医療ガバナンス学会 (2013年1月16日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2013年1月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
繰り返しご紹介していますが、福島県内のほとんどの場所で、現在の生活での内部被ばくは低く抑えられていることが分かってきています。そしてその傾向が維持されています。
しかしながら、継続的に検査をすることは必要だと思っています。安全だから何もしない、または何もせずただ危険を煽るのではなく、
淡々と学校検診のような形で少なくとも子供だけでも継続的に検査していくべきなのでは思っています。
外来をしている際の印象も変わりました。以前はそれこそ怒鳴られたり、長時間話し込んだりということも多かったですが、最近は特に質問もなく、結果を見て「そんなもんだよね」という方が大半になりました。
現実的に南相馬での再診率は低く、興味が薄れつつあることを感じています。ただ、その一方でお子さんをお持ちのお母さん達からはしっかり検査して欲しいという声も聞きます。
それを踏まえ当院では、昨年11月から12月にかけて、通常の一般外来に受診された方やWBC検査にいらっしゃった方、合計400人(WBCを受けたこと がある方200人、今まで一度もWBC検査は受けたことの無い方200人)を対象にアンケートを実施しました。一般外来受診されている方を対象にしていま すので、やや高齢者に偏ったアンケートです。
質問内容は、
・一度も検査を受けたことが無い場合 → 「なぜ検査を受けにこようと思わないか?」
・検査を受けたことがある場合 → 「継続的な検査を希望するか?」
の2点です。
結果は添付の画像( http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013011500002.html ) です。今までWBC検査を受けていない方221名に複数回答可で、18項目の中から受けていない理由をお聞きしています。
選ばれたトップ5は以下でした。
1.仕事や学校があり、平日昼間の受診ができないから
2.検査の申し込み方法が分からないから
3.土曜日に検査していないから
4.日曜日に検査していないから
5.自分が検査の対象になっているのか分からないから
検査自体を行っている時間の問題と、検査通知の問題に集中しました。その後に値が低いから、食品の検査の結果を知っているから、などが続きました。
WBCを受けたことがある方約200名に対する、継続的な検査を希望するかという問いでは、約8割が「希望する」と答えました。特に高齢者で希望しないという率が高いかというと、そうではありませんでした。
そしてその残り2割、継続的な検査を「希望しない」とお答えの方にその理由をお聞きしています。理由のトップは「仕事や学校があり、平日昼間の受診ができないから」と「自分からは検出しないと思うから」でした。ただしこの結果は、対象人数が40名弱と少ないです。
今現在南相馬市では渡辺病院で土曜日受診が出来るようになっていたり、当院で日曜日の検査を試行したりしています。
結果はある意味予想通りだったように思います。(いわゆる市からの呼びかけで行う一般の)健診の受診率が低いことと同じような理由が多く並んでいます。検 査通知の問題や、検査時間の問題など、改善できるところはできるだけ早く改善して行くよう意見を言っていきたいと思っています。検査をみんなで行い、コ ミュニティーとして結果を出すことで言えること、説得力が増すことも多くあると思います。