最新記事一覧

Vol.25028 患者・県民を危険に曝した違法医療行為を神奈川県知事が容認

医療ガバナンス学会 (2025年2月14日 09:00)


■ 関連タグ

地方独立行政法人神奈川県立病院機構
元理事長 土屋 了介

2025年2月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

神奈川県知事黒岩祐治は、「あなたは(土屋了介)は〇山医師(放射線治療医師)による違法行為など、機構(地方独立行政法人神奈川県立病院機構)が組織として事実認定していない、あなたの一方的な見解を主張した。」及び、「機構が組織として事実認定していないにもかかわらず、〇山医師やがんセンター病院長が違法行為を行ったとする一方的な見解を主張し、これを理由として両名に行政処分を求める旨の文書を平成30年2月1日付けで厚生労働省に提出した。」等の理由で平成30年3月6日に土屋了介理事長を解任した。
その後、横浜地方裁判所において解任は不当であると訴えてきましたが、令和7年2月19日に判決が出ることになりました。この間、被告の神奈川県から提出された書類、原告・土屋了介が開示請求によって得られた書類から複数の違法行為が証明されました。被告神奈川県知事黒岩祐治は、これらの違法行為を行った放射線治療医及び病院長を擁護し、理事長を解任した行為によって患者・県民を危険に曝しました。したがって、これらの違法行為について説明します。

1.診療放射線技師法違反:医師無署名照射録
〇山医師が神奈川県立がんセンターで実施した重粒子線治療照射録の開示を機構理事長に請求した。開示された照射録には医師名欄に〇山医師のみが単独で印字されていた。厚生労働省の通知によれば「主として粒子線治療を行う放射線治療専門医資格のある医師は1年間の粒子線治療の経験。主たる医師として5例、主たる医師の補助として5例の経験が必要。」とされている。〇山医師は千葉県にある重粒子線治療施設での研修期間中に補助としての経験も見学のみで、主たる医師としての経験は皆無であった。したがって、〇山医師の単独での照射行為は厚生労働省の通知に違反して実施されていた。
開示された照射録の医師名は印字のみで署名が無かったので、再度、署名(総務省の認める電子署名を含む)のある照射録の開示を請求した。機構理事長の回答は、「本件照射録には、本人の署名又は記名捺印はありません。」とあり、自ら、診療放射線技師法28条違反を認める回答であった。

2.重粒子線治療責任医師の偽称と違法照射
平成29年には、重粒子線治療は先進医療であったので臨床試験として申請することが必要であった。〇山医師は、重粒子線治療の実施責任医師の資格がないにも関わらず、複数の臨床試験計画書に実施責任医師として記載されており、明らかな法令違反であった。

3.虚偽有印公文書の行使と必須研修の不履行
黒岩祐治県知事は、理事長解任の理由として、〇山医師以外の放射線治療医(△中医師)が千葉県の重粒子線治療施設に6か月ずつ2回、合計1年間の研修に行ったにも拘らず、理事長が〇山医師に不必要な研修に出向させたことが放射線治療医の集団大量退職の原因であるとした。
千葉県の重粒子線治療施設に△中医師の出勤票および署名のある重粒子線治療照射録の開示を求めたが、後半の6か月の出勤簿も照射録もないとの回答であった。一方、神奈川県立がんセンターが開示請求に応じた研修に行ったとされる後半6か月の出勤簿には本人の捺印が認められた。また、当時、必要とされた診療に従事する医師の保険医登録の届出が当該都道府県にある厚生局都道府県事務所、今回の例では関東信越厚生局千葉事務所に対し提出されていなかった。
以上の状況からは、△中医師は千葉県の重粒子線治療施設には研修には前半6か月しか行っていないと結論付けられる。しかしながら、千葉県の重粒子線治療施設の病院長名で後半6か月の研修証明書が発行されていた。押印が丸のいわゆる三文判であったので、疑問に思い、施設に問い合わせたが、総務部長名で、「平成29年当時は病院長の公印はなかったので、私印での発行でも公式文書である。」との回答であった。
ネットで検索したところ、重粒子線治療施設の公印規程が平成13年に施行されており、公印の調整、改刻は総務部長が行い、総務課長が公印台帳にその記録を登録すると規定されていた。
以上の経緯から、研修証明書は、神奈川県立がんセンターの放射線治療医、および、千葉県の重粒子線治療施設の病院長と総務部長との計画的な犯罪行為で作成された虚偽有印公文書である。この虚偽有印公文書を裁判の証拠書類として提出した神奈川県知事は虚偽有印公文書行使罪に該当すると考え警察に告発し受理され捜査中である。

なお、県知事から口頭にて「病院長を病院長職に戻さないなら、理事長を“罷免する“。」と言われたので、「機構職員の人事権は理事長にあり、県知事にはないので、病院長職には戻さない。」と回答したところ、即座に「では、罷免します。」と即日、解職されました。その後、病院長は職員に対するパワーハラスメントによって、土屋が解任された翌年度早々に処分され、退職までの約半年間、病院長職を外されたとのことである。さらに、再就職した病院でも患者さんに迷惑をかけているとの情報もある。

黒岩祐治県知事が的確な指示を出し、調査委員会と聴聞会を正義のもとに正常に実施していれば、上記の違法行為が放置されることはなかった。県知事が的確な指揮監督を怠ったために患者・県民は危険に曝されることになったのである。

 

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらのフォームに必要事項を記入して登録してください。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