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Vol.630 現場からの医療改革推進協議会第七回シンポジウム 抄録から(5)(6)

医療ガバナンス学会 (2012年10月29日 18:00)


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セッション5: エキナカクリニック
セッション6: 医学部新設

*このシンポジウムの聴講をご希望の場合は事前申し込みが必要です。

2012年10月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

セッション5: 11月11日(日)10:00~10:30
久住 英二

セッション6: 11月11日(日)10:30~11:30
泉田 裕彦 (ビデオメッセージ)
湯地 晃一郎

会場:東京大学医科学研究所 大講堂
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駅ナカ医療機関は医療ニーズを満たしているか?
久住 英二

ナビタスクリニック立川を開設して、丸4年が経過した。当院は、駅にあり、平日夜9時まで診療している。よって、風邪などの急病時の1次救急はもちろん、 慢性疾患の方も会社を休むことなく外来治療を受けられる。共働きの保護者にとって後回しにしがちな子供のワクチン接種も、仕事を休まずに受けることが可能 である。手探りからはじめたが、現在では多くの地域住民より支持をうけている。その経験および新規受診者に全員お願いしているアンケート調査結果から、今 後の診療所のあり方について考察した。
毎月約800人の新規受診があり、多くは立川および近隣市の在住者、および立川駅周囲のオフィスワーカーである。年齢層は、内科と皮膚科では、50歳未満がほとんどで、高齢者は少ない。これは、当院の受診者の年齢層が、駅利用者の年齢層を反映しているものと考えられる。
当院を認知した経路は、口コミ・紹介がトップであり、ほぼ同率でネット検索であった。駅ホーム看板による認知は多くなかった。また、立川駅に発着するバス の車内アナウンスは効果がゼロであった。ネット検索による認知が多いのは、医療機関を探すのは体調不良など医療ニーズが発生してからのため、かつては電話 帳であり、現代はインターネットが取って代わっているのかも知れない。また受診者の年齢層が若く、かかりつけ医がいない医療浮動層が多いことと関係してい る可能性がある。
当院の良いところ、では夜間診療が最多で、ついで駅に立地していることへの評価が高く、そのほかは少数であった。
夜間診療の価値を知るため、その利便性を貨幣価値に換算したら幾らであるか調査した。立川では3,000円という額が最多であり、2,000円と 5,000円がこれに続いた。1,000円以下との回答は少ない。現行の診療報酬制度では、18時以降の診療に際して、500円の加算があり、3割の自己 負担額は150円である。実際には2-3,000円の価値を感じる人が多いため、夜間診療が高い医療満足度につながっていると考えられる。
シンポジウム当日は川崎、東中野クリニックでのデータも提示し、駅ナカ診療所のあり方について、議論したい。

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データ解析が明らかにする医学部新設の必要性
湯地 晃一郎

我が国の医師不足は危機的状況を迎えている。2004年の臨床研修制度導入を契機として、医療崩壊の危機が叫ばれるようになった。特に産婦人科・小児科・救急科・外科などの診療科で医師不足が深刻となり、医師不足地域での診療中止、閉院が相次いでいる。
日本の医師数は他の先進国に比べ極端に少ない。2011年のOECD health dataによれば、日本の人口1000人あたり医師数は2.2であり、OECD加盟32ヶ国中28位である(加盟国平均は3.00) 。医師不足の社会的問題化を受け、2008年から2011年にかけ医学部定員数は1,298名増員され、2011年度は8,923名となった。増員効果に より、我が国の人口1000人あたり医師数は、2035年にはOECD加盟国平均水準に達すると見込まれている。将来的に医師が過剰になる予測も存在する。
医療の将来予測を目的として、人口数・医師数・死亡者数の年齢構成の変化と医師労働時間に基づきシミュレーションを行った。2035年と2010年を比較 すると、全人口に対する65歳以上高齢者の割合は23.1%から38.7%に増加する。さらに全死亡者数は42%増加、75歳以上死亡者数は88%増加す る。一方、医師数の年齢構成の比較を行うと、75歳以下医師数は37%増加するが、60歳未満医師数の増加は18%にとどまり、医師は大きく高齢化する。 医師一人あたりの75歳以上死亡数は38%増加する。都道府県別の解析では、2035年にはほぼ全都道府県において医療指標が悪化し、東西格差が2010 年より広がる。指標の悪化度は人口数と相関する傾向があり、特に埼玉・千葉・神奈川の東京周辺地域で悪化が顕著となる。
これまでの医師不足・医師偏在の議論では、人口数・医師数の年齢構成の変化、医師男女比の変化、医師過重労働の視点が欠落していた。昨年度のシンポジウム 演題(「データ解析が明らかにする医師不足の現状と将来」、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター井元清哉准教授)に続き、精緻な将来予測を基に、 医師不足地域への医学部新設について建設的議論を行いたい。

 

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