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Vol.206 これでいいのか、老後の生活? 年金、医療に大金がつぎ込まれているが老人は喜んでいない

医療ガバナンス学会 (2011年7月4日 06:00)


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茨城県利根町 鈴木内科医院
鈴木博之
2011年7月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


現在の老人政策は間違っている。大金が年金、医療につぎ込まれているが、老人は生き生きしてこない。社会の邪魔者、金食い虫として、若い世代の目の敵になっている。私自身も間もなく老人の仲間入りをする。何とか、社会と折り合いをつけられるようにならないものだろうか?
ここは世界の知恵、日本の知恵を使って、上手にこの難問をクリアしていくことが求められている。経済も回って、雇用を生み、老人自体が満足できる方法論、 そのひとつをここに提案したい。具体的な財政的裏づけなどは、なんらできているわけではないが、老人問題に一石を投じることができればと思い、私の描く理 想の老人生活についての駄文をしたためる次第である。

老人は概して金持ちである。しかし、金を使わない。使いたいものがないのも事実かもしれない。わざわざ店まで行くのも骨折りだし、細かい話を聴いても判ら ない。騙されるやも知れず臆病にもなる。インターネットも使い方がわからない。また、100まで長生きする恐れ(?!)から、金がショートすることを心配 して使わないのかもしれない。老後の財産の変化をみると、欧州では退職時に最も財産があり、死ぬときに最小になるという。日本では貧乏暮らしをして年金も 使わずに溜め込むから、逆である。当院の患者さんにもいる。十分な年金があるにもかかわらず、昼に届く弁当が一日の一番の行事となり、それを3回に分けて 食べているのだ。その弁当のために外出もままならない。本人あきらめているのか当然のことのように思っている。

町に老人が増えると金が回らないから、経済活動は停滞する。商店街は寂れ、スーパーも撤退する。老人は自治活動に参加しないから、若い人にその分負担にな る。また、何かと若い隣人に頼みごとをする。老人だから若いのを使って当然と思っているのかもしれない。一方、老人は孤独であり、相手をして欲しがる。し かし、気の効いた話はできないし、冗長で繰り返しが多いから、若い人はとても相手できない。畢竟、病気を装って相手の気を引こうとしたりする。若い頃のよ うに思うようには体が言うことを利かずに、口ばかり一丁前である。そのうち本当の怪我病気も多くなり、愚痴も出やすくなる。どんどん嫌われる傾向に向か う。次第に、認知能力も衰え、他人の助けは年をとるごとに必要とされていくのである。

これらを解決するには大規模高齢者専用賃貸住宅(高専賃)がいい。現在、各種老人施設はあるが、いずれも老人が楽しい人生を送るためのものではない。どち らかというと問題が起きないようにと家族が老人を収容するためのものだ。子供扱いして、お遊戯お唄。老人は黙ってはいるが、馬鹿にするな、と思っているに 違いない。そんな姥捨て山的な施設ではだめだ。元気なうちから入居して、人生を楽しむのである。年金生活に入る頃が適齢期ではないかと思う。500世帯く らい入れる施設ならいろんな設備やサービスが期待できる。高専賃はまま、見られるようになってきたが、小規模では施設介護と変わりなく、利便性を期待しに くい。したがって、自治体との協同が必要と思う。

高専賃はバリアフリーで怪我をしにくく、老人が移動しやすく、活動的になれるようにできている。室内の温度も一定で快適である。火を使わず火事にもなりに くい、つけっぱなし、流しっぱなしでも自動的にスイッチは切れる。安心快適生活が送れ、押し売り、振込み詐欺など外的から保護されて、いい環境で生活でき る。館内にスーパー、レストランなどが整っているため、基本的生活用品購入のために館外外出は要らない。歩けなくなれば、老人用電動カートで館内どこにで も移動できる。もちろん外へのお出かけは自由であり、公共バスも停まってくれる。

