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Vol.143 高校生の私が想うこと 東京~相馬から広げるネットワーク

医療ガバナンス学会 (2011年4月23日 06:00)


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東京都立西高等学校2年  藤井綾子
2011年4月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


先日行われた相馬高校の東大研修で、2日目・3日目に、相馬の生徒の皆さんと交流させて頂きました、都立西高校2年の藤井綾子です。

被災者・支援者という立場としてではなく、同じ高校生として、今回の交流はとても有意義なものでした。そのような場を提供して下さった方々に感謝してお ります。また、今回は大人の方々にこういう場を作って頂きましたが、今回限りの関係にならないよう、今後は私達高校生自身が主体となって交流を続けていき たいと考えております。

今回の震災、特にそこから派生した原発の問題は、決して「福島の問題」ではなく、言うなればそこでの電力供給を必要としていた「東京の問題」で、更には 「日本の問題」であると考えております。そして、この問題はまさにこれからを生きる私達の世代の課題となるものであり、その意識を持って向き合わなければ ならない、という見解で、先月から親しい友達と話しておりました。しかし、具体的に何をすべきなのか、というより何ができるのか、という話になると、全く 浮かばず、とりあえず勉強するくらいしかないのかな という所にとどまったままでした。
そんな所で今回の場を設けて頂き、相馬の皆さんと交流し、このつながりを大切にしたい、もっと広げたい、と思いました。これから原発問題と向き合ってい く私達が、つながりをもち続け、情報交換をしていくことは 非常に有意義なことであると考えます。今回の交流では、「嵐の翔君ファンなんだ。」「え、私はニノだなあ。」といった、至って普通の会話をしておりまし た。しかし、会話のふとしたところで、「GANTZ見たいけど映画館が危険で今は入れないからなあ。」「そのシリーズ集めてたけど全部津波で流されてさ あ。」という言葉を聞いたときには、私も友達もどう反応したらいいのか全く分かりませんでした。私たちが初めて現実と向き合ったときだったのかもしれませ ん。結局今回はそれ以上踏み込んだ内容には触れず、ましてや原発のことなど全く話題に上がりませんでしたが、本当はもっと一緒になって向き合わなければな らない問題です。もっともっと、交流の場がほしいと考えています。そして今具体的に、大きく2つのことをやってみたいと考えております。

1つは、HP等を通しての、相馬の高校生・東京の高校生の交流です。直接会っての交流となると、費用や、互いの学校・部活のスケジュールの問題もあり、 難しくなってきます。現に今回の交流でも多くの友達に声をかけましたが、部活の試合期間ということであまり集まれませんでした。しかしこういった活動に主 体的に関わろうとしている友人はたくさんおります。また、相馬の皆さんも同じように興味を持って下さっていて、メールや互いのblogで、今後とも付き 合って行きたいねと話している所です。そこで、HPを作り、書き込みをしあって情報交換できたらと考えました。今、パソコン関係に詳しい友人に相談をして いる所です。そして、このHPでの交流をきっかけに、いずれはやはり直接会っての交流をしたいと思います、たとえば、部活の対外試合だったり、共同合宿の 開催などを、 HP上でのコミュニティーから企画していけたらと思います。
もちろん望ましいのは、私たち東京の学生があちらに伺うというかたちです。しかし、現状をふまえると、私たち未成年者が福島のほうに行くことに対して は、保護者の不安が伴い、実現はむずかしいと考えられます。やはり、さまざまな風評の影響は大きいです。そしてそれが福島の方々に与える精神的な負担は もっと大きいでしょう。
今回の交流会で仲良くなったある女の子のブログから、そのまま引用します。「原発事故の影響でだいぶ福島県民が差別されてるみたいですね・・・『放射性 物質持ってきてる』みたいな。そんなふうに差別されてるのが、大変イラつきます。まともに学校行けなくてただでさえイライラしてるのに・・・」。交流する 上でこちら側に少しでも福島へ行くことをしぶる気持ちがあると、それは大変現地の方に失礼なことになります。お互いに気持よく交流したいのです。政治家の 皆さん、統一地方選挙が終わったら、最初の仕事として是非東日本への視察旅行をして、どこは危険でどこは安全なのかということを、自らの行動と言葉で発信 して頂けないでしょうか。そうすれば私たちも、「修学旅行は被災地に行って現地の方と交流したい。」と言えますから。また、専門家の皆様にはぜひ、科学的 根拠とともに、高校生のレベルであればどこまでは足を踏み入れて問題ないのか、分かりやすく説明していただきたいです。そうすれば、保護者も安心して子供 を送り出せるでしょうし、私たち自身、安心して訪れることができます。

