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Vol.24203 現場からの医療改革推進協議会第十九回シンポジウム 抄録から(3)

医療ガバナンス学会 (2024年10月28日 09:00)


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( https://genbasympo.net/ )

2024年10月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

【Session 04】 自己実現のためのセルフサポート ~自分を見つめ自分を知る~ 15:10 – 16:10 (司会:濱木珠恵)

★パネルディスカッション形式

●中島 郁子      千葉ロッテマリーンズ スポーツカウンセラー

アスリートの自己実現に寄り添うスポーツカウンセリング

アメリカの心理学者マズローの自己実現理論は、人間の基本的欲求を5つの段階で説明している。1,生理的欲求、2,安全の欲求、3,社会的欲求、4,承認欲求、5,自己実現の欲求である。
まず生命維持の本能的な欲求から始まり、安全性や経済的安定性を得ようとする欲求が続く。現代の日本では、アスリートに限らず多くの人々は、基本的に得られている。
次なるは、社会的役割を得たい、社会で必要とされたい、という欲求である。人生のほとんどを競技に生きるアスリートでは、「よい人間関係を築きたい」「必要とされる選手でありたい」ということになる。ちなみに、ここで躓くと、不適応やうつ状態となることもある。
社会的欲求の次には、自分自身が価値ある存在であると認められたい、という欲求が続く。アスリートでは、「成功や名声を得たい」という欲求になる。高い競技成績を残さねばならない。これができないと、劣等感や無力感が生じ、競技意欲が低下する。こうしたアスリートの隣りに、スポーツカウンセラーが存在し、段階に応じて彼らの課題にともに向き合う。
そしてこの先が、「自己実現欲求」である。
アスリートは、数字の目標や到達点を決めていることが多い。しかし彼らの自己実現とは、彼らが目標とするオリンピックでの金メダルやタイトルの取得とイコールではない。競技生活の中では、目標に到達することもあれば、怪我をして停滞することもある。そうした日常で、なにかの瞬間にふと、「自分は何を目指して進んでいるのか」「どんな人間になりたいのか」「本当にこれでいいのか」「何のために競技しているのか」…と考える瞬間が訪れる。それは、人間としての存在の仕方が問われる瞬間でもある。表舞台で紙一重の勝負に徹しながら同時に、ひとりの人間としてどう生きていくのかということに向き合っていかざるを得ない。
こうした自己実現に向けて歩むアスリートに、ひたすら寄り添うのもスポーツカウンセラーの仕事である。
●大西 睦子    米国ボストン在住内科医師

米国で大人気のGLP-1受容体作動薬

2017年12月、米食品医薬品局(FDA)が2型糖尿病治療薬「オゼンピック(GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)受容体作動薬)」を承認。その副作用として減量効果がわかり、成人の約 42% が肥満である米社会に大きな波紋が起きている。美容目的の薬の乱用、供給不足が問題になっている。ボストン・グローブはその状況を、「ハリウッドとTikTokが、オゼンピックが奇跡の減量治療薬であることを発見してから、事態は激しくなっている」と描写した。
一方で米国医師会は、2013 年に肥満そのものを慢性疾患と認めている。肥満は実際、2 型糖尿病、高血圧、心血管疾患、がん、うつ病、睡眠障害などのリスクを高める。GLP-1受容体作動薬は、ここ数年の研究成果で、それらの病気への効果も次々と報告されている。「抗生物質発見と同じようなインパクトを世界の健康にもたらすだろう」という米医師もいる。
ところが現状、驚くほどたくさんの人がGLP-1受容体作動薬を自己判断で中止している。1年後の継続率は約30〜50%にとどまる(調査によってデータは異なる)。理由は「減量効果がなくなった」「高価(特に、保険適応外での利用)」「副反応が出た」など様々だが、やめれば体重が増えやすく、健康効果も減る。治療と並行して、ライフスタイルを改善するための努力と献身が重要だ。実際、運動や健康的な食事は、体内のGLP-1の分泌を高めることが示されている。
このシンポジウムでは、米国でのGLP-1受容体作動薬の状況を紹介する。
●小川 久仁子      神奈川県議会議員、神奈川県議会女性活躍推進議員連盟 会長[創設者]

