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Vol.243 ポリオワクチン問題~個人輸入のIPVに世田谷区って公費助成できないのだろうか? その3~

医療ガバナンス学会 (2011年8月19日 06:00)


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日本国主権者、東京都民にして世田谷区民
真々田弘
2011年8月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


六連発のリボルバーに一発の弾をこめ、銃口をこめかみにあてて引き金を引く。
ロシアン・ルーレットがかろうじて狂気のゲームでありうるのは、ゲーム参加者が六人未満の時までだ。全員が生き延びる可能性が、残されているからだ。
だが、ゲーム参加者が六人以上ならそれはもはやゲームではなく、狂気の仕業でしかない。

さて、OPV投与100万人あたり2~4人がVAPP(ワクチン由来ポリオ)となる。
平成21年度の日本の出生数は、約107万人だ。

日本の予防接種の大原則に戻ってみる。
予防接種法 第一章 総則
第一条 この法律は、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上及び増進に寄与するとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする。 ( 平六法五一・一部改正)
第二条  この法律において「予防接種」とは、疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種することをいう。

現実を、この法律の趣旨どおりのところに引き戻したい、というのが私の今回のアクションの目的でもある。

7月21日、世田谷区議会主要会派にIPVへの公費助成制度創設を求める陳情書を送ってから7月30日までの間に打ち返しがあったのは、二件のみである。一通をご紹介する。

8月1日 18:48 着信。
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真々田弘様

このたびはお世話になります。
ポリオ不活化ワクチンに関する陳情の件につき、お返事申し上げます。

すでに御承知かと存じますが、区民の皆様から、直接議会に要望できる制度として、「請願・陳情」というしくみがございます。

http://www.city.setagaya.tokyo.jp/kugikai/minasan/seigan.htm

請願もしくは陳情という形で、区議会事務局に提出していただければ、各会派から1~3名、全体で10名の議員で構成される、区議会の福祉保健常任委員会に付託、審査された後、最終的には、50名の世田谷区議会議員全員で、採決をいたします。
採択されれば、関係所管に送付され、処理されることとなります。

こうした制度をご活用いただければ、党派を超えて世田谷区議会全体として、広く議論し、一定の結論を出すことができますが、いかがでしょうか。

ただし、現在は議会が閉会中のため、陳情・請願の〆切は次回が9月12日、その次が10月14日です。
いずれも、11月14日の福祉保健常任委員会にて審査され、議決は12月の第4回定例会中となるため、採択されたとしても10月からのポリオの接種には、残念ながら間に合いません。

(但し、国産ワクチンの開発には、まだ年月を要するようなので、来年度以降の予算組みでも反映させたいという趣旨であれば、時期的には問題ないです)

なお、できましたら、一度直接お話をお聞かせいただいた上で、請願・陳情以外の方法として、例えば9月の定例会での質問等、我々として何かできるようであ れば検討したいと思いますので、誠に恐縮ですが一度、区役所までご足労いただければと思いますが、いかがでしょうか。(日程案・・・略)

ご検討の程、宜しくお願い申し上げます。

世田谷区議会議員 中塚 さちよ
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で、私からの返信は、8月1日、19:33。
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民主党世田谷区議団
中塚さちよさま

メールありがとうございます。
(面会日程・・・略)
>すでに御承知かと存じますが、区民の皆様から、直接議会に要望できる制度として、「請願・陳情」というしくみがございます。
存じております。

> こうした制度をご活用いただければ、党派を超えて世田谷区議会全体として、広く議論し、一定の結論を出すことができますが、いかがでしょうか。
皆さん方にとっての「通常のルート」に乗せること、がこの問題に対しての適切な速度での対処を可能にすることとは思えません。広く議論…を、議会が始まってから…やっていたのでは、どうなることやら、ですね。
そのために、世田谷区議会のすべての会派、全議員に同じ提案書を送ってあります。
種はまきました。(ま、読んでいるかどうかは別にして)
それをベースに、この夏の間に、議場以外の場所で、各会派の意向を取りまとめるという、汗をかくお覚悟があるのかどうか。
つまり付託、即採決という「出来レース」を組むだけの意義をこの問題にお感じになり、ご努力をなさるおつもりがあるのかどうか、ですが。
(議員の多数が要望すれば、定例会以外でも議会って開けますよね?)
議会が開いている間だけが議員じゃないと思ってますけれど。

真々田弘
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ちなみに、地方自治法の第百十四条。
普通地方公共団体の議会の議員の定数の半数以上の者から請求があるときは、議長は、その日の会議を開かなければならない。

