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Vol.25033 日本の若者、必見、世界の5か所 とくにManzanar War Relocation Center について②

医療ガバナンス学会 (2025年2月21日 09:00)


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元順天堂大学医学部血液内科
押味和夫

2025年02月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●再びManzanar War Relocation Centerについて

Manzanarでは、有刺鉄線が張り巡らされた収容所の外側でも、畑を作って野菜の栽培を始めました。最初は監視人が配置されていたのですが、脱走する者はいないというので、自主管理になりました。豊作だった年のトマトは、他の町に売りに出して大儲けしたそうです。
Manzanarの収容所内で亡くなった人は150人に上りますが、その多くが乳幼児や未熟児でした。今でも大きな慰霊塔が残っていて、その横には見事な字で、「千九百四十三年八月 満砂那日本人建之」と書いてあります。「日本人」と明記してあるのです。慰霊塔の下には、引き取り手のない小さな墓がまだいくつか残っていました。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25033-1.pdf

Manzanar の収容所で医療関係者はどのような仕事をしていたのでしょうか。収容所が開かれるとすぐに病室が2つ作られ、ロサンゼルスの病院から日系人の外科医が来て診療を始めました。やがて病室は250床まで拡張されました。強制収容された日系人のなかには4人の歯科医がいて、11人の助手と毎日60~70人の外来患者を診ていたそうです。Manzanar病院では看護学校の日系人の生徒が米国人の看護師長の指導で看護師の資格を取り、伝染病予防のための腸チフスワクチンを打ったり、540人の赤ちゃんを取り上げたりしました。 [Images of America, Manzanar] (2008, Arcadia Publishing)

日系アメリカ人の志願兵は、太平洋方面ではなくヨーロッパ戦線に送られました。第442連隊戦闘団です。彼らは勇猛で数々の武勲を立てましたが、死傷率は極めて高かったそうです。Manzanarの復元されたInterpretive Centerに展示してあるサダオ・ムネモリ(旨森貞雄)上等兵ですが、イタリアのピサに近いセラヴェッツァでドイツ軍と闘い、ドイツ兵が投げた手榴弾を体で覆って爆死し、塹壕にいた2人の仲間を救いました。もう少しで終戦という1945年4月のことです。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25033-2.pdf

ムネモリの母は、「日本人として祖国アメリカのために闘いなさい」 と言って、息子を送り出しました。激戦を繰り返すうちに彼より上の兵士は死ぬか傷つくかして、若かった彼が部隊の指揮官になり、部下を救おうとして自ら犠牲になったようです。彼はこの勇敢な行為によって、軍の最高の名誉勲章Medal of Honorを受章しました。イタリアのピサの近くに彼のブロンズ像があるそうです。ロサンゼルス空港へ向かうハイウエーのインターチェンジには、彼の名前が付いているそうです。この展示板の下方に母親の写真がありますが、これは彼のポケットから出てきた遺品で、Mom, Thanksgiving 1941と書いてあります。

●日系アメリカ人の強制排除・強制移住に対するアメリカ政府の謝罪と賠償

日系アメリカ人の強制排除・強制移住についてのアメリカ政府による謝罪と賠償ですが、1976年2月19日、ジェラルド・R・フォード大統領は大統領令9066号の正式な終了を確認する布告 「アメリカの誓い」 に署名し、我々は当時から理解すべきだったことを今日になってようやく理解した、日系人の強制収容は誤りだっただけでなく彼らは当時も今も忠実なアメリカ人である、と述べました。

1988年8月10日、ロナルド・レーガン大統領は 「市民の自由法」 (日系アメリカ人補償法) に署名して、日系アメリカ人の市民としての基本的自由と憲法で保障された権利を侵害したことに対し、国を代表して公式に謝罪しました。また1人当たり2万ドルの賠償金が生存者に支払われ、全米の学校で日系人の強制収容に関する教育を行う為に総額12億5千万ドルの教育基金が設立されました。レーガン大統領はさらに次のように讃えました。日系アメリカ人の第442連隊戦闘団はヨーロッパ戦線でダッハウのユダヤ人強制収容所の解放というアメリカ陸軍として最高の殊勲を立てただけでなく、ファシズムと人種差別という2つの敵と闘いその両方に勝利した。
2,000年、クリントン大統領はホワイトハウスに日系アメリカ人兵士やその家族を招き、次のように演説し、彼らの活躍を讃えました。この演説は、読む毎に目頭が熱くなります。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25033-3.pdf

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