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臨時 vol 199 「第5回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会 傍聴記」

医療ガバナンス学会 (2008年12月23日 11:41)


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~第5回周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会 傍聴記~

ロハス・メディカル発行人 川口恭

まず報告書案

最終日の予定だった。阿真委員が「急遽」欠席。報告書案(
http://lohasme
dical.jp/blog/kawaguchi/%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E6%A1%88.pdf )につ
いて事務局が説明。三浦・指導課長「事前にお送りすると言っていたが、事務局
の不手際で事前にお送りできず、この場が初お目見えになってしまった」

この後で登場した舛添大臣が明かしたところによると、実は岡井座長と厚労省
の担当者とで昨晩徹夜したらしい。これだけ世間の注目を集めている懇談会で、
しかも歯に衣着せぬ委員が揃った中、事前の調整なしに大丈夫かなあと思ったら、
冒頭に舛添大臣が

「私もつい先ほど1時間ほど前に初めて読ませていただいた。よく読んでいた
だいて、そうは言いながらも色んないいことが書いてある。たとえば6ページの
(2)、こういうことはすぐにでも始めていきたい。消防庁ともやっていきたい。
やれることは、たちどころにやりたい。そうはいっても、今日は時間が限られて
いるし、一気に結論は出ないと思うから、年内を目途と言ってきたけれど、もし
様々な議論が出るようなら、メールなどでやりとりして年明けにもう1回やって
もと思う。その可能性を持って議論いただきたい。というのが国会も1月5日か
ら始まるんで、今日で無理に決めてフラストレーションを残すより、年内を目途
と言ってきたけれど、その辺りはフレキシブルにやりたい。この懇談会を全国民
が注視しているので、ぜひ皆さんのできるだけ多くの意見をいただきたい、そう
いう観点からの議事進行をお願いしたい」

ということで事実上結論が先送りされた。阿真委員が欠席したことで、「国民
も認めた」形にならなくなったということだろうか。(ちなみにCBニュースで
阿真委員がインタビューを受けていて、 なかなかに興味深いことを話している。
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19756.html

このため議論に遠慮がなくなり、結局半分以上積み残して「あとはメールで集
約して、来年早々にもう1回やって、場合によったら次の週にもう1回」となっ
た。既に大枠が決まったかのようなマスコミ報道もされているが、それは上の阿
真委員のインタビューを見ても分かるように大いにミスリードだ。ちなみに臨床
研修検討会に関しても、検討会で話されていたこととマスコミ報道との間に乖離
がある。おいおいご報告していく。

今日は、懇談会のやりとりの中で面白かったものを書いておく。

岡井
「現状の問題点の医師不足の部分いかがか」

有賀
「救急医不足のところの3行は書き直した方がいいんじゃないか。救急医を含
めた勤務医の不足が正しいと思う」
(略)

藤村
「不足とタイトルになっている。医師が不足しているんじゃなくてポストがな
いんだ。なり手がないと読まれる。実際には、なりたいのに給料をもらえるポス
トがないからなってないだけだ。新生児科医になりたくて待っている人もたくさ
んいる」

岡井
「大事なので入れる。しかし不足は事実だろう」

藤村
「この書き方では、なり手がないという印象になる」

岡井
「なり手は十分にいるのか。田村先生も同じ意見か」

田村
「公立の病院でポストが足りずに待っているのは事実。今回の問題の大元のと
ころ(墨東病院のこと)は、そういう状態だったみたいだ」

嘉山
「なり手も足りない。ポストがないのも事実だが、併記すべきだ」

岡井
「その辺付け加える」

舛添
「そこ、ぜひ正確に書いてほしい。なぜならばポストが足りないだけなら、す
ぐにでも何とかできる。何をしたらよいのかハッキリしていないと政策に落とす
時に困るので正確にお願いしたい」

