最新記事一覧

Vol.26015 坪倉先生の放射線教室(32)活断層の上の建設

医療ガバナンス学会 (2026年1月27日 08:00)


■ 関連タグ

この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治

2026年1月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●活断層の調査法さまざま
( https://www.minyu-net.com/news/detail/2025012513093332570 ) 2025年1月25日配信

2013年に導入された新しい規制基準では、発電所の重要な施設を「活断層」の上に建ててはいけないとしています。

地球の表面を覆う「プレート」に力が加わると、地殻にひずみ(ゆがみ)がたまり、限界を超えると「断層」と呼ばれる弱い部分が壊れて動き、地震が発生します。その中でも、過去に何度も動いた記録があり、今後も動く可能性が高い断層を「活断層」といいます。日本では、現在約2千以上の活断層が確認されており、その位置や性質を把握することが非常に重要です。

活断層の調査にはさまざまな方法があります。

まずは、空から地形を観察する方法です。航空写真や衛星画像を解析し、通常の浸食や堆積では説明できない地形を探します。例えば、川の流れの向きが不自然に変わっていたり、直角に交わる崖などが見つかれば、それが活断層の存在を示す手がかりになります。

次に、「トレンチ調査」と呼ばれる方法があります。これは地表に深さ数メートルの溝を掘り、露出した地層の断面を観察するものです。地層に残されたずれや変形の痕跡を直接調べて、断層活動の有無を見ます。

さらに、地下を直接掘らずに構造を調べる方法もあります。例えば、地面に振動を与え、その振動が地下で反射・屈折して地表に戻る時間を測定する手法です。これは病院で使われる超音波検査(エコー)のような仕組みで、地下の硬い岩盤や軟らかい土の境界を把握し、断層の位置を推定します。地面の上で重力の強さや磁場を測定することで、地下に埋もれた岩石や鉱物の分布を調べ、断層の影響を探ることも可能です。

完璧はありませんが、これらの方法を組み合わせることで、活断層の位置や性質をより正確に把握しようと試みられています。
●活断層の基準、より厳しく
( https://www.minyu-net.com/news/detail/2025020113491832805 ) 2025年2月1日配信

2013年に導入された新規制基準では、原発の重要施設を活断層の上に建設することを禁じています。この活断層を評価する基準は東日本大震災を受けて見直され、以前よりも厳格な審査が求められるようになりました。

主な変更点を三つ紹介します。

一つ目は、これまで活断層と判断される基準は「12万~13万年前以降に動いた断層」とされていましたが、新しい基準では約40万年前(中期更新世)までさかのぼって評価することになりました。これは12万~13万年前よりも前に活動した断層であっても、地質学的な証拠から「将来再び動く可能性がある」と判断されるケースがあるためです。

次に、複数の断層が連動して大きな地震を引き起こす可能性を考慮するようになりました。以前は個々の断層を独立して評価していました。しかし、新たな知見では複数の断層が連動して活動することで、想定以上の地震が発生する可能性が指摘されています。そのため、より広く断層の影響を検討するようになりました。

三つ目は、海底の活断層の影響をより重視するようになったことです。日本の原発の多くは沿岸部にあります。津波のリスクを考慮し、海底の活断層について、海底の地形や過去の地震記録を含めた詳細な調査が求められるようになりました。

もちろんこれだけで完全な安全を保証することはできませんが、より慎重な審査と対策が求められるようにはなっています。

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらのフォームに必要事項を記入して登録してください。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