2つ目は、音楽の共有です。というのは、私が所属している地元の児童ミュージカルサークルがあるのですが、そこは主に幼稚園児~小学生の団員で構成され ています。私達高校生世代もそうですが、更に小さいこの世代のつながりというのも、大切だと考えます。何より、こども達というのは何とも説明しがたい、周 りをも元気づけ温かい気持ちにしてくれるパワーを持っています。せっかく私がつながりを持っている後輩達がおりますので、彼女達と何かできないかと考え、 やはり私達の活動の主となっている歌を通してのことがいいのではないかと考えました。
このような状況下で歌うことに本当に意味があるのか、私なりに調べてみました。音楽は、音楽療法という心理療法のなかでも、聴いたり、演奏したりするこ とで、感覚や心が本来持っている力を取り戻すのにも使われています。音楽が心のリラックス度を高め、楽しませるという「カタルシス効果」も期待できます。 実際に色々と効果を上げた事象も報告されているようですし、私自身の経験からも、音楽には確かな意義があると考えます。
まずは私達が歌い、その映像なりをむこうに送り、一緒にその歌を共有できたらなと思います。そして、音楽療法には、受動的に聴くだけの音楽鑑賞だけでな く、歌唱・コーラス・器楽演奏・作曲などに能動的に関わる方法もあるので、歌うのが好きな方々に同じ曲をあちらでも歌っていただき、いずれは一緒に歌うな どができたら最高です。そういうことも考えながら、相互に歌い続けられる曲があればなと思います。
私にはいまどうしても歌いたい歌、みなさんと一緒に歌いたい歌があります。今年の紅白歌合戦で出演者全員で歌っていた『ふるさと』という曲です。私が指 導頂いてる先生も、今回の震災に対する音楽や文化活動の意義をとてもよく考えていらっしゃる方なので、その先生の助言をいただきながら、今度は日本の、よ り多くの人々と歌うという企画を立て、そして何とか実現しようと考えています。著作権の問題からかこの曲の楽譜が公開されておらず、また、私達の団のスケ ジュールの問題もあり…と難題は多々ありますが、焦らず、かつ急いで、確実に、実現へ向けて行動していきたいと考えております。

以上のようなことを、今回の交流会を受けて考えました。
今までは何ができるかよく分からずそのままにしていましたが
今は、何かできるかよく分からないけど とにかく動いてみようと思っています。

相馬高校のみなさんも、前を向いています。転出してしまった友達がいたり(今回の東大研修期間に「転入試験に合格した」という友達からのメールを受け取った人もいました。)、学校の始業が遅れていたり、不安になる要素はたくさんあるようですが、それでも前を向いています。
これは、また別の女の子のブログからの引用です。
「勉強頑張って 頑張って頑張って 将来役に立てるような人間になりたいですね。」
私も負けてはいられません。幸い、中学の同級生をはじめとして、周りに同じような考えの友人が何人かおりますし、今回アドレスを交換できた相馬の高校生もたくさんいます。そういった仲間と、主体的に動いて、交流を広げていきたいと思います。

高校生という勉強中の身で、生意気なことを書き連ねました。
まだまだ未熟なところばかりですが、今後ともご指導いただけると幸いです。

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