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Vol.592 福島県浜通りを訪問して カナダの大学生が見た被災地の現状

医療ガバナンス学会 (2012年9月12日 06:00)


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マクギル大学
早川 周
2012年9月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


私は8月27日から8月299日まで東京大学医科学研究所の坪倉正治先生と同行し福島県相馬市・南相馬市にいってきました。相馬中央病院と南相馬市立総合病院を訪問しました。

私は現在カナダのマギル大学理学部の二年生ですが、卒業後はメディカルスクールに進学したいという希望をもっています。今回は大変有意義な経験でした。病 院の外来の見学、夜間の救命救急室の見学をさせていただいたほか、お手伝いもさせていただきました。また、坪倉先生が放射線の検査結果を説明するのを住民 の方と一緒に聞かせていただきました。

私は震災当時カナダにいて、テレビやラジオのニュースでしか今回の大震災を知りません。映像で見る災害は想像を絶するもので、当時はただただ心配するだけ でした。そのとき以来FUKUSHIMAという単語はカナダの人々も知る地名となりました。日本では被災者のプライバシーや、あまりにもショッキングすぎ る現実をふまえてカットしたりぼかされていた映像や写真が、北米では連日流されていました。当初専門家の解説を聞けば聞くほど深刻なものに思われました。 周りの人々はFUKUSHIMAが日本のどこにあるのかもちろん全く知らず、すぐに私の身内の心配をしてくれました。近所のスーパーマーケットなどでは即 座に募金箱が設けられ、あらゆる人々の善意に日本人として大いに感謝の念をおぼえました。そして同じ日本人としてただ心配しか出来ない自分自身に無力感と 歯がゆさでいっぱいでした。ですから今回の訪問はやっとその時が来た、という気持ちでもありました。福島に行く前は私の中で福島県、相馬というところは チェルノブイリに重なって少し怖い気がしていました。ところが実際に行ってみると、津波などの大きな被害を受けたところを今回見ていないのもあるのかもし れませんが、ごくごく普通の田園風景が連なるのどかな自然豊かな町でした。沢山のボランティアと救助隊の活動はきちんと機能し、放射線レベルは測定され掲 示されていましたが、生活上問題ないレベルになっているとのことでした。

しかしながら表面上は落ち着いていても、見えない問題はまだ数多く残されている事も実際に行ってわかりました。まず、震災後多くの方々が即座に家族と家と 職を失いました。住んでいた土地から避難を余儀なくされ、愛する人々をしのぶ間もなく新しい生活への順応せまられました。そして常にストレスをかかえなが らメディアの注目を浴びる生活が始まったのです。それらの結果、PTSDに苦しみ、うつ状態に落ち入ったり、めまいに悩まされたり、不眠になる方々も増え ました。私自身、家族のアルコールによるトラブルに悩まれる方にもお目にかかりました。色々と難しい問題もあるとは思いますが、このような方々の生活の向 上がより図られると良いと思いました。また、南相馬では震災や避難で飼い主を失ったり、可哀想な環境におかれている動物も沢山いるようです。現地では、野 犬に噛まれる被害も発生していると聞きました。動物たちのおかれている状況を多くの人に知らせて、具体的に改善できるアイディアや募金なども集められたら 良いと思いました。

色々見聞きする中、坪倉先生を始めとする医師や現場の方々の御活躍に感銘をうけました。これまで国内および外国から多くのボランティアがここを訪れさまざ まな活動をされてきたそうです。今回私は3人の東北福祉大の学生と共に南相馬市立総合病院で活動させていただきました。その内1人の男子大学生は、津波で 家を失った地域の出身という事でした。彼は将来看護師になりたいという希望を話してくれました。そのように困難な状況にありながらも他の方々のために働く 彼の姿に、私自身もより明確な目標を持って未来に進んで行きたいと思うようになりました。

メディア報道や研究は、これからの世界に起きる災害に役立つ事は確実です。しかし今一番に考えなくてはならないのはここ、福島県の人々、被災者の方々の今 現在の生活である事を忘れていけないと思いました。また、私は人々が実際に訪問しない限り、これらの状況を理解することは本当に難しいということを感じま した。福島を訪問したことがない人が実際に福島に行ってみる事によって、もっと福島を身近に感じられると思います。カナダの友人たちにも FUKUSHIMAでの経験と現実を話したいと思います。そして自分自身も近い将来福島県を再訪したいと思います。今回貴重な機会をいただいて相馬を訪問 できたという事はこれからの自分の将来への目標をますますはっきりしたものにしてくれました。

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