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Vol.24200 深刻な日本の科学研究力の低下

医療ガバナンス学会 (2024年10月22日 09:00)


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この原稿は中村祐輔の「これでいいのか日本の医療」(2024年10月19日配信)からの転載です。
https://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2024/10/19/204212

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
理事長 中村祐輔

2024年10月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

Record Chinaの「ノーベル賞ならず、日本の科学研究能力の転落はどれほど深刻か―中国メディア」というタイトルの記事が目についた。

この記事の中で、世界知的所有権機関(WIPO)の2024年版「グローバル・イノベーション・インデックス」で日本が13位に転落したことを指摘していた。アジアでは、シンガポール、韓国、中国よりも順位が下だ。論文発表数の急激な低下が指摘されて久しいが、国の科学力の低下が顕著である。

当然ながら、研究機関の質の低下も指摘されているが、毎年予算が減り、人員削減が強いられ、研究室単位の定員枠も小さくなり、そこに、研究機関内外での会議や報告書類などが増え、研究に利用できる時間が減ってきている。科学力の強化が重要であると言われているが、この状況では研究力の低下は当然の帰結なのだ。

英国のTHEが発表した大学ランキングで日本から100位以内に入っているのは、東京大学(28位)、京都大学(55位)の2校だけだ。精華大学(中国)12位、北京大学(中国)13位、国立シンガポール大学17位と東京大学よりも上位にランキングされていることに加え、50位以内のランキング大学が中国・香港・シンガポールから5校入っており、もはや、日本の誇りなどどこにもない。東南アジアからの留学生が激減していると聞くが、この状況では仕方がない。

日本は機会平等論ではなく、結果平等論が尊重され、運動会ではみんなで手をつないでゴールして、全員1等賞というばかげた教育が行われていた。
科学力で競争するためには、一番にならなければならない。確かに、行き過ぎた競争に疲弊するような教育は問題があるが、世界中で競っている中で、太平の世を楽しんでいては、世界的な落伍者になるのは当然だ。

そして、総選挙での論点は依然として「裏金と政治改革」だ。この国の抱えている課題は多く、それらのかじ取りはどうするのか?教育費の問題も議論されているが、教育費の補助が主で、教育の内容など皆無だ。科学力を高めることは将来に対する死活問題だが、メディアでそれが語られることもない。
医療福祉費など70兆円なのに、医療・福祉が語られることもない。医療や介護をどのように維持していくのかは大事な問題と言われ続けているが、医療に対するビジョンも見えてこない。

国内の大学・研究機関は疲弊している。疲弊している姿を見ると、若い人には魅力的でない職業と映る。ぜひ、科学・医療の未来を真剣に考える政治をしてほしいものだ。

 

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