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Vol.25080 北海道の魅力、道東を中心に – その2

医療ガバナンス学会 (2025年5月1日 09:00)


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この文章は長文ですので2回に分けて配信いたしますが、こちらから全文をお読みいただけます。
http://expres.umin.jp/mric/mric_25079-80.pdf

元・順天堂大学医学部血液内科教授
押味和夫

2025年5月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

7.道東の釣り
釣りキチの私には、これが最重要テーマです。

1.鶴居村の川

アメマスとヤマメ、ウグイ、たまにニジマスが釣れます。川幅は3~5mの浅い川です。ウエーダーがあると移動は容易ですが、長靴でもなんとかなります。寒い日がありますので厚めの服装、帽子、雨具、熊除け用の笛と鈴をご用意ください。熊除けには、ラジオからの音や車のクラクションも効果があるでしょう。レンタカーは、川沿いのデコボコ道へ入りますので、車体が低いのはよくないです。釣竿はいくつか考えられます。フライは下流の広いところでは使えますが、上流に行きますと川幅が狭くなり上から枝が垂れ下がっていて難しい場所もあります。あまりお薦めできません。
ルアーは、魚のサイズが10~20cmですので、あまり大きなルアーは不要です。たまにもっと大きいウグイやアメマスが釣れますが。私が好むのは餌釣りです。2.5~3mぐらいの長さまで伸びるフナ釣り用の安い竿です。下流の川幅が広い場所では、リール竿に錘と餌を付けて飛ばします。餌は水が澄んでいればブドウ虫、濁っていればブドウ虫でもミミズでもよく食います。イクラもいいです。
熊が出る可能性は低いですが、熊は移動するときに牧場は目立つので、低い土地、つまり川沿いを移動することが多いようで、背丈よりも高いフキの中などに入り込むのは避けたほうがいいでしょう。ワイワイガヤガヤ音を立ててれば、逃げていくでしょう。でも魚も逃げるかもしれませんが。熊が出そうな上流には、オショロコマがいます。イクラで5~10cmのが釣れます。横腹に橙色の斑点がある美しい魚です。

2.釧路川

鶴居村は釧路湿原の西側にあり、釧路川は釧路湿原の東側を流れています。ここでは5月ごろから型のいいアメマスがよく釣れるようです。岸からルアーで釣りますが、私は釣り方を知りません。

3.アレキナイ川

カヌーの章で書きましたが、塘路湖から釧路川へ抜ける途中のアレキナイ川では、ウグイやフナが釣れます。フナ釣り用の仕掛けで、餌釣りです。餌はミミズだったかな。カヌーでアクセスします。フナは大型の金色で実に美しいのですが、たまにしか釣れません。入れ食いのときもありましたが。なお塘路湖での釣りは有料ですので、塘路湖では釣らずにアレキナイ川に入ってから釣ってまた戻るのもいいです。

4.屈斜路湖

北岸から西岸にかけて、ヒメマスが釣れます。ヒメマスは湖沼残留型のベニザケです(写真)。秋になりますと産卵のため岸に近づきますので、11月初めごろに岸からルアーで釣ります。ヒメマス用のルアーがありますので、釣具屋さんで聞いてください。ただし釣れる時期と場所の選び方が難しいです。先日も東京から来た友人が2年続けてトライしましたが、2年ともボウズでした。岸近くにヒメマスがいないと言ってました。キャッチ・アンド・リリースです。モーターボートでの釣りは禁止です。釣りのライセンスは不要です。

5.知床半島のサケ釣り

9月初めから半ばの頃でした。ウトロから出港した乗合船は、知床半島の突端近くまで行き、70mの深さまで電動リールを下ろしました。すぐに来ました。入れ食いです。2匹同時に釣れたこともありました。隣りの人の糸とお祭りしないように、電動リールで素早く上げます。型のいい見事なシロザケでした。知床の山並みを見ながらの釣りは最高でした。でも贅沢を言いますと、電動リールを使うので、大物を自力で釣り上げるという醍醐味が少なく、少々物足りませんでした。
この時期は全国から釣り人が集まりますので、9月1日~15日前後のハイシーズンにはなかなか船の予約が取れません。釣り人の中には、翌年の予約をして帰る人も多いと聞きました。ただしこれは10年ぐらい前の話です。最近はサケが来る時期が年により微妙に異なり、釣れないことも多いと聞いてます。でも最近のことはよく分かりません。