施設には清掃要員も洗濯サービスもあり、いつも清潔である。付属の大規模浴場は景色を見ながらのもので、ジャグジーなど健康設備をいろいろ用意したい。老 人はやはり風呂が楽しみなのである。風呂は介護度によって分かれており、粗相をしたらすぐさま湯水を交換できるよう小浴槽が並んでいるのがいい。頭を洗う のも難しくなれば、床屋のごとく毎回介護人に頭を洗ってもらうのは気持ちがいい。日常的に三助よろしく若い人に体を洗っていただいて、いつも清潔にいたい ものである。いよいよとなれば、車椅子ごと浴槽に入るなどの入浴サービスも受けられる。難聴の原因のひとつに耳垢が挙げられているが、耳掃除のサービスは 特に人気の出そうなものである。

食事は階下のスーパーで食材を求め、自分で作ってもいいが、付属のレストランでは手間なく安くて、そこそこおいしい料理が食べられる。パジャマ姿で着替えが面倒な朝には宅配を希望すればいい。これらはファミレスと提携するのが品質、サービスともに望ましいのではないか。

介護、医療の設備もあり、毎日巡回してくれるし、ボタンひとつで緊急時は飛んできてくれる。リハビリの施設が備わり、理学療法士が痛みの対処法を考え指導 してくれる。効率的な筋力維持法も考えてくれる。朝は戸外でラジオ体操から始めるのはどうだろう?もちろん、飼い犬の散歩でもいい。また、楽しく、快適に 運動するため、シュミレーションゲームなども大事だと思う。

ひとつの建物に所帯が多いため効率的に清掃、介護、往診が行える。訪問事業で大きな問題は移動時間のロスである。その解決法のひとつはグループホーム、老 人ホームなどの施設収容であるが、これは息苦しい集団生活でありご免である。ここは賃貸住宅であるから個別の住まいとして生活することができ、かつ、密集 しているため効率よく訪問事業が行えるわけだ。ホテルのリネン交換と同様、運搬車に新旧のリネンをつんで館内各家片端から交換していき、次の時間帯には介 護人が身の回りの世話に端から回っていく、次の時間帯は訪問看護、そして往診となる。

老人となると頑固となり、気持のコントロールがつきにくくなるから、次第に友人は離れていき、単独行動をせざるを得なくなる。そうなると行動はかなり制約 されて、楽しいイベントはどんどん縮小していくこととなる。ここでは毎日行事が告示されており、希望のものがあれば参加すればよいのだ。若い企画力のある 指導者が老人を誘ってくれて、最後まで付き合い、管理監督してくれている。仕事となれば、若い人も文句言わずにやってくれるだろう。月一のデパートでの買 い物や美術館鑑賞、コンサートは必要である。バスで送り迎えをしてくれる。時に、外の一流レストランでの外食もいい。庭弄り、家庭菜園もたまにはやっても いい。難しいところは若い人がやってくれる。ハイキング、サイクリング、旅行も月一はやって身体を鍛えなきゃ。ガイド役は若い人。荷物持ちも手伝ってくれ るし、切符の手配、対外的交渉も頼める。

施設内では夜な夜なマージャン大会があり、気の合った友人ができれば、話し込むのも楽しみだ。ゲーセンもある。習い事も、年寄りに必要だ。私は、油絵でも 習いたい。各種講演会が三月に一回くらいあって、著名な先生の話が聴けるのもいい、歴史の先生、政治家、スポーツ選手、漫才その他、話を聴くのもいい。そ の後、講師の先生と喫茶店での雑談も楽しい。コンサートも学生演奏家を呼んで開催できる。

いくら、賃貸住宅だからといっても、まるっきり老人個人の判断で生活されると、いろいろ対人問題が起きる。寮長のように監督する人が必要であろう。あまり トラブルの多い人は退場も必要かもしれないが、老人は手間暇かけて話しを聞いてあげることが大事だ。それなりの太っ腹な人が監督することになる。電話相談 も充実させて、悩み、病気、不満など、エキスパートに活躍してもらうのだ。もちろん、単なる話し相手も必要で、ビジネスとして若い人に頑張ってもらう。