救える命を失って〜神奈川県立こども医療センターにおける術後死亡事件

県議会議員として初当選を果たした25年前は、神奈川自民党女性県会議員は私一人だった。歴代1期務めた女性県議はいたものの、2期目以降県議当選した女性は私が初めてだった。同僚・先輩県議たちも、私の扱いには困惑しながらであったと推察しているが、神奈川自民党における女性県議のフロントランナーとして、政治の道を歩いてきた。
生き馬の目をぬくような政界において、1期2期議員ならまだしも、期を重ねれば重ねるほど、自分の目標をどこにおくか? 自己研鑽をどのように進めるか? 心の均衡をどう保つか? セルフサポートは尋常ではなかった。そんなある日、上昌広先生、医療ガバナンスとの出会いがあり(結びは土屋先生)、私の世界が広がった。議会と無関係の世界との接点が、私の目と心を見開かせてくれた。そして、私の議員としての取り組むべき最大の課題が見えてきた。神奈川県立こども医療センター改革である。救える命を失わせてしまった責任と今後の在り方を語りたい。
●辻 麻梨子      Tansa 記者・理事

探査報道記者の直面する精神的ストレスの現状

探査報道とは、英語で「Investigative Journalism」と呼ばれる報道手法の一つだ。独自に徹底した取材や調査を行い、隠された事実を暴露する。報道の結果、組織が不正に対処したり、行政が法を整備して被害者を救済したりするなど、社会的なインパクトをもたらすことが狙いだ。私の所属するTansaは、この探査報道に特化した報道機関である。
探査報道は強い社会的なインパクトをもたらす可能性がある一方、記者が長期間の取材の間に直面する精神的ストレスは大きい。取材相手からの妨害や訴訟のプレッシャー、災害や性暴力などの現場や被害者に接することによるトラウマの経験、近年ではオンラインでのハラスメントにさらされることもある。しかし日本では、記者のサポートに特化したケアなどの事例はなく、日本語で得られる情報も非常に限られている。
本セッションでは、自身の経験や周囲からの聞き取りをもとに、探査報道に取り組む記者が直面する精神的な困難についての現状を報告する。また登壇者の方々とのやりとりを通じ、成果の大きな仕事をやり遂げるためのメンタルサポートについても考える機会としたい。
●五嶋 節      株式会社オフィスGOTO 取締役社長、NPO法人ミュージック・シェアリング 副理事長

「喜怒哀楽、思いっきり。」

当年75歳、まあ何と長い間生きたのでしょう。セルフサポート? 到底800字では収まりません。偶然でもなく、運命?でもなく、自己実現でもなく、まして子どもたちのためにでもなく。勿体なく時間を過ごして今日に至っているのですが、振り返ると出るわ出るわの面白ストーリー。それら全部が私を取り巻いていた家族、皆「千の風」になってしまいましたが、私も彼等同様、子どもたちがたくさんの思い出場面を持てるように努めた感はあります。思い出がだんだん薄れてきて、母の顔だけが目の前に現れる時まで、喜怒哀楽思いっきりの連続が私を支えてくれるのだと思います。

娘が50歳を超え、息子だって体だけは立派になりまして各々の人生を歩んでいるというのに、はい、私は今日も自分のために彼らをサポートし続けるうんざりな仕事に追われています。一流の音楽家になったところで、ハーバードを卒業したところで、所詮スポイルされた田舎の、それも高卒でブロンドヘアーでシルバーのネイル、雑巾屋(ダスキン)の整理配達もしましたし、家出のあげくホステスまがいもしました。その子供達です。よくできました。
子どもたちがある程度世間体よく成長すると、特に母親への評価が上がるのですね。私も時々そんなお褒めの言葉をいただいて「はあー。」と応じることがあります。子供のお陰でお世辞を食らうのは超気分悪し。

話は変わりますが、私の一番好きでない職業が医者と絵描き。好きな職業は縫子さん、薬剤師、空手家、首長さん。好きなのは全部私の家族の職業です。なぜか医者と絵描きはヤブと本物の見分けがつかないのに、ブッているようで。ところが現在、私の神様が「上様」になってしまったのはどうしてか。ホントかウソか「大丈夫です。」の言葉は大丈夫にしてくれますし、3分以内にラインに入る「いつでもまた相談してください。」で天下晴れて徹夜の連続OK。この方のお母様のセルフサポートのお話を聞いてみたいと思う今日この頃です。

 

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