横田
「人、システム、情報、カネという不足のパーツの中で、人という意味では大
学の講座の中で真剣に育てようという意識が希薄だったことがある。大学から日
常診療へ放り出されて仲間を求めてさまよっているのが現実であり、それは医学
部のあり方から発している」

嘉山
「大学があえてそうしたんじゃなくて教育費が少なくベッドも少ない中でそう
せざるを得なかった。新生児科の教授なりのポストが増えれば変わる。その意味
で、この数年で大きく変わってきた。山形大でもセンターとなってはいないがN
ICUを4床運用している。昔はそうだったのは事実だが、改善してきたと書い
てもらわないと困ってしまう」
(後略)

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岡井
「施設の規模と診療体制について」

嘉山
「ここ、すごく違和感がある。舛添大臣の安心と希望のビジョン会議でも、今
ある体制を壊さないでということが前提だったはず。絶対的な施設なんかつくれ
るのか。施設の規模は医者の数で規定される。今回は連絡体制の不備と医師不足
が原因だった。こんな方針を出して、今より状況が悪くなったら大変なことにな
る。(略)補助金じゃなくて医療費でやれば、やるところは出てくる。センター
だと補助金で、もらえないところはやらなくてもいいんだとなるから、今よりも
悪くなる可能性がある」

補助金と医療費との関係の指摘、目からウロコの落ちるような思いがした。
一般の人には違いが分からないと思うのでロハス誌でも扱ってみたい。

岡井
「今の体制を壊さないということは報告書に盛りこんであるつもりだが。山形
には山形の事情があるだろうから、それぞれの事情に応じてということは大前提
になる」

海野
「だったらそれを書いていただかないと。これは全国版なんだから」

嘉山
「でないと壊れちゃうところが出てくる」

杉本
「とはいっても、規模について最低限必要な線はあるだろう。最初から労働基
準法を守れないような所では持続するのが無理すぎる。24時間365日動かそ
うと思ったら最低でも5人必要。ただ、それだと1人の時間帯ができるから、当
然受けられないことも出てくる。だったら20人ぐらい置いとけという意見もあ
るが、複数が重なるなんてのは、そんなに多くないから、それは効率が悪い。メ
チャクチャ大きいものは要らないにしても、ある一定の規模は必要なんじゃない
か」

嘉山
「大賛成。山形でもそういう風にしている。なぜ私がここにこだわるかという
とP7に危険なことが書いてある。5人のイメージではない。日本に1個しか作
れないような施設のイメージだ」

有賀
「今、岡井先生は救急医療の体制も含めてという話し方をされた。もし大きな
施設を作るんだということになると、初期・二次・三次という救急体制そのもの
をそう考えるのかという話になっちゃう。ガラス細工のようにできている現在の
救急がガラガラと崩れかねない」

岡井
「分かった。周産期の救急に関しては中の人間として知っているし意見もある
が、一般の救急に関しては知らないので逆に伺いたい。今の施設規模が本当に適
正なのか。本当の理想から言って」

有賀
「理想の形を言うならば、現在の初期・二次・三次という仕組みをガラガラポ
ンした方がいい」

舛添
「何が規模なのか。ベッドなのか、平米なのか、人なのか。というのが、私の
持っている情報がたしかならば、今回の墨東の事案は、送り出した側の五の橋産
婦人科には当直医が2人いたはずで、しかし受ける側の墨東には1人しかいなかっ
た。普通の素人の感覚で言うと、規模とは何なのかと思ってしまう。ちょっと何
か表か何かつけることができるだろうか。できることは、たちどころに変えたい
ので、変えるところがあれば、それを明確にしていただきたい」

海野
「規模に関して言うと、現実に存在しているものは書かれているようなもので
はない。1人当直のところが半分、それが実態だ。それを踏まえていく以上、規
模とか診療体制の話は今後の中長期的な議論にならざるを得ないと思う」

岡井
「ここ、もう一度考え直して、皆さんに提示したい」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

岡井
「基本的方針について。これこそ、ここで議論したわけじゃないけれど、厚労
省の心意気が示してもらった部分だと思う。いかがか」
(中略)

