研修医として働く中で苦労したこと、良かったこと、医療現場で感じたこと、8ヶ月で成長したことなどを、より具体的な出来事も踏まえてお話しさせていただきます。
●コロナ下の実習、そして異郷での研修
小坂真琴(公益財団法人慈愛会今村総合病院研修医)

大学在学中に医療ガバナンス研究所でインターンシップ生として長くお世話になっておりました。オレンジホームケアクリニックでの研究も継続しております。一昨年のシンポでオレンジでの研究の顛末を一部紹介しましたが、その後も、在宅診療においてビデオ通話によるオンライン診療が往診の代わりの手段となりうることを議論した論文を発表しました。ちょうどコロナ禍でオンライン診療に注目が集まっていたこともあり、NHKや福井新聞、読売新聞の「医療ルネサンス」でも内容を紹介いただきました。
そして医学部を卒業し、「異郷に出るべし」との教えに従い、高校までを過ごした関西、大学時代を過ごした関東を遠く離れ、錦江湾と桜島を間近に臨む鹿児島市内の総合病院で研修をしております。右も左もわからない病棟、「西郷どん」で予習したもののあまり通用しなかった鹿児島の方言(「わっぜ」etc)とイントネーション(〇〇さん⤴)、2年ぶりのどか灰(夕方戻るとじゃりじゃりの自転車…)を乗り越え、1年目の研修を行っております。自顕流と琵琶の習得には未だ遠く、殿(島津さん)のご指導を仰ぐばかりです。
みなさま、鹿児島でお待ちしております。

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