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Vol.23234 学生が考える日本の医療改革 ― 『現場からの医療改革推進協議会シンポジウム』 体験記1

医療ガバナンス学会 (2023年12月21日 06:00)


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University of the People Health Science Bachelor’s Degree
加藤華

2023年12月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

11月25‐26日、都内で開催された『第18回現場からの医療改革推進協議会シンポジウム』に、インターン生として参加した。より良い医療を実現を願い奮闘する方々を見て憧憬の念を抱くと共に、どのようにして人と人が繋がり、それがどのようにして医療現場の改革へ繋がっていくのかを学ぶことができた。本稿でご紹介したい。

●自己紹介
私はアメリカの大学で公衆衛生や医療政策、地域医療について学んでおり、国際色豊かなクラスメイトと世界の健康問題や医療格差について議論している。日々感じることであるが世界の多くの国と比べ、日本の医療制度は素晴らしい。例えば保険制度だ。日本は第二次世界大戦以降、公的医療制度及び医療・福祉サービス体制が着実に構築され、国民の健康はある程度保障されるようになった。乳幼児死亡率は格段に低下し、平均寿命は現在に至るまで延長され続けている。

http://expres.umin.jp/mric/mric_23234-1.pdf
Picture 1(Sugiura, Yasuoka & Jimba, 2010)

平均寿命は戦前の約45歳から現在では80~85歳まで向上した。第二次世界大戦を境に平均寿命が急激に延長されていることが分かる。

経済協力開発機構(OECD)は、日本の医療は世界最高レベルであり、国際保健機関(WHO)は日本を健康達成度と健康寿命で世界1位と評している (Japan Medical & Health Tourism Center, n.d.)。
その一方、地理的医療格差や医師不足など解決すべき問題も多く存在する。「日本の医療はもっと変わっていく必要がある。」 そう漠然と思っていた。だが自分が何をすればいいのか分からない。それで進路を含め今後の方向性を掴むために、医療ガバナンス研究所のインターンに応募することにした。

●医療改革のためのアプローチ
この協議会に関わって最初に感じたのは、参加者の背景が非常に多様であることである。シンポジウムには医療関係者だけでなく、政府関係者、教育関係者、メディア関係者、経営者なども参加していた。 「これは医療現場についてのシンポジウムじゃないのか?」と私は驚いた。私の大学では、医療改革について医療・保健機関、そして政府の役割にばかり注目が当てられているからだ。

私が考える『現場からの医療改革推進協議会』の目的はこうだ。
1.医師同士、病院同士の交流や連携を推進すること
2.医療現場と他の分野の人材を引き合わせ、繋ぐこと
3.医療現場が必要としている改革をあらゆる組織や省庁にダイレクトに伝えること、そして共に行動を起こすこと
4.メディアを通して医療現場の声を世間に届けること
5.経営者や事業家と協力して、医療分野でのビジネスの機会を広げること
6.学生に多くの出会いと経験を提供することで、今後の医療現場にさらなる改革をもたらせる人材に育成すること

現場の声を反映した医療改革を進めるには、私が考えるよりももっと多様なアプローチがあることを学んだ。体験記2で詳しくお伝えするが、シンポジウムを通して日本の各界で活躍しておられる方々のお話を聞くことができたのは非常に貴重な体験であった。

●繋がり、共に行動を起こす
懇親会やシンポジウムの前後に多くの登壇者や学生さんと名刺を交換し挨拶を交わしたが、この出会いをどんなふうに活用していけばよいのだろう?と少し疑問に思っていた。しかし、主催者の一人である上昌広医師は、登壇者の話を聞くと、すぐに誰かとのコラボレーションを提案したり、共同研究や論文の執筆などを提案しておられた。人の話を聞き、すぐに行動する。
上医師は私がインターンシップに応募したときに、私に対しても同じようにしてくださった。何らか行動や変化を起こしたいときに、それが個人的なことであれ、医療改革のような壮大なことであれ、人との出会いや関係を大切にし積極的に行動を起こすことの重要性を学んだ。
懇親会でご挨拶させていただいた一人のメディア関係者の方は、「出会いに偶然はない。今日こうして会うことができたのも特別なことだと思っている」と話してくださった。誰と巡り合うかで人生は変わる。協議会での数多くの出会いは、私次第できっと将来につながる出会いになるだろう。今後進む道がどうであれ、課題に直面した時に無視したり避けたりするのではなく、仲間と共に問題に果敢に取り組む大人になりたい。

実際、協議会の際に福島で災害医療に携わっておられる坪倉正治・福島県立医科大学教授をご紹介いただき、先生の研究分野に非常に関心があることを伝えると、私を坪倉研究所のインターンとして受け入れることを快諾してくださった。福島でも多くの方々との交流や学びの機会を積極的に捉え、この特別な機会を最大限に活用したいと思う。

http://expres.umin.jp/mric/mric_23234-2.pdf
協議会当日、先生方と学生と共に

続く『現場からの医療改革推進協議会シンポジウム』 体験記2では、実際の活動内容とシンポジウムを通して学んだ点についてご紹介する。
参照
Japan Medical & Health Tourism Center. (n.d.). 日本の医療の素晴らしさ(英語). https://j-medical-healthcare.com/en/jmhc/advantage/ より取得

Sugiura, Y., Ju, Y. S., Yasuoka, J., & Jimba, M. (2010). 第二次世界大戦後、日本人の平均寿命は急速に伸びた(英語). Bioscience trends, 4(1), 9–16. https://www.semanticscholar.org/paper/Rapid-increase-in-Japanese-life-expectancy-after-Sugiura-Ju/5fda034be2900bdc7b5d9d9c8a38981a3fe9e5b7/figure/0 より取得

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