6.イトウと佐々木榮松画伯

隣りの阿寒町に「釧路湿原美術館」(写真)があります。画家・佐々木榮松(ササキ エイショウ)氏(写真)の美術館です。佐々木画伯は独自の画風で釧路湿原を描き続けましたが、2012年に98歳で亡くなりました。佐々木画伯の作品を集めた釧路湿原美術館は、高野範子氏らの献身的な努力により、2013年、釧路市阿寒町にオープンしました。

佐々木画伯はイトウ釣りの名人で、釣り好きの作家・開高 健氏も何度か画伯の教えを請いに来てます。昭和30年代のことです。この美術館には二人が釧路川で釣ったイトウの写真が展示してあります。イトウにしては小さいのですが、二人が一緒に行って共に釣ったということは、今では信じられないことです。イトウはそれだけ稀な魚になってしまいました。昭和30年代ごろは釧路湿原の至る所でイトウが釣れたそうですが、イトウ釣りが全国的に知られるにつれて、イトウは乱獲され、釣れる場所は急に少なくなってしまいました。

佐々木画伯のエッセイ集「釣りとわたし」に、開高 健氏のことが書いてます。佐々木画伯が開高氏と巨大なイトウを釣った話では、釣った場所は書いてません。釧路湿原と書いてあるだけです。佐々木画伯が開高氏を案内したのは、おそらくキラコタン岬のような入るのに許可が必要な場所だったのではないでしょうか。このような場所なら、確実にイトウが釣れるのではないかと思います。ここならおそらく1mを超えるイトウが釣れたのでは。キラコタン岬付近には、今でも巨大なイトウが潜んでいるはずです。

佐々木榮松氏は、絵と文の両方で生涯にわたって釧路湿原を描き続け、イトウやアメマス、ニジマス、ヤマベなど釧路湿原の魚を知り尽くし、釧路湿原の生態を詩人のように描きました。

画伯によりますと、イトウは世界で5カ所に棲息しているそうですが、そのなかでもっとも多い区域がアムール系と樺太から道東にかけてだそうです。画伯はイトウを次のように述べてます。金環に巻かれた黒い瞳孔を輝かせ、黄金の肌には無数の黒い斑(まだら)を帯びて、獲物を待ち構えている。それは、さながら猛獣の豹を彷彿とさせるし、幻想の念さえかきたてる。

淡水魚で日本一大きいのがイトウです。どれほど大きいのでしょうか。またまた佐々木画伯のエッセイによりますと、昭和10年ころ塘路に体長10尺(3メートル)ぐらい、あるいは15尺(4.5メートル)ぐらいのがいたらしいとのことでしたが、どの釣り師も竿を折られたり糸を切られたりするばかりで、姿は見てないとのことでした。ちなみに佐々木画伯が釣ったもっとも大きなイトウは4尺(1.2メートル)でした。旧釧路川と新釧路川の分岐点よりやや下流の新釧路川の深みで釣ったとのことです。画伯は、記念にこのイトウで魚拓を作ってます(写真)。

さて私自身のイトウ釣りはといいますと、道北の猿払川とその近くで2回試みたうちの1回でイトウがかかりました。50~60cmだったと思います。なぜ大きさがはっきりしないかといいますと、1メートル半近い高さの岸の上に引き上げようとして糸を引っ張ったところバレてしまったからです。タモを使えば良かったのですが。

厚岸湖に注ぐ別寒辺牛(べかんべうし)川でも釣れることがあると聞きましたので、何度かルアーで試しましたが、釣れませんでした。本当の釣り方を知らないためでしょう。近年道北ではイトウが増えてきたと聞いてますので、再度チャレンジしてみたいものです。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25080-1.pdf

