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Vol.23162 まつ毛エクステで結膜炎 女医が滞在中のアメリカで選択した「治療」とは?

医療ガバナンス学会 (2023年9月13日 06:00)


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の原稿はAERA dot.(2023年7月26日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/articles/-/196866?page=1

内科医
山本佳奈

2023年9月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

先日、結膜炎になりました。高校生の時に結膜炎を引き起こしてからというもの、目のトラブルを経験したことはなかったので、実に20年ぶりのことでした。

気がついたのは、夕方5時ごろのこと。ジムで、筋トレとサイクリングを30分ずつ行い、帰宅してシャワーを浴びて洗顔しようとしたときでした。あまりの痛みにびっくりし、鏡を見てみると、白目の部分が左右どちらも真っ赤に充血していたのです。

「結膜炎だ……」

そう思った私は、その日の午前中、自宅近くのサロンで、まつげエクステをつけてもらったときに、液体が入ってきてとても痛かったことを思い出しました。その刺激で結膜炎になってしまった可能性があると思った私は、担当してくださった女性に連絡してみたのです。

すると、「まつげエクステをした後、結膜炎になるのは、コモンなことよ。この目薬を使ってみるといいわ」と、アメリカの薬局で購入できる目薬の詳細が送られてきました。

なんと、日本を代表する目薬ブランドの目薬ではありませんか。「それならきっと効きそうだ」そう思った私は薬局に直行し、おすすめされた目薬を購入しました。

ゴロゴロするような異物感と、ジュワッとした熱感や痛みも感じるようになっていたので、さっそく、購入した目薬を両目に点眼しました。症状が改善することを願い、点眼を続けることにしました。

翌日には、目の充血がやや改善。2日後には、充血がかなり改善したのです。3日後には、異物感や熱感が消失し、4日後には、充血も症状も消失し、完治することができました。悪化するようだったら医療機関を受診しようと思っていましたが、その必要もなく済んだのでよかったです。

さて、20年ぶりに発症した「結膜炎」ですが、英語では「conjunctivitis 」といいます。「pink eye」ともいいます。「pink eye」の方がイメージしやすいからなのでしょうか。「Pink Eye Drops」と書かれた目薬を、アメリカの薬局ではよく目にしています。

アメリカ疾病予防センター(CDC)によると、結膜炎の主な原因は、ウイルス・細菌・アレルゲンです。その他に、化学薬品、コンタクトレンズの装着、コンタクトの不適切な使用(長期間の使用や、不適切な洗浄など)、目の中の異物(抜けたまつ毛など)、煙やほこり、化学物質との接触なども原因となってしまいます。
結膜炎になってしまった時の症状は、充血(白目部分がピンク色または赤色になる)だけではありません。結膜(白目の部分とまぶたの内側をおおう薄い層)やまぶたの腫れ、涙の量がふえる、異物感(目に異物が入っているような感覚)、かゆみ、刺激感、灼熱感(ヒリヒリ、ちくちく、焼けるような痛み)、排出物(膿や粘液)がでてくる、コンタクトレンズをつけた時の不快感なども、よく見かけられる症状です。

一般に、原因に関係なく結膜炎の症状は同じ、または似ているため、結膜炎の正確な原因を特定するのは難しいと言われています。私の場合、まつ毛エクステをつける時の異物による目の刺激が原因となり、結果的に、結膜炎になってしまったのではないかと、思われます。

では、結膜炎になってしまったら、どうすればいいのでしょうか?CDCによると、

結膜炎の治療は必ずしも必要ではなく、コンタクトの使用を中止し、結膜炎による炎症や乾燥を和らげるために、市販されている点眼薬や保冷剤を使用する
とあります。

結膜炎の症状に加えて、目の強い痛み、目のかすみや光に対する過敏症、強い充血といった症状がある場合や、症状が悪化し改善しない場合、HIV感染やがん治療など病気や治療により免疫力が低下している場合には、医療機関を受診するよう指示がなされています。

「市販の目薬で対応していいのかな、大丈夫なのかな」「やっぱり医療機関を受診した方がいいのかな」私自身、結膜炎を発症した直後は、このように不安に駆られてしまいました。しかし、CDCのページを検索し、必要な情報を手に入れることができたので、安心して目薬をさして、様子を見るという対応を取ることができました。

内科外来の診療でも、たまに見かけることがあった結膜炎。結膜炎になってしまった時は、ぜひ参考にしてみてくださいね。なお、どう対応したらいいか分からない場合は、自己判断せずに、医療機関の受診をおすすめしたいと思います。

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