医療ガバナンス学会 (2023年6月15日 06:00)
この原稿は中村祐輔の「これでいいのか日本の医療」(2023年5月24日配信)からの転載です。
https://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2023/05/24/213721
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
理事長 中村祐輔
2023年6月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
ハリウッドの#MeToo運動につながったワインシュタイン事件の取材活動を映画にした「SHE SAID」を観た。被害者に対する圧力、新聞社(ニューヨークタイムズ)に対する圧力など見ていて、聞いていてうんざりするような映画だったが、告発された事件は、今回の事件と重なって見えた。そして、正義のために立ち上がって苦しみ・もがき続け、正義のために大スクープを発した新聞社が米国にはあったのだ。日本の腰抜けメディアとは対照的だ。
今回の大騒動もBBCの番組がきっかけだった。マスコミは故安倍総理に対する忖度を非難し続けたが、自分たちにそんな資格があったのか問いかけて欲しいものだ。大スポンサー企業が不祥事を起こしても扱いは小さく、大スポンサー企業の非科学的な宣伝をニュースにする。追い落としのために、権力者に利用される記者もいた。報道倫理など絵空事にしか見えない。「天に唾する」「ブーメラン」と揶揄している政党とどこが違うのだ。
しかし、忖度することと、悪事を見逃すことは別だと思う。相手の気持ちを慮って行動することは、決して悪いことではないし、思いやりの文化につながるものがあると思っている。悪いことに目をつぶるのは忖度ではなくて、単なる自己利益のための卑怯な態度のだ。自分の利益を棄損するリスクのある場合には、見ざる・聞かざる・言わざると貫いていて、何が「公益のために報道する」権利だと言うのか!オフレコ発言をすっぱ抜くことが正義と誤解して、メディアの意地汚さをさらけ出している姿に気づかないのだから、世の中がおかしくなるのだ。
メディアの責任が問われている事件だ!