
医療ガバナンス学会 (2025年12月3日 08:00)
この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。
福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治
2025年12月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
13年に導入された新規制基準では、安全上重要な施設を活断層がない地盤に設置することが求められています。それでは活断層とは何なのでしょうか。地震の仕組みのお話の続きです。
日本は「地震大国」です。世界中の地震の約10分の1が日本やその周辺で発生しています。その理由の一つは、地球表面を覆う「プレート」と呼ばれる岩盤が動いているからです。プレートの動きで境界部分にひずみがたまり、これが原因で起こるのが「海溝型地震」です。11年の東日本大震災もこのタイプに当たります。
もう一つの地震は、プレートの境界ではなく、プレート内部で起きます。プレートが動くことで自身に圧力がかかり、ひずみが限界までたまると弱い部分(=断層)が壊れてずれ動きます。これは、ひび割れたクッキーを押しつぶすと弱い部分から割れるようなものです。
これを「内陸型地震」と呼びます。このタイプの地震は、大津波を引き起こすような「海溝型地震」に比べればエネルギーが小さいことが多いのですが、私たちの足元の地下約5~20キロの浅い場所で発生するため、生活への影響が大きく、「直下型地震」とも呼ばれます。1995年の阪神大震災や2004年の新潟県中越地震、今年の能登半島地震もこのタイプです。
●動く可能性あるひび割れ
( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024122111584631059 ) 2024年12月21日配信
2013年に導入された新規制基準では安全上重要な施設を活断層がない地盤に設置することが求められています。地震の仕組みのお話の続きです。
地震は、地球表面を覆う「プレート」と呼ばれる岩盤が動くことで発生します。この地震には大きく分けて2種類あります。
一つ目は、プレートの境界にひずみがたまり、限界を超えて動くことで発生する地震で、「海溝型地震」と呼ばれます。11年の東日本大震災がその代表例です。二つ目は、プレート内部に圧力がかかり、ひずみが限界までたまると弱い部分(=断層)が壊れて発生する地震で、「内陸型地震」と呼ばれます。1995年の阪神大震災がその例です。
私たちが暮らす地面の下には、固い岩盤の層が広がっており、その中には多くのひび割れがあります。通常はこれらのひび割れ同士がしっかりかみ合っていますが、強い力が加わると壊れたり、ずれたりすることがあります。この動きを「断層活動」と呼び、その結果生じる衝撃が地面に伝わると、地震が発生するのです。
中でも、数十万年前以降に繰り返し動き、将来も動く可能性が高い断層を「活断層」と呼びます。現在、日本では2千以上の活断層が確認されています。ただし、地下深部で地震を引き起こした断層が地表までずれを生じさせていない場合、地表でその断層を確認することはできません。このような「隠れた活断層」も多く存在しており、まだ見つかっていないものがあると考えられています。