医療ガバナンス学会 (2025年4月18日 09:00)
この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。
福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治
2025年4月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
●原発用ウランは全量輸入 2024年7月20日配信
(https://www.minyu-net.com/news/detail/2024072010105725048)
原子炉で発電するために使用される核燃料は、ウランやプルトニウムからできています。ウランは地球上の地殻や海水中に広く存在し、オーストラリア、カザフスタン、カナダ、南アフリカ、アメリカなどが埋蔵量の多い国として有名です。
その一方、日本でもいくつかの鉱床が知られています。鳥取県と岡山県の県境にある人形峠鉱床や、岐阜県土岐市周辺の東濃鉱床が有名です。
1950年代の原子力利用の開始とともに、日本各地でもウラン鉱床の探索が始まりました。ウランは花こう岩の中に多く含まれる性質があり、花こう岩が豊富な中国山地で重点的に調査が行われたのです。
その中でまず、岡山県倉敷市や鳥取県倉吉市でウラン鉱石が確認されました。その後、航空機を用いた調査や、車で山岳地帯を走り回って計測する調査が行われ、1955年に鳥取県と岡山県の県境の人形峠にてウラン鉱石の露頭(ウランが地表に露出している場所)が見つかります。そして、人形峠ではウランの採掘から精錬までの技術研究が行われていくことになりました。
しかし、その後ウランの埋蔵量の問題や、国内でウランを精製するよりも、海外から輸入するほうが安価で安定しているといったことなど、さまざまな理由からウランの採掘は中止されました。現在、日本国内の原子力発電所で用いられるウランは全量が日本国外から輸入されています。
●廃液、ガラスと混ぜ固体化 2024年7月27日配信
(https://www.minyu-net.com/news/detail/2024081712395425817)
高レベル放射性廃棄物は、使用済みの燃料を処理する際に生じるものです。使用済み燃料から、再利用可能なウランやプルトニウムを取り除き、残った放射能レベルの高い廃液を、高温のガラスと混ぜて固体化したもののことを呼びます。
これらはガラス固化体と呼ばれ、一つずつは、直径40センチ、高さ1・3メートルほどの円柱です。重さは約500キロです。この円柱は、地下水との接触を防ぐため、厚さ20センチほどの金属の容器に入れられ、さらにその周りを厚さ70センチほどの粘土で覆ってから処分される予定です。
日本では今現在、国内に既に約2500本のガラス固化体(円柱のこと)が存在しており、各原子力発電所などに貯蔵されている使用済み燃料が全て再処理されると、合計で約2万7千本分になると計算されています。
これらを地下深くに処分するための施設として、地下の広さがおおよそ6~10平方キロ(東京ドーム換算でおおよそ100個から200個分)の場所に、4万本以上のガラス固化体が埋設される計画が立てられています。