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MRIC Vol.23204 現場からの医療改革推進協議会第十八回シンポジウム 抄録から(7)

医療ガバナンス学会 (2023年11月14日 06:00)


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現場からの医療改革推進協議会第十八回シンポジウム 抄録から(7)

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2023年11月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現場からの医療改革推進協議会第十八回シンポジウム

11月26日(日)

【Session 09】
コロナワクチン評価研究 10:30~11:05 (司会:坪倉 正治)

●趙天辰
(福島県立医科大学放射線健康管理学講座博士課程1年)

なぜ日本の研究者は世界で成功できないのか―福島ワクチンコホートを通して

現在、私の所属している坪倉研では、新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体価を評価するコホートを遂行している。福島県の2,500人について、2019年9月から定期的に採血を行い、ワクチン接種前後の抗体価の推移を評価している。2023年11月現在で、同じ対象者に繰り返し7回にも及ぶ採血が実施された。
2,500人もの人々の協力を得ることは、東日本大震災を経験した福島だからこそ実現できたことだ。相馬市・南相馬市・平田村との、震災でいただいたご縁が、今回のワクチンコホートで生かされている。この場を借りて改めて御礼申し上げます。
また、数億円かかる抗体価の検査費用など、資金面で実施可能になったきっかけは、坪倉研が提出した研究課題が、2021年度に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より採択され、研究資金を獲得できたことによる。
しかし、喜んだのも束の間、ここからが悪夢の始まりであった。
本発表では私の実体験をもとに、平和に終わったと思えた2021年度から、平穏な日は1日も無かった2022年度までの、AMEDおよび福島県立医科大学の事務方と起こした数々のトラブル・戦争を紹介していきたい。非常に痛い目に遭ったため、ある程度の偏見とバイアスがかかっていることをご了承ください。

 
●福山英啓
(関西医科大学附属光免疫医学研究所免疫部門教授、国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター感染症ユニット客員主管研究員)

次世代ワクチン開発

COVID-19パンデミックから私たちは何を学び、次のパンデミックに何を備えるべきか? もし、日本国内のある都市が、中国の武漢と同じような状況になったら? パンデミック前の生活に戻り始め、この問いを真剣に考える機会が減ってきているように感じる。
封じ込めのための「検査」、集団免疫樹立のための「ワクチン」、感染者に対する「治療薬」が防疫の3つの柱となる。この3つの中でも「ワクチン』の貢献度は高い。COVID-19パンデミックでは特に、これまでの感染症ワクチンになかったmRNAワクチンの登場が、迅速に集団免疫の樹立を実現し、感染規模を縮小し、感染症による重篤化を防ぎ、パンデミック収束に大いに寄与した。この大規模ワクチンは、研究面においても今後大きな貢献が期待される。実は、これほど短期間で大規模なワクチン接種が行われたことは、過去に例がなかった。人の免疫について知るまたとない機会である。今回の福島ワクチンコホート研究は、その規模においても世界でも優れたもので、ワクチン効果について時系列を追って調査している点で他に類を見ない。加えて、mRNAの長期的な人体への影響についても検証が可能となる。
今回、私たちが行った福島ワクチンコホート研究で使用した人工ウイルスについて紹介する。変異株の遺伝情報をもとに、人工的に偽ウイルスを作成し、ワクチン評価を行っている。利点は2つ:多量のサンプルを用いた解析が短時間にできることと、国内に入る前の変異株であっても評価が可能になることである。私たちの研究の大きな方向性として、より安全で簡易な次世代ワクチン開発を目指している。行政レベルでクリアしなければならない問題はあるが、将来的には、針のない、自分で接種できる「未来ワクチン」を提案している。ワクチンがコンビニまたは家で接種できるようになれば、子供から高齢者まで安心してワクチン接種が可能となる。集団接種という莫大な時間、労力、費用を削減でき、結果的に、パンデミック抑制の鍵となる集団免疫樹立の早道になると考えている。

 
●坪倉正治
(福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座主任教授)

新型コロナウイルス感染症への今後のワクチン接種

新型コロナウイルス感染症に対する有効な対策の一つは、ワクチンである。その一方で、繰り返しの接種に対する評価は十分になされてこなかった。我々のチームは2021年9月より、福島県内を中心とする2,500人の方々の継続的な採血へのご協力の下、免疫状態の長期的な評価を行ってきた。
これまで、3回、4回、5回と接種を続けた際の免疫状態の全体的な変化、個人差、重症化予防に関係すると思われる細胞性免疫の変化、新しいVOCに対する評価、自己抗体の発生など、幅広い評価を行ってきた。
本セッションでは、これらの結果を網羅的に紹介すると共に、これらの結果から見える今後のワクチン接種の有効性・安全性について議論したい。

 

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