やろうと思えば、できることは、実はたくさんある、ってこと。何しろ、世田谷区でも10月になればOPVの予防接種が始まってしまう。
VAPPのリクスについて、冒頭でロシアン・ルーレットを例えに使ったのだが、このOPVを巡るゲームの異常性に改めて気がついた。現実に取材者としてOPVによって「犠牲者」となった子どもと出会った経験からの気づきかもしれない。

OPVというロシアン・ルーレットのルールを作ったのはオトナたちであり、弾倉に弾を込めたのもオトナたちであり、そして引き金を引くのもまたオトナでしかない。
そして、頭を打ち抜かれるのは、無垢の子どもたちだ。子どもたちに向けられた銃口がある。
その引き金をオトナたちが「また引く」までの時が、いままさにカウントダウンで進んでいる。

オトナたちがオトナたちが作ったルールで進めているこのゲームを止めることができるのは打ち抜かれる子どもたちではなく、私たちオトナだけだと思うから、発信を続ける。
一人でも多くの子どもに「疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを」得られるチャンスを与えるために。

7月7日に世田谷区保健所名で届いた返信(MRIC Vol.219に本文あり)に対して、保坂のぶと区長ご自身の政治家としてのご判断を求めたいとお送りした7月21日付け区長の窓宛の文章に対しては、未 だ何の反応もない。内容的には議会宛の陳情書と重複し、長文でもあるのだが、この後、万が一にも区長からお返事を頂戴した場合不可欠の情報となるので、お 伝えする。
尚、文章中の日付は文章作成の日付である。

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世田谷区区長
保坂のぶと様
ポリオ不活化ワクチンへの公費助成制度の提案(第2信)
2011年7月19日

世田谷に住むというだけの、たった一個人である私がお送りした提案に対し、7月7日付けで区のご担当部署からご丁寧にお応えいただいたこと感謝いたします。ただし、当初の私の要望が区長宛ということで、頂戴したご返信への再返信もまた区長宛とさせていただきます。
現在、世田谷区内でも複数の医療機関で行われている(私が確認できるだけで8箇所になります)世界標準でありながらわが国では未承認のポリオ不活化ワクチ ン(以下、IPV)の個人輸入での自費接種に対する公費助成を、保坂様の世田谷区区長としての政治的な決断によって行い得ないかというのが私の政策提言で した。
その私の問いに対して前記いたしましたように7月7日付けにて、当区保健担当者様より頂戴できたご返答は、既存の行政方針・判断を示したに留まっておりました。
しかし、残念ながら私の提案の第一義である、世田谷区の政治的な長で保坂区長ごご自身のご判断、ご見解については一言も頂戴できておりません。
今春のポリオワクチンの定期接種でも、都内で「予想通り」にワクチンを原因とするポリオ患者を出してしまったという現状に鑑み、再度、私の現状認識と政策 提案をお送りするとともに、それに対する保坂区長の政治的なご考察、ご判断を求め、第二伸の提案書を遅らせていただきます。
なお、この私の提案が区のサイトに公開された区長の部屋という公式な場への提案であることを踏まえ、区民の、とりわけ子供の健康に直結するこの政策を巡る やりとりについては広く区民に公開されてふさわしきべきものと考え、先日、広報公聴課ご担当者さまに公開の可否につきご確認いたしましたところご了承を頂 戴いたしておりますので順次、公開させていただきます。
以上、前置きでした。
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では再度、私の要望、提案する政策を整理します。
まず、事実認識です。
根本は、他の先進国では標準の「ポリオを防ぐワクチンでポリオにはなることがない」IPVが、日本では国よって未だに承認されず、予防接種で使われていな いということです。そして、日本の子供たちは「ワクチンによってポリオになるリスクがある」と誰もが確認しているポリオ生ワクチン(以下、OPV)を飲ま され続けている、ということです。
現在、先進諸国であまねく使われているIPV が開発されてから四半世紀あまりたつというのに日本の防疫行政の遅滞は、あまりにも明らかです。
今はネットの時代です。母親たちは自分の手で子供を守るための方法を探します。そして、IPV が科学的・医学的に世界では常識である事実を知った保護者たちが「ワクチンで子供をポリオにしない」ためにOPV を忌避し、日本では未承認の、しかし世界標準のIPV の接種を求めるのは合理的な行動です。
そしてこのわが子を、わが子を取り巻く人々をポリオにしないための科学的根拠を持つ正しい行動が、今は医療者と保護者との自己責任、保護者にとってはIPV 接種費用の全額自己負担という重荷となっている現実があります。
整理します。
1)世田谷区としては国が予防接種法で定めたOPV の接種を行っている。
世田谷区の保健担当者もOPV によるポリオ発症リスクについて理解している。国もそのリスクについては、国会答弁などの資料で確認できる範囲で、既に十数年前には理解しているが、未だにIPV は導入されていない。
2)OPV によるポリオ発症リスクが周知のものとなっている現在、正当な科学的根拠に基づき、それを忌避する保護者が存在し、増加しているという事実がある。
3)2)の保護者が、正当な科学的な根拠に基づきIPV の接種を求め、現実に接種を受けさせている事実がある。かつ、IPV を接種する保護者は、昨年以降急激に増加している。
4)その保護者の要望に応え、個人輸入という形でIPV を個人輸入し、接種を行う医療機関が、全国でも世田谷区内でも増加している事実がある。私が確認できる範囲で、世田谷区内で八か所の医療機関が個人輸入でIPV の接種を行っている。
5)世界標準であるIPV をという行為が、保護者と医療者の接種費用負担、副作用リスク負担を含め自己責任でなされている事実がある。
6)あるいは、OPV は危険だという正当な認識を持った保護者が、IPV 接種での全額自己負担という経済的な理由で断念しているケースがあるという事実がある。
7)また、2)という認識を持った保護者が、国が来年度中にはDPT+IPV(三種混合ワクチン+IPV)ワクチンが導入されると表明したため(*)、OPV も全額自己負担せざるを得ない個人輸入IPV をも使用しないという現象が生じつつあると報告されている。
(*:厚労省が言う「来年度中」はあくまで見込みであり、現実の予防接種の現場でDPT+IPV ワクチンの使用がいつ可能になるかは不明であり、現行のDPT からの切り換えについてはこれから検討会を立ち上げる、という状態です。さらに、切り換えの時必要になる単独のIPV ワクチンにの手配についてはいまだ一切決まっておりません)
8)OPV もIPVも接種しないという選択を保護者が行った場合、海外由来の野生種ポリオへの感染リスクの増大に加え、区が行う定期接種で使用されるOPV 由来の二次感染リスクを当該幼児が負うとともに、周囲に対して三次感染源となるという社会的リスクが拡大する。

