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Vol.25124 ケネディの呪縛、トランプ主義の危うさ

医療ガバナンス学会 (2025年7月4日 08:00)


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この原稿は中村祐輔の「これでいいのか日本の医療」(2025年6月23日配信)からの転載です。
https://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2025/06/23/225420

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
理事長 中村祐輔

2025年7月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

6月12日のNature誌のNews欄に「Who is on RFK Jr‘s new vaccine panel-and what will they do?」という記事が出ていた。厚生福祉大臣のRFK Jr(ロバートFケネディ ジュニア)が国のACIP(Advisory Committee on Immunization Practices)メンバー17人全員をクビにして、新たな委員を任命したが、この人たちは大丈夫か?という記事だ。

RFK Jrはワクチン懐疑主義の代表的人物だ。このACIPは「承認を受けたワクチンを誰がいつワクチンを受けるべきかのアドバイスをする公衆衛生の要となる委員会である。この委員会の多くの委員が、反ワクチン主義を表明していたり、それらの活動に関わっていること記事に対して疑問を投げかけている記事だ。

何人かの名前を挙げて、その人たちがワクチンに対してどのような言動・行動をしてきたのかを記述し、本人のコメントを求めたが回答がなかったと締めくくられている。公の委員会であっても、委員の選考過程でバイアスがあると、公平・公正な議論が行われない。考えが偏った(というよりも、科学的に妥当でない)委員が過半数を占めると科学政策・公衆衛生対策が歪められていく。すでに米国の科学政策は大統領の影響で大きく変換している。

しかし、このような誰が見ても明らかな委員会メンバーの選考ではなくとも、日本の委員会も似たようなところがある。御用学者と呼ばれる人たちを委員に入れると官僚は委員会を意のままに操ることができる。口うるさい学者や正論を曲げない委員などは、次第に委員会から遠ざけられる。これでいいのかと思っていても、段々とフェードアウトさせられると、多くの学者の発言がだんだんと弱められていく。

そして、米国のイラン爆撃が起きた。トランプ大統領に「北風と太陽」の物語を聞かせてあげて欲しいものだ。力で屈服させようとして世の中のすべてが動くものではない。愚かな傲慢主義だ。死んでも守ろうとするのが人間としての誇り、矜持だ。私の哲学ならば、必ず報復が起きると思う。

トランプ政権やケネディ大臣の行っていることを他山の石として、命を大切にする社会にしてほしいものだ。沖縄戦80周年のニュースを聞きながら、歯車の狂ってきている世界を憂うばかりだ。

 

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