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Vol.24079 WHOによる人権無視・属国化計画:2024年5月の国際保健規則改訂

医療ガバナンス学会 (2024年4月27日 09:00)


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Dr. のぞみ

2024年4月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

日本人が何となくありがたがってきた世界保健機関(WHO)は変質してしまい、今、暴走しています。その先頭に立っているのが、日本政府および厚労省医系技官です。

1)WHOの現状
一昔前までは、世界保健機関(World Health Organization; WHO)と言えば、独立国が集まってできた国際機関であり、各国政府からの拠出金(税金)で成り立っていました。GDP比で拠出金額が決まり、第1位アメリカ、第2位日本、という時代がありました。

しかし今や、第1位ドイツ、第2位はビル・ゲイツ財団が出資しており、WHOはもはや独立国の連合体とは言えない状況となっています。第3位の拠出国であるアメリカは、トランプ前大統領がWHOを脱退すると2020年に正式に通告していましたから、もし今年の大統領選挙でトランプ政権が復活するなら、WHOを脱退すると予想され、アメリカからの拠出金はなくなるでしょう。

WHOはますます民間資金に頼ることになりますが、国家ではない民間出資者には、民主的な説明責任がないのです。

民間出資者による発言力が強まっているWHOは、独立国の主権を無視し、人権を無視した国際保健規則(IHR)改訂に向けて着々と準備を進めています。

その主力を担っているのが、なんと日本政府なのです。

武見敬三厚生労働大臣は、2022年までWHOの親善大使を務めていました。
上川陽子外務大臣は、国家主権を失うこの改訂について、国会に諮らない旨、国会で答弁しました(2024年2月27日衆議院予算委員会)。
厚労省の医系技官OBが、このIHR改訂を推進してきました。来月(2024年5月)には、このIHR改訂案が採択される見込みです。
2)国際保健規則(IHR)改訂の概要

詳しくは原文をご覧ください。
https://apps.who.int/gb/wgihr/pdf_files/wgihr1/WGIHR_Compilation-en.pdf

第1条 定義
「定時勧告」とは(略)WHOが発行する<削除:拘束力のない> 助言をいう。
「一時的勧告」とは(略)WHOが発行する<削除:拘束力のない>助言をいう。

※注:法的拘束力を持たなかったWHOが、法的拘束力を持つ。
別途、2022年9〜12月に「法的拘束力を持つ文書を策定することを決定」している。

第2条 範囲と目的
本規則の目的と範囲は、<変更:公衆衛生上のリスク → 公衆衛生に影響を及ぼす可能性のあるすべてのリスク>に相応かつ限定した方法で、<追加:保健医療制度の準備と復旧力を通じて、疾病の国際的拡大を予防し>、防御し、<追加:準備し>、管理し、公衆衛生上の対応を提供することである(以下略)

※注:範囲と目的が拡大される。
「公衆衛生のリスク」→「公衆衛生に影響を及ぼす可能性のあるすべてのリスク」
「防御、管理」→「保健医療制度の準備と復旧力、予防、防御、準備、管理」

第3条 原則
本規定の実施は、<削除:人の尊厳、人権、人の基本的自由を十分に尊重しつつ>(略)実施される。
※注:「人の尊厳、人権、人の基本的自由」が削除される。
第5条 監視
<追加:先進国の締約国と WHO は、資金、技術、ノウハウの入手可能性に依存している発展途上国の締約国が、本条の規定を完全に実施するために、支援を行わなければならない。>

※注:先進国は発展途上国へ資金援助しなければならない。

第12条 国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の決定
WHO事務局長が(略)、<追加:潜在的または現実的な>国際的な懸念がある公衆衛生上の緊急事態が起きていると考える場合、事務局長は<追加:すべての締約国に通知する>。また、その領土内でその事象が起きている締約国と緊急事態が起きているかどうかの予備的な決定について<変更:協議するものとする → 協議するよう努める>。(略)

※注:現実に起きていなくても、潜在的な懸念があるだけで、WHO事務局長一人が緊急事態の予備的決定ができるようになる。この予備的決定について、事務局長はその事象が起きている締約国と協議することになっていたが、協議するよう努める(seek to consult)に変更される。

第12条 国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の決定
<変更:事務局長及び締約国がその決定について合意している場合 → 事務局長がその事象が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当すると決定する場合>、(略)<追加:すべての締約国に通知する>

※注:緊急事態の決定には締約国の合意が必要だったが、締約国の合意なしに、WHO事務局長一人が緊急事態の決定ができるようになる。

第18条 人、手荷物、貨物、コンテナ、輸送機関、品物、郵便小包に関する勧告
<追加:国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態において、旅行者の健康状態についての申告書を策定し、適用する仕組みを確実に作る。その申告書により、旅程、起こり得る症状と、必要に応じて接触者追跡の促進のような(略)予防対策についてのよりよい情報が提供されるようにする。>

※注:個人情報追跡や接触者追跡が、WHOによって法的拘束力を持ってなされるようになる。

第43条 追加健康措置
(略)(自国の法律に基づく措置等)例外的な対策をとる国は、WHOに理由を提出しなければならない。
WHOは<追加:2週間以内に>、(略)評価し、当該締約国に対し、追加保健措置の適用を<変更:再考するよう要請するかもしれない → 修正または取り消すよう勧告する>。(略)
<削除:健康措置を実施する国は、3か月以内に、WHOの助言を考慮に入れて、その健康措置を再検討する。>
<追加:WHOの勧告は、勧告の日から2週間以内に当該国により実施されるものとする。当該国は、勧告の日から7日以内に、WHOに対し当該勧告を再検討するよう求めることができる。これを受けて、緊急委員会は7日以内に再考の要請を処理し、決定する。決定は最終的なものとする。>(略)

※注:締約国が主権国家として自己決定できる余地はほとんどなく、WHOの決定権が強化される。
あなたは、黙ってWHOの属国になりたいですか、それともWHOを脱退したいですか?

以上

 

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