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Vol.24201 現場からの医療改革推進協議会第十九回シンポジウム 抄録から(1)

医療ガバナンス学会 (2024年10月24日 09:00)


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現場からの医療改革推進協議会第十九回シンポジウム 抄録から(1)

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2024年10月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現場からの医療改革推進協議会第十九回シンポジウム

11月16日(土)
【開会のご挨拶】13:00~13:10

●林 良造    武蔵野大学国際総合研究所 フェロー・客員教授、東京大学公共政策大学院 アドバイザー

現場からの医療改革推進協議会(2024)

今年も「現場からの医療改革推進協議会」の季節が巡ってきた。今回も現場から様々な課題が取り上げられている。活発な議論を期待したい。
とりわけ注目しているのが政治環境の激変である。昨年末以来、表面化した「政治と金」の問題は当初の予想を超えて、ほとんどの派閥の解散、岸田総理の辞任と総裁選不出馬、9人が出馬する自民党総裁選、それにぶつける形での立憲民主党の代表選と、大地殻変動につながっていった。
その中で、利益集団の合意の範囲内でしか改革が進まなかった現状を打破しようとの動きも、今までにはない強さで動き始めている。
医療の世界も、農業の世界と並んでまさにその典型である。振り返ってみるとこの約20年の間に様々な問題が提起され、様々な解決が模索され実施されてきた。しかしながらその多くは、強力な利益集団の合意の範囲内で、とりあえずの解決ではなかったであろうか。
その先送りのツケが、医療現場の若手勤務医が自ら命を絶つような過剰な負担、緊急時に働かない幽霊ベッド、手術例が積み重ならず習熟度の上がらない小規模総合病院、国際標準に比べ少ない医師、治験の時間・コストを左右する大規模医療供給機関の不足、一向に進まないPopulation Health、膨らみ続ける国民医療費などである。
これらは、合理的な経営努力を不要にするような出来高払いの入院費や、先進的な医薬・医療機器に席を譲ろうとしない古い薬価体系などによって支えられてきた。最小限の規模を満たせない小規模総合病院と、その経営を支える病床数を維持し続けるためである。
また、各Stakeholderに対し、より合理的な体制へと工夫を促すインセンティブを欠いた診療報酬制度の結果、世界標準とかけ離れた医療供給体制を作り上げてしまった。
これらのツケは、我が国の医療提供体制の質にとってもSustainabilityにとっても根幹的な問題となっている。今まで、大きすぎるがゆえに手が付けられず膨らみ続けたこの問題について、この政治の変化の節目に徹底的な議論を期待したい。
【Session 01】 医療改革の現在 13:10 – 13:25  (司会:上 昌広)

●小野 俊介   東京大学大学院薬学系研究科 准教授

ドラッグラグの解消を叫ぶ人々がいずれ失うもの

ドラッグラグは解消しない。解消するわけがない。ヴィトンの新作バッグがすべての国では手に入らないのと同じ。銭儲けはモノ・価値の濃度勾配を利用した、いわゆる裁定取引が基本。費用、利益、そして上市成功確率に国際的な濃度勾配がある限り、ドラッグラグの発生は必然である。ドラッグラグを解消したら、資本主義か会社か、あるいはその両方が倒産する。
ドラッグラグを「解消しうる現象」と扱う人々の気持ちは分かる。生きていくには夢が必要なのだ。が、夢の追求には相応の犠牲が必要である。我々は既に多くを失った。今後もさらに多くを失うことになる。
失ったものその一:日本人の有効性・安全性データ。三十年前、日本人データを省略する際には壮大な理屈を要していた。が、今では「あ、無理してデータ集めなくていいから」に。「日本人データ要件」は、予算措置や法改正が不要な、すなわち(政府にとって)お手軽な交渉材料として、数十年にわたり切り売りされ、その結果、手持ち材料はほぼ尽きた。日本人データの少ない新薬は危ないのだが、もはやそんなこと誰も気にしない。あーあ。
その二:母国語。新薬開発は英語で行われており、企業の外人さんにとって日本語は単なる邪魔もの。「意思疎通の程度」は容易に測れぬため、「日本語への翻訳・通訳」もまた、お手軽な交渉材料として切り売りされてきた。本当は情報化社会の一大事なのだが、日本の業界人に危機感はない。もともと母国語でも意味不明な文章しか書けず、意思疎通など絵に描いた餅だったのだから、使う言葉が英語になっても何も変わらないのかも。
その三:日本人であること。新薬開発ガイドラインには「人種・民族は薬の効果に影響を与える因子」とある。つまり「薬が効かない?ああ、それはあなたが日本人であることが原因です。日本人をやめたら薬は効きますよ」。ドラッグラグを解消するには日本人を捨てねばならぬ。カラコン入れようかな。
産業論とパブリックヘルスを無自覚にごちゃまぜにした「ドラッグラグの解消」という大風呂敷は、もうとっくに擦り切れている。掲げるべき御旗は「患者に役立つと自らが判断した新薬を、上手に(安く・さほど喧嘩せず)調達する」である。擦り切れた大風呂敷がどうしても捨てられないのなら、せめて大学一年生が学ぶ厚生経済学の第一・第二定理とヘクシャー・オリーンモデルくらいは読み直そう。
【Session 02】 災害対応と医療の役割 13:25 – 13:45

●立谷 秀清    福島県相馬市長、全国市長会顧問

 

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