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Vol.24173 坪倉先生の放射線教室(16) 廃炉のごみ

医療ガバナンス学会 (2024年9月11日 09:00)


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この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治

2024年9月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●廃炉のごみ5種類に分類 ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024031619293 )2024年3月16日配信

今回事故を起こした福島第1原発だけでなく、日本中の多くの原発で廃炉が進んでいます。

廃止措置は、事業者が廃止措置計画を作り、それが審査された後、国の原子力規制委員会で認可されてから開始されます。一般的に廃炉は〈1〉解体の準備(約7年)〈2〉周辺設備の解体(約12年)〈3〉原子炉等の解体(約7年)〈4〉建屋等の解体(約4年)の四つのプロセスからなり、トータルで約30年をかけて行われます。

今回はこの廃炉に伴って生じるごみ、廃棄物に焦点を当ててお話ししたいと思います。

原発の廃止措置に伴って、放射能レベルの比較的高いものから、放射能レベルの極めて低いもの、そして放射性廃棄物ではない一般の廃棄物までさまざまな廃棄物が生じます。

廃炉を廃棄物の観点から見ると、放射性廃棄物が本格的に発生するのは、上述の第2段階および第3段階です。特に、第2段階では、原子炉の周辺の設備を解体するため、濃度が低い放射性廃棄物や一般廃棄物が多く発生し、第3段階では原子炉領域の設備を解体するため、比較的濃度が高い放射性廃棄物が発生します。

このように、廃止措置に伴って生じる廃棄物はその過程でさまざまありますが、放射性物質の含まれる程度によって、それらは5種類に分類されます。そして、そのレベルに応じて、後の処分方法も異なっていきます。

 

●廃炉、4プロセスで30年間 ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024032319343 )2024年3月23日配信

今回事故を起こした東京電力福島第1原発だけでなく、日本中の多くの原発で廃炉が進んでいます。廃止措置は通常、四つのプロセスをトータルで約30年かけて行われます。

廃炉に伴って生じるごみや廃棄物は、放射性物質の含まれる程度によって、5種類に分類されます。その中に含まれるのが低レベル放射性廃棄物です。名前を聞いたことがある方も多いのではないかと思います。

実は原発の廃止措置に伴って生じる廃棄物の大半は、放射性廃棄物ではない(放射性物質の含まれない)一般の廃棄物です。廃炉によって生じる廃棄物の93%は、一般のビルを解体するときに生じるようなコンクリートや鋼材のような廃棄物なのです。

ご存じの通り、天然にも放射性物質は存在するため、どんなコンクリートも土の種類によって天然の放射性物質がある程度含まれます。そのため、放射性物質を含まない廃棄物という言い方は厳密には正しくありませんが、前述の93%の一般の廃棄物の残りの7%が、原発に関わる放射性物質をある程度含んだ廃棄物ということになります。この7%が、その放射性物質のレベルに応じて残りの4種類に分類されます。次回はその分類について説明します。

 

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