● 道東の冬は世界一美しい
1.鶴居村のタンチョウ、
2.阿寒湖や網走湖でのアイス・フィッシング、
3.摩周湖の霧氷、
4.オホーツク海の流氷。
この4か所をお薦めします。オホーツク海の流氷が最高ですので、2月の後半においでください。

1.鶴居村のタンチョウ

タンチョウ(丹頂)は、今年の調査では、鶴居村を中心に1,924羽が確認されました。飛んでる姿がとくに優雅です(写真)。頭頂にはほぼ羽毛がなく黒い剛毛がまばらに生え、血管の透けた赤い皮膚が裸出しています(写真)。タン(丹)は「赤い」の意で、頭頂に裸出した赤い皮膚のことです。食性は雑食で、昆虫やその幼虫、エビ類やカニ類、セリやハコベの葉など多様です。冬になると餌が摂れなくなるので、冬場は場所を決めて給餌してます。鶴居村では鶴見台(写真)と伊藤サンクチュアリ、隣りの阿寒町では阿寒国際ツルセンターです。
ただしあまり個体が1か所に集まると鳥インフルエンザに感染する恐れがありますので、最近は餌の量を減らして、過度に集まらないようにしてます。そのためタンチョウは広く散らばるようになってきました。渡り鳥ではなく留鳥です。夏は釧路湿原などに棲息してます。我が家の周りでも見かけます。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25080-2.pdf
2.阿寒湖や網走湖でのアイス・フィッシング

始めに米国のアイス・フィッシングについて述べます。米国のメイン州でアイス・フィッシングをしたことが2回あります。大きな川の河口近くで、干潮時から満潮時にかけて、石油ストーブか薪ストーブがある小屋で、smeltスメルトというワカサギよりもやや大きな魚を釣りました(写真)。潮が満ちてくるとsmeltも潮とともに上がって来るので、この時間に釣るのだそうです。潮の満ち干で氷は50cmほど上下しました。

少し長くなりますが、当時の記録を引用します。アイス・フィッシングでは、氷の厚さは少なくとも6インチ必要、氷には黒い氷と白い氷があり白い氷は雪が凍ったものなので透き通った黒い氷の方が強くて安全、6~7フィートの深さのところで釣れることが多いのであまり岸から離れた所では釣らない方がいいしその方が安全、先ず岸に近いところから氷に穴を開け氷の厚さと性質を調べること、近くの釣り人に氷の厚さや性質を聞くこと、一人では行かないこと、家族や友人に行く先を告げてから行くこと、などでした。

小屋に入ってどこで釣るのかと見回しましたら、部屋の両側に床の板張りがなく、40cmほどの幅で細長く水が見え、この部分には氷がありませんでした(写真)。ここで釣るのです。壁には釘に糸が巻きついていて、錘と小さな針が付いてました。この糸を垂らして釣ります。釣竿はいりません。ゴカイは細かく切って付けるようにとのことでした。水底から少し糸を上げ、針先が水底から少し離れるぐらいにして、そのまま放置するとのことです。糸を動かす必要はないと言われました。
1回目の釣行ではほとんど釣れませんでしたが、2回目は30匹ぐらい釣れました。帰宅後に塩焼きとから揚げにして食べましたら、その美味しいこと、大感激でした。思わず成仏したsmelt様を拝んでしまいました。

帰り際、後片付けの仕事をしていた若者に聞きましたら、一番釣れるのは夜だそうです。電球の灯りに寄ってくるようです。すると、おじさんおばさんが12~3人、グループでやって来ました。どうも釣りをするだけではなさそうで、土曜の夜を飲んで食べて楽しもうという様子です。一方若者は、耳をつんざくほどうるさい音を出してスノーモビルを乗り回しています。彼らは思い思いの方法で、長く厳しい北国の冬を楽しんでいるようです。