有賀
「地方行政の『リーダー』と書いてあるが、これは?」

岡井
「これ書いたのは私じゃないので、三浦さん答えられる?」

三浦指導課長
「首長さんのこと」

舛添
「石原都知事のことだよな」

有賀
「だったら首長って書けばいい」

嘉山
「三浦さんがそう思うならあれなんだが、しかし首長にできることって限られ
る。これ行政の話なのか」

岡井
「地方行政の話だ」

有賀
「だとすると、1の『行政の責任』というのは?」

岡井
「表題に国の責務と書いてある」

有賀
「だったら国と書けばよい。皆、国だと思っていたのに、実は違ったというこ
とにならないか」

嘉山
「素直にクリアに書くべきだ。この辺、みな曖昧にしてきたから、日本が腐っ
てきちゃったんで、クリアに国と書くべきだ」

岡井
「それで皆さんよろしいか。『リーダー』は、どうする?」

嘉山
「なぜ、『リーダー』が出てくるのか」

岡井
「三浦さん、何か思惑あるの?」

三浦
「特にない」

嘉山
「だったらクリアにすべきだ」

杉本
「大阪のような所だと、首長の影響が非常に大きい」

嘉山
「首長が代わったくらいで変わってもらったら困るから国がきちんと決める、
そのために議論しているんじゃないのか」

岡井
「リーダーの話はやめて地方行政の役割で整理しよう。次の、医療現場の役割
のところはどうか」

発言者不明
「問題が大きいのは現場の個人ではなく病院としての施設の管理のありかたの
方。個人と病院運営と分けて書くべきだ」

舛添
「大熊由紀子は委員じゃないけれど、大熊由紀子がこの場にいたら、国民に対
して情報発信というのが書いてないと言うと思う」

海野
「厚労省がこれを書いたとして読むと、現場の声を聞いてくださるということ
でないか」

舛添
「それがダメ。役人の浅薄さだ。国民に声が届いてなければ、いくら役人に届
いたって政策なんか実現しない。私が選挙で落ちちゃうんだから」

藤村
「この文章はマズい。最近の医療現場の状況をちゃんと認識しているのかとい
う話に絶対になる」

岡井
「患者さんを前にしたら、いかなる状況でも最前を尽くすというのが前提でな
いか」

藤村
「それを許さないまでに現場が壊れてきているということだ。それぞれ関係者
皆に一定の責任はあるんだろうが、しかし、こんな文章を出したら異様な反発を
食らうことは間違いない」

舛添
「二階大臣発言と同じことになっちゃうということ」

岡井
「では、ここの所は書かないようにする。国民の協力のところはよろしいか」

海野
「ここだけじゃないが、研究班等において詳細を決めることになっているもの
が7ヵ所もある。1つだけは平成20年度末までと期限が切ってあるが、ほかの
6項目は早急にとしか書いてない。具体的にどの研究班でいつまでにどうするの
か書けるものは書いておくべきでないか。そのプロセスが見えないと、とてもじゃ
ないが国民の安心にはつながらないと思う」

岡井
「20年度末というのは、そのつもりで、それ以外の『早急に』はハッキリ書
けない段階なんだと思うが」

三浦
「研究班を設けて検討していただこうと考えている。ただメンバーの先生方と
いうのは一定の数であり、あまり一気に負荷をかけて短期間に結論を出してくだ
さいというのも何だと思って、このように書いた。いったん引き取らせていただ
いて再構築する」

岡井
「順序を整理して、プランがしかりしたものだけ載せておく。約束できないこ
とを書いても実行力がどうなんだとなってしまう」

海野
「関係者間の連携はありがたい話だが、都道府県レベルで進めるような提言に
なっているはず。むしろ前倒しで厚労省から都道府県に対して連携を進めるよう
通知を出してもらえないか」

