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Vol.24230 坪倉先生の放射線教室(20)高レベル放射性廃棄物

医療ガバナンス学会 (2024年12月10日 09:00)


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この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治

2024年12月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●廃棄物、地層処分が現実的 ( https://minyu-net.com/news/detail/2024052520075 )24年5月25日配信

高レベル放射性廃棄物は、使用済みの燃料を処理する際に生じるものです。使用済み燃料から、再利用可能なウランやプルトニウムを取り除き、残った放射能レベルの高い廃液を高温のガラスと混ぜて固体化したもののことを呼びます。

ガラス固化体はいろいろと処理をされた後のもので、爆発したり、臨界状態になったりとはなりませんが、数万年以上の非常に長期間の保存が必要になります。

製造されたばかりのガラス固化体の放射線の強さは、人が近づけるレベルでは全くありませんが、徐々に減弱はしていきます。私を含め、今この記事を読まれている方はもう誰も生きてはいませんが、千年後にはガラス固化体の放射線を出す強さは99.9%以上減少します。しかし、それでも燃料の製造に必要な天然のウラン鉱石の放射能レベルに比べればまだまだ高く、ウラン鉱石と同じレベルに下がるまでには追加で数万年の時間が必要となります。

そのため、300メートル以上の地下深い場所で「地層処分」することが、現実的な処分の方法であるというのが、国際的に共通した考え方となっています。

地下深い層は、酸素濃度が低く、地下水の動きも極めてゆっくりのため金属がさびづらいです。また、石油や石炭、鉄などの鉱床も何百万年、何千万年という長期間にわたって安定的な状態で保存されてきました。技術的なことに加えて、これらも地層処分が現実的であると考えられる理由です。

 

●処分地選定、調査3回必要 ( https://minyu-net.com/news/detail/2024060120265 )24年5月25日配信

高レベル放射性廃棄物は、使用済みの燃料を処理する際に生じるものです。使用済み燃料から、再利用可能なウランやプルトニウムを取り除き、残った放射能レベルの高い廃液を、高温のガラスと混ぜて固体化したもののことを呼びます。

高レベル放射性廃棄物は、数万年以上の非常に長期間の保存が必要になります。そのため、300メートル以上の地下深い場所で「地層処分」することが、現実的な処分の方法であるというのが、国際的に共通した考え方となっています。

しかし、多くの方がご存じの通り、国内では最終的に地層処分する場所がどこになるのか決まっているわけではありません。その一方で、その処分地をどのように選ぶのかについて、3段階のプロセスを踏まなければならないことが「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」によって既に定められています。

その3段階は、それぞれ文献調査、概要調査、精密調査と呼ばれます。

大まかには、1つ目の文献調査は、その地域の地層に関する文献や過去のデータを細かく調べる机上の調査、2つ目の概要調査は、実際の地層のボーリング調査、3つ目の精密調査は実際の地下施設の調査や試験を指します。

このようにプロセスは決まっているものの、簡単に決まるわけでは当然ありません。先日、佐賀県玄海町に対して、国が第1段階の文献調査を申し入れました。国が申し入れを行うのは、4年前に調査を受け入れた北海道神恵内村に続き2例目になります。

 

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