医療ガバナンス学会 (2011年3月15日 06:00)
阪神大震災は初めての都市直下型地震で、神戸の機能は一瞬にして完全に麻痺しました。
医療機関としては西市民病院が倒壊し、神戸市の救急医療を担っていた中央市民病院の機能も大きく損なわれ、そのほかの病院も同じような状況でした。病院の 入院患者の対応に追われる一方、そこに周辺の被災者が殺到し、被災地の病院の機能はどこも一瞬にしてパンクして修羅場と化しました。
このとき全国から多くの医師、看護師など医療関係者が救援に駆けつけてくれました。でも実際被災地でできる治療は応急処置に限られます。物資もマンパワーも不足する中、被災地の病院での十分な治療は困難、というより不可能です。
外傷患者や透析患者を含め、緊急に安全な地域の病院に搬出して治療する必要があります。これは何も重症患者に限ったことではなく、被災地の処理能力を超え る患者はすべて、すみやかに搬出する必要があります。幸い阪神大震災では大阪の被害は比較的軽微で、実際多くの入院患者を被害の少ない近隣府県の病院に引 き受けていただきました。
震災経験者として一刻も早く現地入りしたいところですが、今回の役割は「現地入り」よりは「患者引き受け」かもしれません。神戸だけがやられた阪神大震災 に比べて、今回は被災規模や範囲がはるかに大きいように思われます。首都圏の病院は今後もフル稼働で患者の受け入れを進めていくことになると思いますが、 阪神大震災を経験した関西圏の病院も、できるだけのことをしていく必要があるのではないでしょうか?
搬送にはヘリや自衛隊機に活躍してもらうほかはありません。幸い現在勤めている和歌山は関西空港にもアクセスがよく、条件が整えば近隣の病院を含めてかなりの患者を受け入れることが可能です。神戸や大阪の病院にも呼びかけてみます。