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Vol.23127 心理学を悪用した副作用隠蔽事件

医療ガバナンス学会 (2023年7月21日 06:00)


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鹿児島県 志布志市 井手小児科
井手節雄

2023年7月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

タダラフィル事件は、選択的ホスホジエステラーゼ5阻害剤と言われるタダラフィルが、実はホスホジエステラーゼ11を阻害するにも関わらず、ホスホジエステラーゼ11を阻害することの危険性を隠蔽して、絶対禁忌の薬を難病治療薬として販売しているという事件です。
何よりも悪質なことは、添付文書で、タダラフィルが、ホスホジエステラーゼ11を阻害する薬であることを分かりにくくしていることです。
そして、専門家を騙して、タダラフィルがホスホジエステラーゼ11を阻害することの危険性を取るに足りない小さなものと錯覚させるために、誤誘導という心理学的なマジックが仕掛けてありました。

タダラフィル事件は、「まさかそんなことが有るはずがない」という正常性バイアスという人間の心理学的な特性を巧みに悪用した医薬品の歴史に例を見ない副作用隠蔽事件です。
タダラフィル事件が表沙汰にならない理由には、いくつかの「まさか」が有ります。
1)開発研究で安全性が確認されていない薬が物質特許を取得していたというまさか(タダラフィルは1995年に選択的ホスホジエステラーゼ5阻害剤として物質特許を取得しましたが、その5年後の2000年に、ホスホジエステラーゼ11が発見されて、タダラフィルはホスホジエステラーゼ11も阻害する物質であることが判明しました。タダラフィルはホスホジエステラーゼ11を阻害することの危険性が研究されることなく、物資特許を取得した薬ということになりました。タダラフィルがホスホジエステラーゼ11を阻害することで、低血圧の発症という副作用が発生します。低血圧の発症は、イーライ・リリー社の肺動脈性肺高血圧症治療薬アドシルカを服用している肺動脈性肺高血圧症患者にとっては突然死を意味します。イーライ・リリー社は薬と偽って毒を売る会社です)
2)薬品メーカーが副作用隠蔽のために添付文書にからくりを仕掛けることはないとおもってしまうまさか
3)薬品メーカーが誤誘導というマジックなどを使うはずがないというまさか
4)薬品メーカーが絶対禁忌の薬を、治療薬として販売するはずがないというまさか
5)副作用の被害者の死亡原因と、病気による死亡原因がおなじであるというまさか(肺動脈性肺高血圧症の患者の死因の25%が突然死であり、50%が右心不全による死亡です。アドシルカによる低血圧が起こった場合、肺動脈性肺高血圧症患者は右心不全による突然死を起こします。副作用隠蔽のために、イーライ・リリー社はこのことも計算しているのでしょうか)
6)副作用の被害者の死亡で、証拠の残らない副作用隠蔽事件があるというまさか
7)専門家が、副作用隠蔽のマジックに騙されて、薬の危険性を指摘できないというまさか
8)難病友の会の顧問医師達も薬の危険性に気づくことができないため、副作用の危険性に声を上げられなかったというまさか

タダラフィル事件はばれないための条件をクリアーした、悪質な有害物製造販売事件でした。
しかし、イーライ・リリー社が裁判で嘘をついたことが、自分で墓穴を掘ることになりました。イーライ・リリー社は添付文書に仕掛けたからくりを自分で暴露してしまいました。
タダラフィル事件の解明はなかなか困難なものでした。医師である私自身がタダラフィルの副作用の重大さを認識できたことと、私が心理学と生化学に興味を持った医師だったこと、勇気を出して裁判をしたことがイーライ・リリー社の副作用隠蔽事件を暴くことに繋がりました。
世界のビッグファーマを相手に裁判を戦うことは、私にとっては勇気のいることでした。しかし、これ程の事件に気づきながら、このまま泣き寝入りしたら「医師として人として、死ぬまで後悔する」と思いました。
この、イーライ・リリー社の副作用隠蔽事件がマスコミなどで取り上げていただき、タダラフィルの副作用隠蔽事件が公になることを心から願っています。
難病の患者は藁にも縋る気持ちで薬に頼ります。その頼りにする薬で命を奪われるなど、あまりにも理不尽なことです。
勇気あるジャーナリストを待っています。

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