メイン州の釣り場は大きな川の河口近くですので、周囲はだだっ広いだけでした。釣り小屋から見える景色は、単調そのものでした。これが阿寒湖ですと、東には雄阿寒岳が見え、西には雌阿寒岳が見えて、素晴らしい景色です。すっかり阿寒湖のアイス・フィッシングが好きになってしまいました。ただ阿寒湖で問題なのは、釣り場として決められている場所が岸から遠く、水底までが深いことです。水底まではおそらく10mぐらいあるでしょう。
ワカサギは湖底にいます。すると針の上げ下げに時間がかかるので、能率が悪いのです。一方、網走湖は湖底までは2~3mと浅く、すぐに巻きあげることが出来ます。なぜか女満別町に近い網走湖の釣り場がよく釣れるのです。雄大な阿寒湖の写真と網走湖の釣果の写真をご覧ください。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25080-3.pdf
3.摩周湖の霧氷

北海道の東部、川上郡弟子屈(てしかが)町にある摩周湖は、弟子屈町の中心から北東へ約11km、川湯温泉から南東へ約12kmの距離にあります。摩周湖へは冬でも行けます。ただし川湯温泉側からの道は閉鎖されていますが。

東北海道では、積雪が多くない分、凍えるような冷気が漂うため、昼間でも気温がプラスにならない日が続きます。またこのエリアは屈斜路カルデラという外輪山に囲まれているため、条件がそろうとカルデラの底には冷気が溜まり、マイナス20度以下の気温になることも珍しくありません。そんな極寒の地の木々が冷気によって冷やされるため、木々に水分が触れると凍り白い衣をまとって霧氷になっていきます。霧氷が見られる1月下旬から2月下旬頃にかけての摩周湖はとりわけ美しく、絶景が広がっています。
午前10時を過ぎると、はらはら舞い落ちてしまうこともあります。晴れの日が続くと霧氷になる確率は低くなるそうですが、摩周外輪山から昇る日の出が見られるのも見どころの一つです。展望台の周囲が霧氷となり朝陽が当たると、まるで桜のようにピンク色に輝く霧氷に出会うこともあるそうです。

霧氷を見たい場合は、ガイド付きの「摩周湖霧氷ツアー」がお薦めです。例年12月下旬から翌年2月下旬頃まで実施されています。周囲の自然や霧氷についての解説を聞きながら、厳寒期の摩周湖の景色を楽しみましょう。ツアーのときの気温はマイナス10度を下回る厳しい寒さですので、頭から足先までしっかり防寒対策をしてください。使い捨てカイロもお忘れなく。「霧の摩周湖」の異名がありますが、冬の摩周湖は比較的天候が安定しており、晴天の日も多いです。この写真のような霧氷を見ることができれば、一生の思い出になるでしょう。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25080-4.pdf
4.オホーツク海の流氷

これが道東の冬の一番のお薦めです。これまで紋別で流氷を見たことはありませんので、オホーツク海といいましても網走付近から知床半島にかけての流氷の紹介です。能取岬(のとろみさき)からフレトイ展望台にかけて、2月半ばから末までがお薦めです。この地図をご覧ください。ただし地球温暖化で、これからは流氷が接近する期間が短くなるかもしれません。北海道のオホーツク海沿岸の緯度は、イタリアのベニスの緯度と同じです。この緯度で流氷が見られるのは、世界中で北海道だけだそうです。

流氷のふるさとは、シベリア沿岸とサハリン東岸沿岸です(次の地図)。そこで作られた流氷が海流と季節風のため南へと流され、北海道に接岸し、沿岸に沿って南下します。能取岬から見る流氷は、この写真のように、氷の白さと海の青さが混在して、素晴らしいコントラストになります。ときにはぎっしり氷が詰まった真っ白な流氷が押し寄せることもあります。これも美しいです。流氷の上に、オオワシがいることもあります(写真)。フレトイ展望台(写真)からは遠くに知床連山が見えますし、その右には海別岳(うなべつだけ)、さらに右には斜里岳が見えます。
強い南風が吹きますと流氷は北へ押し返され、知床半島北岸の流氷以外は、あっという間に去ってしまいます。訪ねてみたら流氷はなかったということがないように、海氷情報センターからの海氷速報https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/drift_ice/ice_chart/latest_icechart_jp.html
をご覧になりながらおいでください。この海氷速報は、流氷の位置と厚さを、毎日、人口衛星が知らせてくれてます。

http://expres.umin.jp/mric/mric_25080-5.pdf

 

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