岡井
「国から都道府県に要請するということになっている」

海野
「研究班の検討が終わらないと要請しないというのではなく、もっと早くした
方がいい。平成20年度末で通知されるというが、大事なことについてどんどん
遅くなることを心配している。現場でできることはどんどん進めるように、と通
知していただけないか」

岡井
「盛りこめるようにする」

杉本
「国立大学の附属病院を巻き込むについては、その中に文部科学省も入れてほ
しい。大学病院の救命救急センターには交付金も補助金も出ていない。だから大
学の中で金食い虫と言われて苦しい立場におかれている。大学病院は教育の場で
もあるので、学生たちに、あれだけシンドイ思いして文句言われるならやめとこ
うかと擦り込まれる」

嘉山
「厚労省からも大学にいろいろと言ってくるが、普通の企業の業務命令には人
員と予算がついてくるのだけれど、外口局長の名前で来るけれど、いつも裏は真っ
白(予算・人員なしということ)。交付金も独立行政法人化してから4割ほど減っ
ているので何かやれというなら、きちんと手当てしてほしい」

舛添
「臨床研修の検討会を合同でやっているんだから、やれると思う」

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・受け入れ体制

海野
「確認しておきたい。財政支援を検討するの主語は何か。厚労省か」

岡井
「財政に関してはそれでよい」

大野
「たとえベッドがいっぱいであっても総合周産期母子医療センターは受けなけ
ればならないのか」

岡井
「ねばならぬではなく、そのような余裕のある施設をめざしたいということ。
余裕ができた暁には当然それだけの責任も伴う」

大野
「なぜそういう質問をするかと言えば、愛知県の周産期医療協議会の会長から
よく問い合わせされるのだけれど、最終的にどちらの方向へ向かうのかの方向性
を知りたい。ハコを大きくするのには時間がかかるが、しかし方向性が出ていれ
ばそちらへ走り始めたい。とにかく受けていくという方向で整備するのか」

海野
「その件は地域の実情に即して育てていこうということのみで方向性のコンセ
ンサスはない。それぞれの地域にしても、実情を精査しないと明確なことは言え
ないはず」

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終了予定時刻を超え、午後8時15分
舛添
「岡井先生は徹夜明けの後、外来があったそうで連続36時間勤務になってい
る。これやっていると今日も徹夜になってしまうのでメールでも何でもやりとり
して日程的に可能だったら年内にもう1回、それが無理でも御用納めまでに岡井
先生のところに集約して、岡井先生にリライトしていただく形で案を出してもらっ
て、それをもう1回ここでご議論いただいて、もしまとまらないようでも次の週
にもう1回やれば1月半ばには結論が出せるだろう。そういう形でやった方がい
いかなと思うので、ご提案したい」

岡井
「私の体力は大丈夫だが、ではこの先に関しては、そういうことでよろしいか」

(略)

舛添
「今日、参院の厚生労働委員会で雇用関連法案の強行採決があって、明日は委
員長の問責決議が出る。そういう政治が政局でゴタゴタしている、この時期のこ
の時間帯にこういうまじめな議論をしているいる人たちがいて、そこに政務官は
帰っちゃったけれど大臣・副大臣そろってやっているというのは特筆に値すると
思う。政局がどうであろうと、ぜひこの提言を具体化できるよう省をあげてやっ
ていきたい。今日、財務大臣との折衝があって、例の2200億円について何と
か辻褄を合わせてきたけれども、誰が見てもこれが正しいという提案をすること
が結局政治を動かすことになる。そのために皆さんの御協力をいただいている。
医療は単に負担というだけじゃなくて、夢と希望への投資なんだ。人間の価値を
高めることなんだから、雇用とか医療にきちんと投資すれば世の中明るくなる。
社会価値を高めることになるんだ、そういう観点から医療体制改革をしたい。きっ
ちりやることが日本の活力につながると思っている」

(この傍聴記は、『ロハス・メディカルブログ』http://lohasmedical.jp にも掲載されています)

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