医療ガバナンス学会 (2023年8月17日 06:00)
この原稿は中村祐輔の「これでいいのか日本の医療」(2023年7月6日配信)からの転載です。
https://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2023/07/06/225223
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
理事長 中村祐輔
2023年8月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
確かに文献を読むと、薬に抵抗性のうつ病に対して、数回の服用をするだけで、年単位で症状が改善されたとの報告もある。医師を厳格に指定したうえで・・・・・・と制限がついているが、現実的には大きな課題が残っており、オーストラリアの規制当局も、利用ガイドラインは専門家が作成することになっていると言っている(逃げている)ようだ。幻覚によって犯罪が発生した場合に責任を問われることになるのだから、利用の仕方については関わりあいたくないのだろう。
文化・歴史的な背景が異なれば、考え方も異なって当然だが、やはり、このような幻覚作用が知られている毒物の医薬品としての承認には懐疑的だ。両薬品ともセロトニンやその受容体に関わる部分に作用しているようだが、作用機序は完全にわかっているのではなさそうだし、個人間で作用・副作用のばらつきが大きそうなので、もっと科学的な検証が必要だと思う。
日本でもようやく、同じ薬を同じ量投与しても反応が違うことが認知されてきたのだが、これらのように幻覚作用を持つものについてはさらなる慎重さが必要ではないのだろうか?