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臨時vol 21 高久通信 「女性の男性評価の二面性」

医療ガバナンス学会 (2006年7月31日 02:15)


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2006年7月31日発行

かつて女性は自分の伴侶として頼りがいのある男性を選ぶと考えられていた。しかし、近ごろは優しい男性を選ぶ傾向があるようである。果たしてそうであろうか。最近、アメリカの研究者がこの問題に関して一連の研究を行い、興味ある結果を報告しているのでご紹介したい※。

彼らは、18歳から33歳の39人の男子学生に対して、まず各々の普通のときの写真を撮っている。その写真は髪形が分からないように、卵円型のフレームの中に入れて示される。次にその男子学生たちの唾液を取り、その唾液中の男性ホルモン(テストステロン)濃度を測定する。さらに男子学生たちに20組の大人と赤ちゃんの写真を見せ、どちらの写真が好きかを聞く。次の段階として研究者たちはこれらの男子学生の写真を年齢が18歳から20歳までの女子学生29人に見せ、その写真から各々の男子学生の“子どもが好き”“男らしい”“格好がよい”“親切”の程度を7段階に分けて評価してもらう。さらに各女子学生に各男子学生が“束の間の恋の相手として好ましい”と思うか、あるいは“結婚にまで至る長い付き合いの相手として好ましい”と考えるかを選んでもらう。
この一連の実験結果は、若い女性の男性に対する直感の正確さを反映したものとなっていた。すなわち女性が写真を見て判断した男性の子どもに対する好き嫌いと、その男性が示した子どもの写真の選択がよく一致していた。また女性が写真を見て、男らしく一時の恋愛の相手としたいと判定した男性は、唾液中のテストステロンの濃度が高かった。反面、女性が結婚を考えて長い付き合いを望んだ男性は、子どもが好きだと判断された男性であった。

この研究結果は、女性が男性の魅力を判断する基準に、男性ホルモン濃度と子どもに対する愛情の二つがあることを初めて客観的に示した仕事として紹介されている。この結果はよく考えてみれば当たり前のように思える。しかし、前者の男性ホルモンの濃度に代表される男らしさが男性の魅力としてよく取り上げられているのに反して、子どもが好きだということが男性の魅力として今まであまり取り上げられてこなかった。その意味でこの研究は評価に値するといえよう。従来、男性は女性を母親に向いているタイプと恋人タイプとに分けるといわれてきたが、女性も基本的には同じように男性を父親向きと恋人向きに分けているようである。問題はこの両方の特徴を男性がいかにして女性に伝えるのか、また、いったん恋に陥った女性がこの二つのタイプを冷静に認知できるのか、ということであろう。

※Roney, JR, et al.: Proceedings Royal Society B: Biological Science
doi:10.1098/rspb.2006.3569
■著者紹介
高久 史麿(たかく ふみまろ)
自治医科大学内科教授、東京大学医学部第三内科教授、国立病院医療センター院
長、国立国際医療センター総長を歴任後、平成7年5月東京大学名誉教授、平成
8年4月から現職(自治医科大学 学長、日本医学会 会長)

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