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Vol.23088 コロナが5類に移行したあと、私たちの日常生活はコロナ前に戻れるのか?

医療ガバナンス学会 (2023年5月22日 06:00)


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この原稿はAERA dot.(2023年4月19日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/dot/2023041800006.html?page=1

内科医
山本佳奈

2023年5月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

世界保健機構(WHO)が新型コロナウイルス感染症を世界的な大流行とみなせると表明したのが2020年3月11日。コロナパンデミックも4年目に突入したことになりますが、日本政府は「2類相当」に分類していた感染症法上の分類を、来月の5月8日には「5類」に移行することを決めています。

5類感染症とは、「感染力や重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性が最も低いとされるもの」です。季節性インフルエンザ、麻疹や風疹、感染性胃腸炎やRSウイルス感染症など、一般的な感染症が「5類」に分類されています。つまり、新型コロナウイルス感染症は、「感染した時の重篤化など危険性が高い感染症」から、「一般的な感染症の一つ」として認識されることになるというわけです。

5類引き下げに伴い、感染者や濃厚接触者の外出自粛要請を含む行動制限や、検査や治療など医療費の負担など、今まで実施されていたコロナ対策は大きく変わっていくことになります。それに伴い、私たちの日常生活も変化していくことになるのは間違いないでしょう。

アメリカでも、2022年3月に出された公衆衛生上の緊急事態宣言が、来月の5月11日に終了となる予定です。それに伴い、新型コロナウイルス対策チームも解散する予定であることが報じられています。「新型コロナが私たちの生活を混乱させることはもはやなくなったが、コロナ感染症は終わっておらず、コロナ対策が政権の優先課題であることに変わりない。緊急段階からの移行は、新型コロナ対応における自然な展開だ」と政府関係者は述べています。

そんなアメリカにおけるコロナパンデミックの収束に関する考えや、コロナによる生活影響に関する現状が、3月末に報告されましたので紹介したいと思います。

ニュージャージー州のマンモス大学が2023年3月16日から20日の間に、アメリカの成人 805 人を対象に電話で実施した世論調査によると、コロナパンデミックは終わったと思っている一般市民はわずか24%にとどまり、「いずれ終わる」は20%、「終わることはない」が53%に上っていたことがわかりました。半数以上が、パンデミックが終息することはなく、ただコロナと共に生きていかなければならないと考えていることがわかりました。また、「日常生活がコロナ前に戻ったかどうか」という質問に対し、69%が少なくとも大半は元通りだと回答し、このうち完全に戻ったという回答は34%を占めていました。20%は部分的に元通りになったと回答し、11%は全く戻っていないと回答したと言います。

日本では4月の段階で9割近くの人がマスクを着用しているという調査結果が報じられていますが、上述したマンモス大学の世論調査によると、半数近くが公共の場では少なくとも時々フェイスマスクを使用すると回答しましたが、5人に1人しか、いつも(9%)またはほとんど(12%)マスクを着用していないことが明らかとなりました。サンディエゴに長期滞在している私が、最近何度か目にしたのは、比較的高齢の方が薬局やスーパーマーケットに入る際や、自家用車から降りる時に、手にしていたマスクを着用するという光景です。「公共の場ではマスクを少なくとも時々使用する」という回答を、まさに反映しているように感じます。

さて、先日「もしかしたらコロナに感染したかもしれない……」と思ってしまうほどの体調不良に陥りました。背中を中心とした関節痛や、37度後半の微熱や倦怠感が次第に強くなり、寝込んでしまったのです。4月初め、人生で初めて5キロマラソンに参加したこともあり、疲れが溜まっていたのだと思います。それに加えて、春先に多い朝晩の気温差の変化なども、身体には少々負担だったのでしょう。微熱や強い倦怠感で寝込んでしまう前には、疲れが溜まる度に出現していた口唇ヘルペスもできてしまっていました。

私の場合、普段の風邪や睡眠不足による体調不良であれば、翌日には改善してしまうことがほとんどです。今回は症状出現から2日経っても改善せず、むしろ悪化傾向にあったことから、自宅にあった抗原検査を実施しました。幸い、結果は陰性。その結果に安心したのでしょうか。翌日には、熱も下がり、すっかり回復に至りました。病院に行かなくても容易に検査ができることに、改めて便利さを感じるとともに、体調を崩したことで「コロナと共に生きていかなければならない」ということを再確認する経験となりました。

 

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