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Vol.23005 mRNAワクチン接種メリット・デメリットの年齢層別比較』

医療ガバナンス学会 (2023年1月10日 06:00)


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槇 和男

2023年1月10日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2022年10月9日時点で厚生労働省に登録されたmRNAワクチン関連の死亡例は約1900件であるが、その殆どはワクチン起因であるかどうかの判断が厚生労働省によって保留されている。私は医師ではないので、そのメカニズムや死因判断や後遺症の症状については言及を避けて、一つだけ判りやすいと思われる解説を引用しておくに留める( https://isom-japan.org/article/article_page?uid=C22Sq1652348266 )。

当然ながら、ワクチンには感染予防と重症化予防という利点もあるから、このような情報だけでワクチン接種の意義を否定することはできない。メリットとデメリットをバランスよく評価することが必要である。その際に現状データの範囲での最悪ケースを考慮する必要があるので、ここでは、公表されたワクチン関連死亡報告データがワクチン起因であると仮定して議論することにする。内容の詳細は別途公開してある(http://www.asahi-net.or.jp/~aw7k-mk/vaccine_maki.pdf)。

それぞれの感染波に晒された平均的な個人について、ワクチン接種による感染死防止効果(メリット)がワクチン接種による関連死確率(デメリット)を上回る条件は、オーダー程度(10倍位の誤差を許す)の判断であれば、
感染死率=感染リスク(感染規模)× 感染致死率 > ワクチン関連死率
と表現できる。これら各項目について入手可能な資料から年齢層別に見積もって比較した。

結果として、およその処、コロナ感染死率がワクチン関連死率を超える閾値は50歳位であることが判った。つまり、これ以上高齢側であれば、ワクチンを接種した方が死亡の確率を下げられていたことになるが、逆に50歳以下だと誤差の範囲内であり、個人としては、積極的にワクチンを接種した意義が疑われる。従って、ワクチン関連死についても、少なくとも、感染死と同じようなレベルで扱い、その死因を解明することが必要である。
ただし、上記の議論はあくまでも一つの目安であって、以下の事を充分考慮する必要がある。

1.これはその年齢層での平均的なデータを元にした推論にすぎない。感染リスクの低い人(あまり出かけない人)や関連する持病の無い人は実年齢より若い年齢層に近いと見なせるし、逆に仕事上感染リスクが大きい人や持病を持つ人はより高齢者層に近いと見なせる。各自が判断すべきことである。
2.これは「死亡」のリスクであって、より現実的な比較因子は感染、ワクチンそれぞれの「後遺症」のリスクと思われる。年齢依存性についてはおそらく同様な傾向と思われるが、まだ十分なデータが明かになっていないので、解析ができない。「同程度の後遺症」について、感染後遺症とワクチン後遺症の頻度比較をする必要がある。
3.これは過去の感染波のデータを元にした個人としてのリスク評価であって、社会的リスクとは異なる。例えば、この個人的リスク評価によって、ワクチン接種をしない人が増えれば、感染規模が大きくなり、感染リスクそのものが上がり、更に医療崩壊ともなれば感染致死率も上がるから、ワクチン接種の方が死亡リスクを下げられるようになる。感染症特有の非線形性(原因や対策に対して累乗則で被害規模が変わる)はこういう処にあり、他の感染対策においても同様である。もしもワクチン接種に問題があるならば、他の感染対策を、その功罪評価をした上で、組み合わせて考えるべきである。

 

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