老人に病気は付き物である。もう病気の予防はいらない。健診もいらない。苦痛だけ取る医療はお願いしたい。手術も要らないし、透析もいらない、予防注射も いらない、薬も対症療法のものだけいただく。医者にかからせないのは虐待であるという見方があるが、こと老人場合は、死に方の問題であり余計なおせっか い、というものである。アメリカ並みに死ぬ際の治療の要望を文書にしたためておきたい。神様のお迎えが来たらいつでもお願いしよう。

老人は若い世代の3~4倍の医療費がかかるとされる。これなら、町も経済的負担が少なくてすむだろう。病院のような大勢の監視の中では、まったく私的な 「死」はそぐわない。人生の最後は自宅で、ばあさんと二人だけで迎えたい。ゆっくり今までの人生を振り返ってみたい。もし、痴呆症が出たら、付属の施設で 管理すればいい。外に出られない周回の園路を用意して、安心して徘徊できるようにしたい。大声出しても気兼ねは要らない。

高専賃は、いかに高いサービスと当たり前の利用料金を両立させるかが勝負である。老人専用の売り切りマンションにしないのは、空き家が出て、その分距離的 なロスが生じないようにする為と、占有物でないために病気等により必要になった際の部屋の移動がスムーズになされる為、そして、何より賃貸であることによ り入居の際の費用を抑えるためである。1000万程度の入居金と20万以内の借家代+介護費+生活費でやっていけたらいい。町の経済も回るし、若者の就職 に一役買えるではないか。町は一生涯の最低限の生活を保障すると宣言すればいい。

長生きして資金ショートしてしまっても町で面倒をみるのである。今でも、生活保護が最後の砦としてあるが、大方の老人の感覚ではプライドが許さない。ここ は保険のような仕組みを工夫して、超長生きにも対応できるようにしてもらいたい。当然資金繰りの不安もあろう。安心してお金を必要な分だけ使って、充実し た生活を送るように、折に触れて支えて経済面の相談に乗ってあげることが必要だ。欧米では親を子が面倒を見る習慣がなく、高専賃が普及しているという。日 本もそのような状況になりつつあるのであるから日本なりのノウハウを結集して満足のいく後半生を過ごす場を提供したいものだ。

高専賃入居にはある程度まとまった資金が必要である。そして長年の思い入れのある住居から移り住み、それを処分したりする必要もでて、大変な決断を要す る。したがって、高専賃と同様の目的を達するために、現在の住まいをバリアフリーに改善し、訪問サービスを密にして、さらに施設利用を発達させればよいの ではないかとの考えは当然でてくる。

サービスを一箇所に集中して老人を集めてくる方式はどうか。一軒一軒回って車に乗せて連れてくる。相手は老人であるから、いろいろな突発事件も出てくるで あろうし、効率よく回ることはかなり難しい。結果として一時間もバスに乗って朝ごはんを食べに行くというのでは、その時点でくたびれてしまって、結局サー ビスは利用されなくなってしまう。さらにサービスのたびにバスに乗るのであれば一日何回バスに乗ることになるのであろう。結局、長時間のデイサービスと同 様となり、高専賃の一日の切れ目のないサービスには到底及ばない。

次は、サービスする人が戸別に回って歩く方式であるが、これは移動に時間がとられ、サービス30分するのに往復の移動時間が30分というようになる。特に 当地のように田舎の一軒家が中心であれば、きめ細かくサービスしようとするほど、入れ替わり立ち代り大勢の人が出入りすることになり移動時間がサービス時 間を上回ることは必定である。つまり、倍以上の人的資源の投入が必要となる。介護保険での訪問による昼食作りが2000円ということで話題になった。どう しても割高になるのはやむを得ない。やはり、高専賃の利点は他に変えがたいのである。

まずは十分拡張可能な土地を用意して、10階建てで100世帯くらい入る高専賃を計画していただきたい。とりあえず訪問介護サービス、レストラン、大浴 場、コンビニくらいから始めるのだ。当地は、3,4人に一人が高齢者であり、高齢者のみの世帯は7、8軒に一軒に上る。高齢化は上昇の一途だ。1000世 帯の高専賃が2つ3つ必要であるが、自治体はまったく動く気配がない。焦眉の急であると思うのだが、いかがであろうか。行政の決断が求められている。

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