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Vol.150 東日本大震災被災地における調査・研究に関する緊急声明文

医療ガバナンス学会 (2011年4月28日 06:00)


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社団法人日本精神神経学会
理事長 鹿島 晴雄
2011年4月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


この度の東日本大震災によって被災されました皆様に、お見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々へのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

被災地の皆様は大変な思いを持ちながら、復興に向けて懸命のご努力をされていることと存じます。日本精神神経学会と致しましても、「災害対策本部」を発足 させ、被災地の精神医療支援に必要な情報を収集し、精神医療関連諸団体から派遣される「精神医療支援チーム」の後方支援活動を実施しております。
「精神医療支援チーム」は、被災者の方々が現在、どの様な心身の状態でおられるかを確認し、心身の健康を保つための方策と、心の健康が既に損なわれていると判断された方々には適切な治療方法を、各被災者の方々の実情にあわせて提供するお手伝いをしております。

一方、「心の状態に関する調査・研究」といった形で、精神的に傷つき、心身ともに疲弊しておられる被災者の方々を対象として、配慮を欠いた面談やアンケートによる「心の状態に関する調査・研究」が行われている実態があります。
人を対象とした全ての「調査・研究」は、「疫学研究に関する倫理指針」、「臨床研究に関する倫理指針」等の政府省庁が定めた倫理指針に則り、倫理委員会に よって、その倫理性や研究としての科学性に関して審議の上で承認を受け、承認内容に則して実施する必要があります。ところが、被災地で行われているこのよ うな調査・研究の中には、この様な倫理的配慮がなされておらず、また、調査対象となった各被災者の方々に援助も提供しないものがあります。
過酷な状況下におかれている被災者の方々は、「心の状態に関する調査・研究」の対象となった結果、一層の精神的負担を負い、傷ついた心の回復が遅れる、あ るいは新たな心の傷を負うことが危惧されます。また、配慮を欠いた「調査・ 研究」が行われたために、被災者の方々が心を閉ざし、本来必要な「精神医療支援チーム」の活動にも支障が生じております。

日本精神神経学会は、被災者の方々に不適切な精神的負担を強いる、倫理的配慮を欠いた調査・研究は、人道・倫理に反するものであり、強く抗議の意を表明す るとともに、即刻の中止を求めます。また、人を対象とした全ての調査・ 研究に関し、政府が策定した倫理指針に則り実施されることを改めて確認させて頂きます。

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