医療ガバナンス学会 (2012年9月4日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
www.asahi.com/apital/
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2012年9月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
稼働しはじめたばかりなので、純粋に検査数が2倍になるにはもう少し時間がかかりますが、それに向けてスタッフたちが検査前手順などの再見直しと器械調整を行っています。
1台目と2台目の性能差のチェックも行っています。やや2台目の方が、新しいからか数%ほど効率が良いようです。バックグラウンドもほぼ同一、検出限界も同じで、運用して問題ないようです。
これで、南相馬市はファストスキャンクラスの性能があるWBCが3台体制となりました。当院の2台と渡辺病院の1台です。対人口あたり、最もWBCが設置され運用されている自治体になったのではないかと思います。
2台目の導入とほぼ同時に、成人に対する2回目の検査が出来るように予約がスタートしました。今までは値の高かった人のみに対して、病院からご連絡して再 検査および結果説明を行っていました。それに加え、希望すれば半年から一年後の再検査をいつでも出来るようになりました。
しかし、すでに意識が薄れ始めていることを感じます。去年、検査を開始したとき、予約は今年の3月まで一瞬で埋まりました。今回は、2回目の検査予約が先まで埋まる様子は無いです。
いくらかの方々から、「検査なんてもうこれ以上必要ない」という意見が散見されることにも危機感を感じています。繰り返しになりますが、現在の検査は、現状の生活上での汚染食品摂取による内部被曝が大きなものではないか確認するためのものです。継続性が重要です。
絶対に全員が来なければ行けないとは思っていません。しかしながら、少なくともある程度の期間ごとに、検査を受けたいときに受けられるシステムは構築されるべきだと思っています。
僕個人としては、小児に関しては毎年の検診に取り入れてチェックするような体制が出来ればと強く思っています。でも障害が多いです。もちろんWBC検査が内部被曝チェックに関して完全に万能ではありません。ですが、現在検診としては色々な点で妥当な検査だと思います。
検診にするには他の市町村と足並みを合わせて、とか、もし値が出たらどうするのか、とか、県からの指示が無いので、とかいった本末転倒な意見がすでに届き始めています。
どこかが始めなければ、形になりません。どこかが始めることが、共通に行っていくことの突破口になると思っています。2台態勢になり、できることが増えました。今後にやらなければならないことはまだまだあります。
2台で稼働中!
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