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Vol.23019 福島県立医科大学理事長選挙の結果に対する所感:福島県いわき市の医療に竹之下理事長が果たしてきた貢献とは

医療ガバナンス学会 (2023年1月31日 06:00)


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公益財団法人ときわ会常磐病院
尾崎章彦

2023年1月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

福島県立医科大学の理事長選挙の結果が、世間を賑わせている。まとめると、大学職員の投票する意向調査で対抗馬に大差をつけられた竹之下誠一現理事長が、その後の選考委員会で選出されたことが批判されているのである。理事長戦の選考プロセスについてはすでに様々な媒体で議論されているため、ここでは議論しない。

代わりに筆者が紹介したいのは、竹之下理事長が、福島県いわき市の医療に果たしてきた貢献とその意義である。就任からの6年間で、竹之下理事長が福島県の医療の充実に努めて来られたことは、おそらく多くの方々が知るところだと思う。ただ、いわき市の医療への貢献に限ると、あまり知られていないのではないか。

福島県いわき市にあり、筆者が勤務する公益財団法人ときわ会常磐病院は、2021年に基幹型臨床研修病院に認定された。筆者はそのプロセスに責任者として関わってきたが、竹之下理事長以外の方が理事長であったとすれば、このような結果は得られなかったと確信している。

近年、新規に基幹型臨床研修病院に認定されることは、極めて困難となっている。なぜなら、場当たり的に新しい条件が加えられてきたからだ。中でも満たすことの難しい条件が、「合計24ヶ月、1人当たり8週間以上」という初期研修医の教育実績だ。この条件を満たすのは簡単ではなく、当院も認定を得るにあたって大いに頭を悩まされた。

そこで福島県立医科大学の竹之下理事長にご相談したところ、当院を福島県立医科大臨床研修プログラムの協力型研修病院に指定いただくことができた。福島県立医科大学とのたすき掛けプログラムが実現し、これを選択した研修医が1年目に当院での研修を行ってくれたことで、なんとか上記の条件を満たすことができた。無論、この条件を満たした後も、当局との調整や膨大な事務やりとりが存在し、その結果認可に繋がったわけだが、この研修医の受け入れが極めて重要なターニングポイントであったことは間違いない。

2022年には基幹型研修病院として、定員2名で初めての臨床研修マッチングに臨み、2人の初期研修医を受け入れることができた。2023年には4人の初期研修医を受け入れる予定だ。筆者は僭越ながら臨床研修センター長として初期研修医の教育に携わっているが、初期研修医の受け入れは、単純なマンパワーの増加に留まらず病院全体の活気上昇に、さらに地域の他の病院をも刺激して、いわき市の地域医療全体の底上げにもつながっていると感じている。

竹之下理事長は、福島県立医科大学の内部・外部に関わらず「どうすれば福島の医療をよくできるか」という視座の下に、県内をくまなく見渡しながら行動なさっている方だ。選考プロセスの課題は示されたかもしれないが、筆者の主観を差し引いても、福島県立医科大学の理事長にふさわしい方であることに異論の余地はないと考えている。

 

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