
医療ガバナンス学会 (2026年1月28日 01:28)
東北学院大学地域総合学部1年生
伊東聡太
2026年1月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
そんな中で、故郷や震災を「自分事」として考えるきっかけを与えてくれたのが、高校時代に参加した地元NPO法人「ハッピーロードネット」での活動でした。私はそこで、高レベル放射性廃棄物の最終処分をテーマとした研修に参加しました。
それまで、原子力や震災に関する問題は、どこか難しく、距離のあるものだと感じていました。しかし、研修で出会った方々は、一方的に意見を押し付けるのではなく、事実を丁寧に示しながら「どう考えるか」を私たちに委ねてくださいました。地域を良くしたいという強い思いを持つ大人たちの姿に触れ、私自身の考え方は大きく変わりました。
その経験を通して心に残ったのが、「対話の重要性」と「伝えるのではなく、伝わるための工夫が必要だ」という言葉です。そして今回、当時ご縁のあった高村泰広先生を通じて訪問した医療ガバナンス研究所で、その言葉の意味を実感する機会を得ました。
訪問時、私は翌日に控えていた意見提言の場について上先生に相談しました。先生は、提言を行う前に相手のバックグラウンドを徹底的に調べ、相手を理解した上で対話に臨むことが重要だと教えてくださいました。相手との共通点を見つけることで、初めて相手が納得できる提言になるというお話は、とても印象に残っています。実際にこの助言を意識して提言を行ったところ、聴衆の方々から好意的な反応をいただくことができました。
また、先生は私が相馬市出身であることを踏まえ、地域の背景についても説明してくださいました。相馬市は武家社会の影響が残り、行政の役割が強い一方、隣接する南相馬市は商業のまちとして民間の力が強いという違いがあります。これまで私が感覚的に抱いていた「相馬では行政主導の行事が多い」という印象が、地域の歴史や構造から説明されたことで、点だった理解が線につながったように感じました。
今回の訪問を通じて、私は自分が多くの方々に支えられてきたことを改めて実感しました。高校時代から現在に至るまで、さまざまな学びの場に連れて行ってくださった方々、そして忙しい中でも学生の話に耳を傾けてくださった先生方の存在があって、今の自分があります。
まだ将来について具体的に定まっているわけではありません。しかし、今回のような出会いや学びを一つひとつ積み重ねていくことが、自分の指針を形づくっていくのだと感じました。これからの大学生活の中で、自分が本当にやりたいことを見つけ、そのために必要な力を身につけていきたいと思います。
医療ガバナンス研究所での経験を通して、私は「相手に伝わる対話」と「支えてくださった方々への感謝」の大切さを再確認しました。この学びを今後の行動に活かし、地元相馬、そして社会に少しでも貢献できるよう歩んでいきたいです。