さて、世界標準の不活化ワクチンを四半世紀たっても国が認めていないというガラパゴス化してしまっている日本の予防接種行政によって、保護者とこどもたちにリスクを与え続けるというこの不幸な事態を、どう解消できるのでしょうか?
一人のオトナとして、今、できることは何なのでしょうか?
世田谷区の区長として、区民の健康に責任を持つ政治家として、あなたにも何かできることがないのでしょうか?
政治家である前に、一人のオトナとして、子を持つ親の一人として。
そこで、先般お送りしたように一つの政策を提案した次第です。

提案の内容を、より具体的にまとめてみます。
1)世田谷区は、予防接種法に基づくOPV によるポリオ定期予防接種を法に従い継続する。
2)ただし、正当な根拠に基づき国の定めるOPV を忌避する保護者が存在し、増加していることを認める。
3)世田谷区としては世界的に、また科学的にポリオ発症リスクがなく、流行への抑止効果が確認されているIPV の接種を保護者が選択することには科学的合理性があり、かつ、国の指定伝染病であるポリオの流行を防ぐポリオ抗体を維持するためには妥当な行為であると認める。
4)よって、国の指定伝染病であるポリオの流行を防ぐために科学的に根拠のあるIPV を、個人として保護児童に対して接種することを希望する保護者に対して、世田谷区としてその費用の全額、あるいは一部について助成を行う。これは、あくま で、国指定伝染病であるポリオに対する抗体保持率を高めるためであり、指定伝染病の蔓延を防ぐという予防接種法の本旨を実現するための行為である。
ただし、世田谷区はこのIPV 接種によって生じる可能性のある副反応による被害につき、その責任はIPV 接種を求めた保護者に存することを確認するための書面の提出を助成を求める保護者に求める。
5)なお、この助成措置は、国が導入を予定しているDPT+IPV ワクチンにつき、その導入についての経過措置が明確化され、そのために必要とされる単独IPV が現実に、国の施策として保護者に対して無料で提供されるまでの間に限定して行うものとする。

以上

秋になれば厚労省ですら危険性を判っているOPV の定期接種が始まります。
また、どこかで子どもが傷つくのです。それを長年見過ごし続けてきたオトナが、また、見過ごしてしまっていいのでしょうか。
世田谷区民の公選によって選ばれた政治家である首長、世田谷区長としての職責に鑑み、一世田谷区民として保坂のぶと区長の英断をお願いするしだいです。

真々田弘
世田谷区●●●●●●●
●●●●●●●@●●●●ne.jp__
**********************

8月3日現在、世田谷区長からの何らの打ち返しは無い。 区議会では、上記の民主党とみんなの党・世田谷行革110番から面会の打診があった。
できることを続けてみる。 ~MRIC編集部のお許しがある限り、続く~

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